婦人解放運動家でアナキスト・伊藤野枝の短くも激しい人生を描いた村山由佳さんの評伝小説『風よ あらしよ』。2020年に刊行されるや否や大きな話題を呼び、第55回吉川英治文学賞を受賞し、ドラマ化もされました。文庫化を記念して、解説を書かれた上野千鶴子さんをお招きした対談をお届けします。
明治から大正にかけて自由を求めて闘い、男を愛し、子を産み育て、3番目の夫・大杉栄と甥とともに28歳で憲兵隊に虐殺された伊藤野枝。その波乱の人生は、様々な書き手によって描かれてきました。上野さんの解説はこう始まります。〈すでに傑作と評判のある伊藤野枝伝があるところに、後から手を出す書き手はどんな蛮勇の持ち主だろうか?〉
村山さんを“蛮勇”に駆り立てた思い。野枝をめぐる男と女の人物評から、昨今のアナキズムブームまで。初対面のお二人の熱い対談をお楽しみください。
構成=砂田明子/撮影=露木聡子