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1日に5回かかってくる母親からの電話、気にくわないとただ怒鳴る父親…いつまでも子どもを苦しめる“幼稚なままの親”の特徴とは

集英社オンライン / 2023年7月24日 12時1分

親から愛情を注いでもらえなかったり、自分の気持ちを理解してもらえなかったり、といった経験は、子どもの人生に暗い影を落とす。では、子どもに愛情を注がなかったり、溺愛・支配によって子どもを育ててしまう親とはどのような人なのだろうか。『親といるとなぜか苦しい 「親という呪い」から自由になる方法』(東洋経済新報社)より、一部抜粋・再構成してお届けする。

#1

あなたの親は、あなた自身はどのタイプ?
「幼稚なままの親」4タイプの特徴

タイプ①感情的な親

4つのタイプの中でもっとも幼稚だ。自分はみんなから気にかけてもらい、大切にあつかってもらって当然だと思っている。かんたんにへそを曲げるので、家族総出でなだめにかかる。自分の感情が爆発すると、そこに子どもを巻きこみ、その強烈な絶望や怒りや憎しみをぶつける。家族は薄氷を踏む思いだ。



だが、不安定さがあまりにも極端であれば、精神疾患を患っている可能性もある。精神異常か双極性障害、自己愛性もしくは境界性のパーソナリティ障害かもしれない。

感情が爆発して収拾がつかなくなると、自殺や他者への暴力につながることさえある。周囲がおびえるのも当然だ。自殺の兆候は特に子どもを震えあがらせる。子どもは、親の命を守らなければという重荷を感じるが、どうすればいいかはわからない。ここまで極端でない場合は、おそらく演技性パーソナリティ障害や気分循環性障害だろう。いずれも気分の波が激しいのが特徴だ。

感情のバランスをとり、行動を調整することができない

この手の親はみな、ストレスや気分のアップダウンを上手にあつかうことが難しい。

成熟した大人ならば対処できる状況なのだが、彼らには感情のバランスをとり、行動を調整することができないのだ。薬物乱用のせいでバランスを乱し、欲求不満や不安の許容を一段と難しくさせている場合もある。

自制心の程度にかかわらず、彼らはあくまでも感情のままに行動し、万事を白か黒かで判断し、ひたすら根に持ち、情に訴えて相手を意のままにする。

気分にムラがあり、ああ言えばこう言うので、信頼できない上に威圧的だ。傍若無人に振る舞うくせに、自分は被害者だと思うのがつねで、家族はいつも振り回される。外ではたいてい、自分を抑えてきちんとした役割を果たせるのに、家族の親密な関係になると、これでもかと衝動的になる。

そして、子どもは他者の意に沿うようになる(ヤングとクロスコ、1993年)。

親の感情の嵐を気にしながら成長するので、他者の感情や気分を過剰なまでに推し量る。だから、自分の感情を犠牲にすることも多い。

実例:娘の家に無断で押しかける親

Rさんは40代の自立した女性だが、母親はなおも娘を自分の感情でコントロールしようとしていた。Rさんが病気で数日寝こんだときには母親から1日に5回も電話がかかってきたことがあった。

もう治っただろうと勝手に思われ、家にも押しかけられた。Rさんが来ないでくれと頼んでいたのにだ。そこでついに、ドアに施錠した。後日、母親に言われたそうだ。「あんたに締め出されて頭にきたから、ドアを壊そうかと思ったよ!」

母親は「お前が元気になったか知りたかっただけなのに」という言い訳を盾に、さも自分が傷つけられたようにふるまった。

だが実際に母親が気にしていたのは自分の気持ちだけで、Rさんのことなどどうでもよかったのだ。

タイプ②がむしゃらな親

もっともふつうに見えがちなタイプ。子どもの人生への投資も並外れて熱心ですらある。猪突猛進で、物事を成し遂げることだけを考える。

感情的な未熟さは一目瞭然だが、このタイプは子どもが成功するよう力を尽くしているかに見えるので、自己中心性を見抜きにくく、たいていの場合、周囲に害をおよぼすようには思えない。

だがその子どもはおそらく、自発性や自制心に問題を抱える。皮肉なことに、熱心さゆえに未熟さがわかりにくい親の子どもは、無気力で、うつ状態におちいることさえある。

じっくり観察すれば、こうした、いかにも生真面目で信頼できそうな人も精神的に未熟なことがわかるだろう。他者を憶測で決めつけ、自分と同じようにしたいはず、同じことに重きを置いているはずと考える。こうした過度な自己中心性が、自分は他者の「ためになっている」という思いこみへとつながる。

また、見た目のうえでは自信を失うことがなく、万事順調で、答えはもう決まっているというふりをしたがる。

子どもの興味や人生への夢を受け入れるより、自分がみたいものを選んで言葉たくみに押しつけ、子どもの人生にやたらと口出しする。

加えて、じゅうぶんなことをしなければ、という不安が彼らを駆り立てる。子どもを含めた他者の感情よりも、自分の目標を達成することが何より大事なのだ。

自分の子どもが成功を手にできず、恥をかくことを恐れている

このタイプの親はたいてい、感情を奪われた環境で育ってきた。愛情を期待せず、自力でなんとかする術を身につけなければならなかった。

独立独行が多く、それを誇りに思っている。だから自分の子どもが成功を手にできず、恥をかくことを恐れている。

一方で、子どもを無条件で受け入れることができないため、やがて子どもが社会に出て物事を成し遂げていく際に必要な安定した基盤を与えてやれないのだ。

親にそのつもりがあるかはわからないが、子どもはつねに評価されているような気がしている。たとえば、子どもたちに目の前でピアノを弾かせては、間違いを指摘している親だ。子どもは大人の助けを求めたがらなくなることが多い。その結果、大人になっても、いい相談相手とのつながりを拒むようになる。

がむしゃらな親は、何につけ最適なやり方を知っているようにみえるが、ときにとんでもない行動に出ることがある。

ある母親は、娘はきちんとできないだろうからと、成人した娘の家賃を払うと言い張った。成人した息子が頼んでもいないのに中古車を購入し、いらないと言われて傷ついた母親もいる。太ってしまった若者が、毎日父親の前で体重を量らされた例もあった。

がむしゃらな親は、不安定な愛着行動を示す乳児の母親――敏感性の低い母親とどこか似ている。そのときどきの子どもの経験と向き合わず、子どもの気持ちに合わせることができない。かわりに、自分が考える〝型〞に子どもを押しこめる。

実例:怖くて親にさからえない

弁護士のKさんは、横暴な父親から、成功するようにと絶えずプレッシャーをかけられてきた。

心理セラピストであるわたしとのセッションが始まったばかりのころ、彼女は子ども時代をこんなふうに語った。

「父はわたしを意のままにしていました。自分とちがう考えの人間はだれであれ認めないのです。わたしはまちがった選択をするのが怖くて、その不安だけでいろいろなことを決めていましたね。完全に父に支配されていたと思います。大学時代も門限は11時で、恥ずかしくてたまらなかったけど、それでも父にさからおうなんて夢にも思わなかったです」

父親は娘の思考まで意のままにしようとした。娘の考えが気にくわないと、即座に「バカなことを考えるんじゃない!」と怒鳴った。

タイプ③受け身の親

このタイプは怒ったり、押しが強いといったことはないが、まちがいなく否定的な影響を与える。支配的な性格の人に唯々諾々と従い、未熟でより感情的な相手をパートナーに選ぶことが多いが、精神的な成熟度の似た者同士が惹かれ合うことを考えると、理にかなっている(ボーエン、1978年)。

ほかのタイプよりはいささか真っ当にみえるが、それも程度の問題だ。物事が過度に感情的になってくると、途端に受け身になり、心のシャッターをおろして、みてみぬふりを決めこむ。

子どもが世の中をわたっていくのに役立つこと――物事には限度や限界があるといったことを教えもしなければ、導いてやることもない。子どもを愛してはいるかもしれないが、力になってやることはできない。

未熟で自分本位なのはほかのタイプと同じだが、おだやかで陽気なことも多く、4タイプの中では一番人好きがする。

子どもと楽しむことはしても、子どもを守らなければいけないとは思わない

自分の欲求が妨げられなければいい親でいられる場合もあり、子どもに多少は心を寄せられる。子どもも親とすごせるのはうれしいが、親が求めるのは自分を尊敬し、気配りをしてくれる相手だ。子どもはそれを満たすだけの存在にすぎないことがあり、この関係は「精神的な近親相姦」ともいえる。親の嫉妬や性的欲求まで引き起こしかねない危険なもので、子どもにとってはやりきれない関係だ。

子どもは、こうした親に助けを期待したり求めたりしても無駄だと悟っている。親が子どもとくつろぎ、楽しくすごし、子どもに特別感を抱かせることがあっても、親が本当は子どものためにそこにいるのではないことを察しているのだ。

実際この手の親は、子どもに有害な家庭状況でもみてみぬふりをし、子どもに自力でどうにかさせようとする。たとえばある母親は、夫が子どもたちに暴力をふるっていたことについても、まるで他人事のようにおだやかに話す。

「パパはときどき、厳しく接することもありましたね」

受け身の親は、トラブルの火の粉が降りかかってこないようにしなさいと教えられてきたことが多い。だから親になっても、子どもと楽しむことはしても、子どもを守らなければいけないとは思わない。最悪の事態になれば放心状態となり、自分の殻にこもるか、嵐が去るのを待つ。

彼らは、大変なことが続くと子どもを見捨てるうえ、自分がもっと幸せになれそうだと思ったら、家族すら放り出していくかもしれない。

実例:家の中のトラブルもみてみぬふりの親

Iさんの母親は短気で暴力をふるった。長い勤務時間の後、むっつりして帰宅。

父親はやさしく、たいてい上機嫌で、家に帰れば、書斎でのんびりすごす。

Iさんの面倒はほぼ姉がみていたが、姉も暴力をふるい、Iさんを見下していた。しかし父親は、Iさんがそんな目に遭っているとは考えもしなかった。

Iさんは父親のそばにいるときだけ安心していられた。父親のやさしさだけが人生を明るく照らしてくれた。愛を感じられた。だから父を尊敬し、父を守らなければと思った。

たとえば、カッとなった母親に居間で叩かれていたとき、父親がキッチンで鍋をガチャガチャしている音が聞こえてきた。Iさんはこの音を、パパはここにいるからね、という合図だと解釈し、父親が暴力を止めに来てくれることは期待しなかった――。


胸が痛くなる例だ。精神的に恵まれない子どもは、大好きな親の行動をなんでも好意的に解釈しようとする。

Iさんには軽い吃音もあり、遊園地に行った際に姉と友人にからかわれ、ヒステリーを起こしたことがあった。父親は、姉たちをたしなめることも、Iさんの気持ちに寄り添うこともなく、笑い飛ばしただけだった。帰りの車内では、みんなで次々にIさんの話し方を真似しては大笑いしていた。

タイプ④拒む親

このタイプは、自分のまわりに壁をつくっている。子どもといっしょにいたがらず、1人でやりたいようにすごせるのが何よりの幸せと見える。

子どもは、自分がいないほうがいいんだと思っている。そばに行くと親がイライラするからだ。うれしくて走っていったのに目の前でいきなりドアを閉められたようだったと表現した人もいる。

この手の親は、愛情に満ちたやりとりや心の交流に引きこまれそうになるのを拒む。しつこく迫られれば、怒るか悪態をつくことさえあるだろう。ひどい暴力もふるいかねない。

4つのタイプの中ではもっとも共感力も低い。精神的に親密になるのがいやだと伝えるために目を合わせないことが多く、あえてうつろな表情や敵意のこもった目で見つめて相手を遠ざけることもある。

万事自分中心

また、自分の望みを中心に家庭を支配している。無関心で恐い父親がよい例だ。子どもに温かく寄り添うことがない。万事自分中心で、家族は本能的に父親の機嫌を損ねないようにする。こういう父親といると、子どもは単純に自分の存在を申し訳なく思う。だがもちろんこれは父親にかぎったことではない。

子どもは自分が、親をわずらわせ、いらつかせていると考えるようになる。

精神的に安定した子どもは、親にねだったりすねたりして望みをかなえていることが多いのに、親に拒まれる子どもはなんでもあきらめてしまう。それが大人になったときに深刻な影響をおよぼしかねず、自分の欲求を容易に伝えられなくなる。

実例:子どもとのコミュニケーションもいやがる

Nさんの母親は娘とすごすのがうっとうしくてたまらなかった。

Nさんが会いにいっても、抱きしめるのをいやがり、すぐさまNさんの外見に何かしら文句をつけた。Nさんが部屋に足を踏み入れるや、親戚に電話をしろとせっつくのがつねだった。とっとと追いだしたいかのようで、Nさんがいっしょにすごそうと言おうものなら、イライラして、お前は親に頼りすぎだと怒った。

『親といるとなぜか苦しい 「親という呪い」から自由になる方法』(東洋経済新報社)

リンジー・C・ギブソン (著)、 岡田尊司 (監修)、 岩田佳代子 (翻訳)

2023年5月24日

1,650円

288ページ

ISBN:

978-4492224106

\ 全世界で大共感の声50万部突破 /

「親のために努力し続けて、しんどい――そんな自分に気づき、涙が止まりません」
「共感できることがありすぎて、すべてのページにマーカーを引きたい」
「未熟な親のもとで育ち、自分を大切にする方法を知らなかった私のために書かれた本」
「これほど人生が変わる本はなかった!」

見た目は大人だが、精神年齢は子どものままの親が子どもを苦しめる。
愛したいのに愛せない親を持つ人が「心の重荷」を降ろす方法

◆家庭環境は平凡です。だけど親が嫌いです
◆「本当にやりたいこと」が見つからない…
◆私は家族の落ちこぼれ?人生がむなしいです
◆恋愛が苦手。どうしていいかわかりません

こうした「生きづらさ」を抱える人は、
「自分がヘンなのではないか」と悩むことが多いでしょう。

でも、その原因が子ども時代にあるとしたら…?

あなたに呪いをかけ、いつまでもあなたを苦しめる
「見た目は大人、中身は子どもの親」の4タイプとは。

◆感情的な親……機嫌を損ねないかと周囲はビクビク
◆熱心すぎる親……子どもの気持ちを無視した「完璧主義」
◆受け身な親……見て見ぬふりで役に立たない
◆拒む親……冷たく無関心。なぜ子どもを持ったのか謎

「まわりの人たちは家族の愛やつながりを明るく語るのに、なぜ自分は孤独を感じるのか。
家族と仲よくしようとするだけで、傷ついたり無力感にさいなまれたりするのはなぜだろう。
親から受けたつらい思いや混乱から、どうやって子どもは立ちなおっていけばいいのだろうか。
本書ではその解決のヒントを提示する」

――著者 リンジー・C・ギブソン

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