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鳥谷敬が回想。現役時代、阪神の優勝を決定づけた、あるいはV逸の引き金となった“あの試合”

集英社オンライン / 2023年7月22日 10時1分

最激務と言われる遊撃手として、プロ2年目の2005年にはレギュラーに定着し、岡田彰布監督のもとリーグ優勝に貢献した鳥谷敬。あれから18年間、優勝のないタイガースだが、その重い扉を開こうとする後輩たちの姿に何を思うのか。2023年の阪神タイガースを追う連載。第6回では、シーズンの流れを左右する試合を振り返り、後半戦のポイントも語る。

前半戦でチームにいい流れを呼び込んだ試合

オールスターも終わり、シーズンもいよいよ後半戦に入ります。首位を走る阪神タイガースは、貯金11。仮に年間143試合で80勝60敗3分だとすると貯金20となりますが、岡田彰布監督は、優勝するために、この“貯金20”をどうやって越えていくかということを常に念頭に置き、シーズントータルで考えながら戦っているのではないでしょうか。



前半戦を振り返ると、チームにいい流れを呼び込んだのは、5月24日、神宮球場での東京ヤクルトスワローズ戦です。

阪神が1点ビハインドの9回表、二死走者なしから、ノイジー選手の打球はライト方向へ。ライトフライで試合終了かと思われたのですが、照明と重なったのか、ライトを守っていた並木選手が打球を見失って後逸し、結果的に三塁打となり、これを足掛かりに阪神が逆転勝利をおさめました。

5月24日のヤクルト戦。阪神は9回二死走者なしから、相手のミスを足掛かりにチャンスをつくり、佐藤の一打で逆転勝利を収めた

その余韻というわけではないのでしょうが、翌日も、同点で迎えた延長10回表に、二死走者なしから大山悠輔選手の四球押し出しと、佐藤輝明選手の二塁打で一挙4点をあげて勝利。何か見えない力を感じるような勝ち方で、結果的にこれが9連勝につながりました。

もし、この2試合に負けていたら、前半戦終了時点で11あった貯金が7となり、広島東洋カープが首位になっていたわけですから、非常に大きな2試合だったのではないでしょうか。たった2試合と思いがちですが、貯金で考えると4つも違ってくるのです。

忘れられない2005年、2008年の“あの試合”

どんなシーズンでも、終わってから振り返った時に、チームの流れがよくなった試合、悪くなったという試合は必ず出てきます。

僕の現役時代でのよくなった例をあげると、2005年、阪神タイガースのリーグ優勝を決定づけたと言える、9月7日の2位・中日との直接対決です。中日に2ゲーム差まで迫られた阪神にとっては絶対に負けられない一戦でした。

ここでは度重なる審判の微妙な判定に岡田彰布監督が激高し、試合が中断したりもしました。また、サヨナラ負けのピンチを迎えた時には、珍しく監督みずからがマウンドの守護神・久保田智之さんのところまでやってくるなど、チームの勝利への執念を感じました。

2005年9月7日の中日ー阪神戦。9回裏に中日・アレックスの生還をめぐり抗議する阪神・岡田監督

結果は、中村豊さんの決勝ホームランで劇的な勝利をおさめ、ここから一気に優勝に向け突っ走ることができたのですが、もしあの試合に負けていたら……と今でも思います。

一方、流れが悪くなった例をあげるなら、2008年9月19日から21日の首位・阪神、2位・巨人の直接対決3連戦です。8月に北京五輪のため主力選手(矢野燿大さん、藤川球児さん、新井貴浩さん)がチームを離れ、その後新井さんが、ケガで離脱した影響も大きかったのですが、シーズン途中に2位に最大13ゲーム差をつけ、首位を独走していたにもかかわらず、優勝を逃した最大の要因は、この3連戦で3連敗を喫したことだと思います。

今年も8月以降、シーズンの流れを決定づけるような試合が間違いなくあるでしょう。当然負けることはあるのですが、1つの負けが大きなダメージにならないような形にしておかなければなりません。

3ゲーム差で首位攻防3連戦を迎えるのと、5ゲーム差で迎えるのでは、メンタル面でも作戦的にも違います。また、同じ1試合でも、そのひとつのプレーで順位が決まってくるような試合では、なかなか思うようなプレーができなくなります。順位を気にせず戦える時期に勝てるだけ勝って、どれだけ貯金を増やすことができるかが重要なのです。

後半戦重要なのは、近本・中野・大山がそろうこと

前半戦の阪神の評価を問われると、間違いなく「強かった」と言えるでしょう。まず、投手陣が非常に安定していました。

先発ローテーションで常に7人から8人のピッチャーがいて、実績のある青柳晃洋選手や西勇輝投手の調子が上がらなくても、村上頌樹投手や大竹耕太郎投手などの活躍で十分にカバーできていました。

青柳晃洋投手などは、たとえ勝ち星がつかなくても、先発ローテーションから外さないという選択肢もあったと思います。それでも5月20日からおよそ2カ月もの間、ファームで再調整させることを選んだということは、チームとして、かなり余裕がある状態で戦えていた証拠です。

鳥谷敬氏

打者陣も投手同様ではないでしょうか。佐藤輝明選手は、いくら調子が悪くても長打力は魅力ですし、期待も大きいので、なんとか一軍に残したいというところが本音だと思うのですが、6月25日に一軍登録を抹消されました。最短の10日間で再び一軍に合流しましたが、佐藤選手がいなくても問題がないほど余裕があったということです。

これは、近本光司選手・中野拓夢選手・大山悠輔選手の3人が打線の軸として固定できたからこそだと思います。

実際に、近本選手が死球による骨折で戦線離脱したあとは、打順を組むことが難しくなり、チームとして大きくバランスを欠いているように感じました。回復が順調そうなので、安心ではありますが、この3人がそろっているということが、後半戦の非常に重要なポイントだと思います。

構成/飯田隆之 写真/共同通信社

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