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開店日から毎日行列! 雑司ヶ谷おにぎり専門店「山太郎」の絶品“握らない”おにぎり。自宅で再現する方法とは?

集英社オンライン / 2023年7月30日 11時1分

2022年10月16日、豊島区雑司ヶ谷にオープンしたおにぎりととん汁の専門店「山太郎」は、開店したその日から行列の絶えない人気店となっている。なぜ山太郎のおにぎりがここまで人の舌と心をとらえたのか。その人気の秘密に集英社オンラインが迫る。

“ぼんご出身の店”は開店直後から話題

朝9時にお店を訪問すると、店内は仕込み作業の真っ最中。店主の樋山千恵さんは卵黄の醤油漬けの準備をし、別の女性スタッフは豚汁用の野菜を手際よく切っていた。仕込みは毎日朝8時から始まるという。

卵黄の醤油漬けを仕込む樋山さん

「まずはとん汁用に出汁を取ります。カツオの厚削り節と、サバ・ウルメイワシの薄削り節、昆布を使い、一番出汁と二番出汁を合わせて完成させます。


並行してお米を冷水で浸水させておき、あとは冷凍しておいた卵黄を解凍して醤油漬けにするところから1日が始まります。そのあとは、さまざまな具材の仕込みを進めていきます」(樋山さん、以下同)

樋山さんは、同区大塚にある「日本一おいしい」と絶賛される有名おにぎり専門店“ぼんご”で半年ほど修行し、さらに半年ほどの間借り営業を経て、ここ「山太郎」を開店した。「ぼんご出身のお店」とおにぎり愛好家の間で即話題となり、今年の7月8日には本店の斜め向かいにテイクアウト専門店もオープン。

山太郎に並ぶ人々。外国人の姿も

現在、従業員は15人ほど。将来的に自分でもおにぎり屋をやりたいと希望しているスタッフもいるという。その女性は最初はぼんごの門を叩いたものの、弟子として入るのに順番待ちがあって希望が叶わず、山太郎へやってきたのだ。
しかし、樋山さんは「ウチでは弟子を取るなんて感じではないですよ」と笑う。

山太郎のおにぎりの具材は、定番の「うめ」「さけ」「ツナマヨ」を筆頭に、山太郎オリジナルの「スパイシィアヒポキ」といった変わり種など、現在21種類。さらにトッピングにクリームチーズと細切りチーズがある。
60種類近く具材が並ぶぼんごに比べると3分の1ほどだが、具材が少ない理由をこう話す。

山太郎のメニュー

「ぼんごさんと同じ具材ではなく、できればオリジナリティのある具材を増やしていきたいので。
あとは人手不足もあって仕込みが追いつかないという本音もあります(笑)」

店内のコンセプトは、センスはいいけど“程よくダサく”、敷居は低く

おにぎりの値段は具材により300円、350円、400円の3段階(2023年7月30日現在)。

「人気があるのは『明太マヨクリームチーズ』と『肉そぼろ卵黄』ですね。オススメはうちのオリジナルメニューであるマグロの切り身を使った『スパイシィアヒポキ』『麻薬たまご』『ヤンニョムチキン』などです。
基本、ぼんごさんで教えていただいたメニューは取り入れていますが、具材に限らず、とん汁にこだわったり、お店の内装も若い人に寄せてみたりと、山太郎のオリジナリティも大切にしていきたい。
山太郎の提案する、新しいおにぎりの魅力を見つけてもらえたらと思っています」

樋山さん手作りのキャラクター「山太郎くん」

実際、山太郎は女性客を意識した店づくりになっている。壁に掲げられたメニューや、“山太郎くん”と名付けられたおにぎり型のキャラクターはすべて樋山さんの手作り。暖簾も手書きしたものを印刷してもらったという。

「とはいえ、おにぎり自体は手で作るものだから、あくまで手作り感を大事にしたいですね。店内の雰囲気もあまり行きすぎると逆に入りづらくなってしまうかもしれないので、“程よくダサく”を考えています。
また、『ライブ感を大切に』とぼんごの女将さんはよく仰ってました。ですので、お客様に視覚的にも楽しんでいただけるよう、握り台や具材ケースの高さも見やすいよう調整しています」

ライブ感を演出するために調節された握り台と具材ケース

テイクアウト専門店をオープンさせたのには、子連れが理由で行列に並べないファミリー層にも山太郎のおにぎりを食べてもらいたい思いから。
とはいえ、やはりお店で食べてほしいという気持ちは強いという。

「握り台に立ってお客さんとコミュニケーション取りながら、握りたてのおにぎりを食べていただきたい。私自身がその素晴らしさをぼんごさんで体験しました。それでおにぎり店をやりたいって思いましたから」

山太郎のおにぎりはこう作られる!

テイクアウト専門店をオープンしてからは待ち時間が緩和されたが、開店当初の山太郎は、平日が約30分、土日は整理券の配布があるものの長くて1時間半から3時間ほどの待ち時間となっていた。
営業時間は昼の11時から15時(テイクアウト専門店は16時半から18時半)と短め。だが、開店当初は樋山さんひとりで握っていたが、今では握り手も5人に増え、営業時間を伸ばすことも考えている。

「握り手がひとりのときは苦労しました。私がコロナに感染してしまい、1週間ほどお店を閉めたこともありました。やっと組織としてまわるようになってきたところです」

大きな寸胴に大量の具材を煮込む。看板メニュー豚汁の仕込み

プロが握るおにぎりと家庭のおにぎりの一番の違いは、どこにあるのか。

「うちやぼんごさんの場合、あくまで握らないんですよ。おにぎりなのに握らないっていう技術を家でやるのはとても困難なことだと思います。
あとは商品として提供するものなので、一定の大きさと具材の量、それにスピードが求められますよね。とにかくお客さんに早く提供することにはこだわりを持っています。ショーケース内の具材の置き場所にも工夫しています」

いったいどれだけの早さで提供されるのだろうか。実際に目の前でおにぎりを握ってもらった。ちなみに樋山さんは1日に約400個握るという。
質問に答えながら、わずか3分ほどで5個を完成させた。この早さに不満を持つ客はいないだろう。

色鮮やかな具材をおにぎりの型に並べていく

おにぎりに欠かせない、お米、海苔、塩へのこだわりも聞いてみた。

「お米は冷めてしまっても、しっとりとしたおいしさを保つために、水分の含有量が増える大粒の富山県産コシヒカリを使用し、お米自体の存在感を出すために水少なめで硬めに炊いています。
海苔は包装紙のような役割があります。ですからハリがあって破れにくく、かつ香りがいい有明産です。塩についてはミネラル豊富で甘みがあり、粒子の細かい沖縄産のものを使ってます。

左から、卵黄そぼろ・明太マヨクリームチーズ・麻薬卵・スパイシィアヒポキ・ヤンニョムチキン

ちなみにお米の炊き方ですが、2時間冷水に浸しておいてから水を少し少なめにして、早炊きで一気に炊きあげればおいしくなります。ぜひご家庭でも試してみてください」

後編に続く

集英社オンライン編集部ニュース班

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