〈狩猟者〉の目線で土地をとらえ、地図にはのっていない〈いい土地〉を見つけて狩りをし、極北の〈裸の大地〉を自由に動きまわるには、犬の力が必要だ―― 。これまで様々な探検をするも、〈犬橇にだけは手を出さない〉と決めていたという角幡唯介さん。しかし前作(『裸の大地 第一部 狩りと漂泊』)で経験した海豹狩りの失敗によって翻意し、本作で犬橇を始めます。
犬選び、犬の訓練、犬橇作り、時速20キロの犬橇での疾走。2年かけて犬橇をものにしたと思った矢先に、北の大地にまでコロナが押し寄せ、旅を続けるべきか苦悩します。そして訪れる犬との別れ。〈犬たちを一瞬たりともかわいいと思ったことはなかった〉と綴る格闘の日々は、〈自力〉を追求してきた角幡さんの旅の在り方のみならず、生き方をも変えていきます。刊行にあたり、お話を伺いました。
聞き手=編集部/構成=砂田明子
撮影=竹沢うるま