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70歳を過ぎてから第2の人生がスタート! 続けられる限り仕事はやめない、しがみつかず現役を続ける…お金ではなく自分のために働く、70代の働き方とは?

集英社オンライン / 2023年7月26日 9時1分

幸せな老後を過ごせるかどうかは70代の過ごし方が鍵になるという。高齢者医療に携わってきた医師でありベストセラー作家でもある和田秀樹が、初めて自身の人生を振り返り、そして、これからの人生を語る和田自身の人生100歳時代の設計図。『わたしの100歳地図~65歳を過ぎても幸せが続く鉄則』(主婦の友社)より一部抜粋・再構成してお届けする。

個人差が大きい70代

いよいよ70代です。これまでの多くの本でお伝えしてきましたが、80歳の壁を破り、幸せな老後を送ることができるか否かは、この70代の過ごし方にかかっているとわたしは考えているわけです。

わたしがこれまで接してきた高齢者の多くの方に共通するのが、60代までは気にならなかったことが、70歳を過ぎるとどんどん増えてくるということです。体力は言うに及ばず、気力もそうですが、そういったことが見た目にもあらわれて、同じ70代でも個人差が顕著になってきます。



はたして、自分はどのようになっていくのでしょうか。これまでの人生を振り返れば、60歳からの10 年などあっという間のことだと思います。実年齢よりも若い70代となるのか、はたまた老け込んだ70代となるのか、これから描く70歳の地図も、これまで接してきた多くの先輩たちの姿が参考になります。

忍び寄るうつ状態

3年以上に及んだコロナ禍の影響はわたしたちの生活に大きく影を落としましたが、とくに多くの高齢者を家に閉じ込めてしまいました。

ただでさえ70歳を過ぎると運動機能が低下し、どこにも出かけずに家で過ごしていたほうが楽だし、誰にも迷惑はかからないだろうと引きこもりがちとなりますが、運動機能が低下しているわけですから、そのような生活が続けばからだを動かすこと自体を面倒に感じるようになり、それこそ歩けなくなってしまったり、自由に動けなくなったりするリスクが高まります。

そればかりか、誰とも話さず、変化のない毎日を送れば、心の元気もなくなって、心身ともに衰えた覇気のない老人になってしまい、自覚のないなか知らず知らずのうちにうつ病や認知症を発症する危険性すらあるのです。

写真はイメージです

興味をもち、挑戦し続ける

70歳ともなれば、誰でも体力や集中力が以前と比べて衰えてしまい、意欲面での低下は避けることはできません。しかし、老いを自覚したとしても、からだが動くうちはやりたいことをどんどんやって、自分の生きたいように生きるべきだとわたしは常日ごろより自分に言い聞かせています。

というのも、先述したようにわたしは、幼少期からADHD(注意欠陥・多動性障害)の傾向があり、一つのことに集中できずいろいろなことに興味がわいてしまい、未知のものだとしても気になったことはすべて挑戦してきました。

このような傾向は幼少期にとどまらず、大学時代は医学部にいながらフリーライターとして、雑誌を中心にさまざまな取材、執筆活動をしていました。そうした経験が、医師としてのいまの仕事や作家としての執筆、映画監督としての活動に大いに役立っているのですが、プライベートにおいても同様です。さまざまなことに対し関心は尽きません。ですから、わたしは70代になってもできるかぎり、少しでも興味のあることには挑戦し続けていくつもりです。

年齢を理由にして諦めない

70歳を過ぎたからといって、隠居して老け込むにはまだまだ早すぎます。
「もう、いい年なのだから」と、年齢を理由にいろいろなことを諦めてしまうと、80歳になったときには、できることがほとんどなくなり、やりたいという気力すら消えてしまうでしょう。70代はまだまだ頑張れば中高年とほとんど変わらないぐらいの体力、知的機能を保つことができるのです。

たとえば、アンチエイジングの治療は、80代になるとボトックスやヒアルロン酸の注入ではなかなか外見の衰えを補いきれませんが、70代であれば、かなり若々しい自
に戻ることができます。

日本ではなぜか美容医療やアンチエイジングの治療にネガティブなイメージをもつ人が多いのですが、治療を受けることで若々しさを保つことができて、気持ちまで前向きになれるのでしたら、ためらわずに試してみるべきです。

役者や歌手といった特別な人たちだけがいつまでも若々しくいられるのではなく、わたしたちも少しの意欲をもって取り組めば、70歳を過ぎてもダンディーな男性、おしゃれな女性でいられるのですから、やはり年齢に関係なく、チャレンジしていくことはいくつになっても大切なことといえます。

写真はイメージです

しがみつかず現役を続ける

前章で、地位や肩書にしがみついていた人が60代になると思ったほど幸せになっていないとお話ししましたが、地位や肩書があっても幸せそうにしている人はいます。年をとっても引退しないで自分の思いどおりに生きている人は、幸せな人生が送れているようです。
世の中では長く現役を続けている人のことを老害と呼んだりしますが、地位や肩書にしがみつく人は確かに老害と呼ばれてもいたし方ありません。しかしそうではなく周りに求められて長く現役を続けている人は幸せな人生を歩んでいます。

日本大学の顧問になった元オリックス会長の宮内義彦さんも、その一人です。現在86歳ですが、頭もからだもしっかりしていて、鋭い意見をおもちの方なので、周囲の人たちも一目おいています。

わたしが長い間、医師として高齢者を診てきて思うことは、相手がボケていたり弱ったりしているなと感じると、医師でも看護師でも露骨ではないにしても対応の仕方がぞんざいになることがあります。
一方で、頭もしっかりしていて、態度も堂々としていれば、敬語を使って話しますし、周囲の対応も違ってきます。宮内さんを見ていると、自分に自信をもって、前向きに生きている感じがひしひしと伝わってきます。

だからこそ、周囲が宮内さんをまだまだ頼っているのだし、現役を続けていられるのだと思います。地位や肩書はその結果のものであって、それにしがみつくために現役を続けられているのではないことは明らかです。

第二の人生は70歳を過ぎてから

よくも悪くも、年齢を重ねて仕事を続けていると、周囲からは「いつまでやっているんだ」と思われることがあるかもしれません。

しかし、医師の立場から言わせていただくと、「自分の幸せ」という観点からは、仕事を辞めてフヌケ状態になるよりは、続けられるかぎりは仕事を辞めるべきではありません。高齢になっても働き続けるということは、心身の健康を維持し、老化を遅らせるという意味でとても有効なのです。

少し前までは、定年退職というと60歳でしたが、2021年4月より「高年齢者雇用安定法」の改正法が施行され、事業主に対して定年を70歳に延長するなどの「就業確保措置」が努力義務化されました。

いわゆる「70歳就業法」が施行され、7歳までの定年の引き上げ、70歳までの継続雇用制度が導入され、多くの人が70歳まで働くことができるような世の中になってきました。

また、総務省統計局では、毎年「敬老の日」(9月の第3月曜日)を迎えるにあたり、日本の65歳以上の高齢者像を統計の視点からとりまとめています。

そのデータによりますと、2022年9月15日現在、65歳以上の高齢者は3627万人と過去最多になりました。総人口に占める割合は29・1%と、これも過去最高です。これに伴い、高齢者の就業者数も909万人と過去最多。65歳以上の高齢者の就業率は25・1%で、高齢者の4人に1人はなんらかの仕事に就いていることがわかります。

さらに、この内訳を年齢階級別に見ると、65〜69歳の就業率は10年連続で伸び続けて、2021年には初めて50%を超えて50・3%となり、半数以上の人が働いていることが見てとれます。70歳以上も5年連続で上昇し、18・1%と5人に1人に近い就業率を示しています。

要因としては、人口の多い団塊の世代が2012年以降、65歳を超え始めたということもありますが、人生100年時代といわれるように、平均寿命、健康寿命ともに延びる一方、少子化などで若い世代の働き手が減少しているなど、さまざまな事由があげられます。

こういった数字からもわかるように、いまや人生の岐路は70歳からで、第二の人生は70歳から始まると言っても過言ではないでしょう。70歳はまだまだ心身ともに健康で、体力も気力もあり、現役時代と同様の生活ができる最後の活動期でもあります。

「そうはいっても、これまで家族のために一生懸命に働いてきたのだから、定年後はゆっくり過ごしたい」「70歳を過ぎてまで働きたくないよ」と言う人がいても不思議ではありません。

写真はイメージです

ボケないためにも仕事は続ける

しかし、ちょっと待ってください。これまで長く働いてきた人にとって、定年を迎え、会社を退職したことで生じる喪失感というものは想像以上に大きいものです。

実際にそのような人をわたしは数多く見てきました。ようやく宮仕えから解放されたので、きょうからやりたいようにやって暮らしていくぞと鼻息を荒くしても、ここまでさんざん言ってきたように、小さなことでも好きなことを見つけて、どんなことにも興味をもって接しないかぎり、あっという間に毎日が平坦でつまらないものになってしまいます。

退職後、急に何もせずに家にこもりがちになると、さまざまな脳機能の老化が進み、一気に老け込んでしまいますし、そんな生活が数カ月も続けば、あらゆることに意欲がわかなくなり、動くことすらも面倒になるため、認知機能と運動機能が一気に落ちてしまいます。そうならないためにも、70歳からの第二の人生も、仕事だけに限りませんが、継続してできる何かを見つけておくことが大切なのです。

お金のためではなく自分のために働く

長年勤めていた会社にこだわらず、転職したり、起業したりするのもいいでしょう。フルタイムで働かなくても、はたまた仕事をえり好みしなければ、就ける仕事はいくらでも見つかるはずです。現役時代よりも給料は減るかもしれませんが、定年後でも自分の力でお金を稼ぐことによって、老後のお金の悩みも多少は解消されるはずです。


若いときは、働く目的がお金や出世のためだったかもしれません。会社で上司や部下の間に挟まれて、ストレスフルな毎日を送った方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、70歳になって第二の人生の扉をあけたら、もう自分のためだけ、自分にとってやりがいのあることだけを続ければいいのだと思いませんか。

写真はイメージです

『わたしの100歳地図~65歳を過ぎても幸せが続く鉄則』(主婦の友社)

和田秀樹

2023年6月1日

1,100円(税込)

単行本 ‏ : ‎ 192ページ

ISBN:

4074529955

血糖値600オーバー!血圧200オーバー!病気のデパートのわたしが自由で幸せな生き方を人体実験中!

人生100年時代が叫ばれ、平均寿命も毎年、確実に上がり続けている。
これを手放しで”長生きできてうれしい”と思う高齢者はひとりもいないのではないか?
いや、それどころか、老後資金の枯渇問題、健康や認知症といった老いへの恐怖などなど、
不安を抱えている高齢者がどれだけ多くいることか。
そんな暗雲垂れ込める人生100年時代を、30年以上の長きにわたり、高齢者医療に携わってきた医師でありベストセラー作家でもある和田秀樹が、初めて自身の人生を振り返り、
そして、これからの人生を語る和田自身の人生100歳時代の設計図。
ひとたび読めば、老後の不安がみるみるうちに消えていき、人生を幸せで豊かにしてくれるゴールデンシニア待望の福音の書である。

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