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【発売3か月で累計120万個売上】ローソンが展開する韓国コスメ「アンドバイロムアンド」はなぜこんなにも売れたのか?“ついで買い”から“目的買い”されるコンビニコスメを目指して

集英社オンライン / 2023年7月24日 11時1分

「予想以上の売れ行きに驚いている」。ローソンのコンビニコスメ「&nd by rom&nd(アンドバイロムアンド)」が大ヒットしている。2023年3月末に発売して以来、3か月で累計販売数120万個を突破した。なぜこんなにも売れているのか。韓国コスメに目をつけた理由や“爆売れ”の背景を担当者に聞いた。

コロナ禍の煽りを受けずに好調だった「韓国コスメ」に着目

コンビニ各社がこぞって注力している「コンビニコスメ」。

ファミリーマートが展開する『sopo』は累計販売数が200万本を超え、セブンイレブンの化粧品ブランド『ParaDo』が出すネイルカラー(マニキュア)のミニネイルも、累計販売数が570万本に達するなど、熾烈な争いを繰り広げている状況だ。



ローソンも2015年から資生堂との共同企画で『INTEGRATE』(インテグレート)の「ポーチイン」というコンビニコスメを発売してきた。購入客層のメインは30~50代であったため、さらなる客層の拡大を狙うには、新たに10~20代向けのコンビニコスメを開発する必要性があった。

そこで、注目したのが「韓国コスメ」だ。

株式会社ローソンの商品開発部で生活・日用品部のチーフマーチャンダイザーを務める浅岡 陽子氏は「コロナ禍で化粧品の需要が全体的に落ち込んだなかでも、韓国コスメは伸長していたことに着目した」と話す。

「多種多様な韓国コスメの中で、2016年に韓国のビューティークリエイターであるミン・セロム氏が立ち上げた『rom&nd』(ロムアンド)が、日本のZ世代からも絶大な支持を集めていました。『@cosmeベストコスメアワード』での受賞や、売り場で多くの若い女性がロムアンドの化粧品を試している姿を見て、『このブランドとご一緒できないか』と思うようになったんです」

誰でもやさしく繊細なアイラインが描けるアンドバイロムアンドのアイライナー

まさに、一番勢いのある韓国コスメブランドに目をつけたわけだが、ロムアンド側も2019年11月に日本上陸を果たして以来、着実にファンの裾野を広げてきたなかで、新たな販売チャネルを探している最中だったという。

こうして双方の意向が合致し、ローソンとロムアンド、ロムアンドの日本正規代理店である株式会社韓国高麗人蔘社を加えた日韓3社でコンビニコスメの共同開発が始まったのだ。

“脱コンビニコスメ”を掲げ、「目的買い」される商品を目指した

開発期間にかけた時間は約1年間。

価格帯、化粧品のサイズ感、販促の仕方など、コンビニ業態に最適化したコスメを模索した。

「まず、ローソンは韓国に展開がないので、『コンビニとしてどういう特徴があるのか』をロムアンドに伝え、理解してもらうことから始めました。そこから、“脱コンビニコスメ”を目指した化粧品ブランドの開発をするために、さまざまな試行錯誤を繰り返しました」

ロムアンドの通常価格は1000円〜3000円ほど。だが、この価格帯のままだと、コンビニコスメとして販売するには高い設定になってしまう。いかに間口を広げ、手に取ってもらいやすくするかを考えた際に、ロムアンドの特長である発色の良さや品質はそのままに、気軽に試せるトライアルサイズとしての商品化を考えた。

グロッシーリップティントのサイズ感

また、コンビニコスメを陳列する什器にも最大限ブランドの世界観が表現できるように、3社でこだわったという。

ドラッグストアやバラエティストア、デパートといった小売店では、ブランドの世界観を表現できる売り場づくりがしやすい一方、コンビニでは棚の一角にしかコスメ商品を置くことができない。

そのため、プラスチックに入れて商品をただ陳列するのではなく、専用の紙製パッケージに商品を横向きに入れ、デパートのような陳列方法を採用した。さらに、売り場に商品の見本を貼り付け、箱の中身がわかるような工夫も凝らした。

これはローソン史上初の試みになっているそうだ。

陳列する什器にもこだわりがある

「アンドバイロムアンドの売り場に関しては、「~𝑺𝒎𝒂𝒍𝒍 𝒉𝒂𝒑𝒑𝒊𝒏𝒆𝒔𝒔 𝒊𝒏 𝒚𝒐𝒖𝒓 𝒅𝒂𝒚~」というブランドコンセプトのもと、什器を見るだけで幸せを感じてもらえるような雰囲気を意識しました。これまでのコンビニコスメは、急なお泊まりやコスメを忘れたときの『緊急需要』がメインでしたが、アンドバイロムアンドを目的に来店する『目的買い』を目指したんです」

発売3か月で120万個を達成。発売当日、女性客の熱意に驚いた

こうして準備を進めていき、発売日の2週間前に情報解禁。次いで、ロムアンドが中心となり、美容インフルエンサーなどのKOL(Key Opinion Leader キーオピニオンリーダー)にサンプリングを実施。着実にいい初動をつくるための下地づくりを行った。

こうした取り組みが功を奏し、アンドバイロムアンドの発売前から、SNS上で大きな話題を作ることができたそうだ。

そして、発売当日の0時には、全国のローソンにアンドバイロムアンドの商品が陳列され、なかにはこの時間を狙って買いに来る女性客もいた。

ローソン店頭のアンドバイロムアンドの商品陳列

「深夜0時には、店頭に並んでいるはずのアンドバイロムアンドが、お店によっては陳列が間に合っていないところもあり、『お店の裏にあるはずなので、商品があるか確かめにいってもらえますか』というお客さまもいらっしゃるほどで。
これは今までにない現象で非常に驚くとともに、それだけブランドへの熱量が高いと感じるきっかけにもなりました。私自身も、発売日の夕方ごろに都市部にある複数のローソンを回りましたが、すでに在庫切れで品薄でした。この勢いは本当に想像以上だったと今でも感じています」

結果としては3日間で30万個を売り上げるという、異例のヒットにつながった。

だが、「こうなることは想定外だった」と振り返る浅岡氏は「アフターコロナの人流回復の影響を大きく受けている」と、出だし好調の理由を分析する。

「コロナ禍が以前と比べて落ち着いてきたことで、口元のメイクをする機会が増え、いわゆるリバイバル需要が増え、購買につながったと考えています。特に首都圏エリアの売上が高く、商品別では抜け感やオシャレ感を演出してくれる『グラッシーバーム』や光沢感が魅力的な『グラッシーボムティント』といった口元を彩るアイテムが人気となっています」

発売当初こそ、品薄状態が続いていたが、現在は供給量の調整を図り、安定した販売を継続できているという。

ブランド開始から3か月で累計販売数120万個を達成し、急成長を遂げるアンドバイロムアンド。今後の目標としては「ローソンの“顔”になる商品にしていきたい」と浅岡氏は期待に胸を膨らませる。

「ローソンと言えば、スイーツやからあげクンが有名ですが、新たな主力商品としてアンドバイロムアンドを育て、ついで買いから“目的買い”されるようなブランドへと成長できるように、これからもチャレンジを続けていきたい」

コンビニコスメ市場は、まだまだ伸びしろがあると考えられる。

【関連リンク】
ただただ女子社員がコンビニグルメに癒される漫画『限界社員スズキさんの癒されコンビニグルメ』を読む

取材・文/古田島大介

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