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ハイボール50円、生ビール90円!“コロナ解禁”で過熱する居酒屋「激安戦争」の内情

集英社オンライン / 2022年5月23日 17時1分

3月下旬にまん延防止等重点措置(以下、まん防)が全面解除されて以降、東京都内の繁華街では、ハイボールやレモンサワー、生ビールが1杯100円以下で飲める店が続出! 生き残りをかけた居酒屋の「激安戦争」が勃発していた!

「日本人は“店で飲む文化”を失ってしまった」

3月22日にまん防が解除され、東京都では飲食店の利用人数の制限が4人以内から8人以内に緩和された。だが、繁華街の居酒屋は客数も売上げも未だ伸び悩んでいるのが現状だ。

「まん防解除後、来店客は増え、売上げも少しは戻りましたが、コロナ前と比べれば6~7割程度。テレワークが普及し、友人や会社の同僚と飲み会を開く頻度が激減している状況は変わらず、新入社員の歓迎会など、通常ならこの時期に増える大人数での宴会利用はほとんど回復していません。外国人客はほぼゼロです」(都内居酒屋店主)



「まん防」解除後、飲食店にとっての“命綱”であった協力金の支給も途絶えた。自力で店を立て直すべく、いま繁華街で過熱しているのが値下げ合戦だ。

JR神田駅北口の飲み屋通りにある、大手居酒屋チェーンの店舗では11時~17時まで生ビールが290円、近隣の炉端焼き屋では19時半までハイボールが100円引きに。その斜め向かいにある居酒屋は、今年1月から生ビール、サワー類、ハイボールを昼飲み限定で199円にしていたが、まん防解除後に「終日199円」にしたという。

このようにまん防解除後は、時間限定や期間限定ではなく、常時値下げする飲食店が増えているのだ。

「コロナ禍の2年間で、最初は店で飲むことをガマンしていた人も、いつしかそれに慣れ、習慣化してしまい、家で飲むことが普通になってしまった。コロナで我々が失ったのはお客さんではなく、店で飲むという文化そのもの。

それを取り戻すには、小手先のキャンペーンじゃダメ。『常時』『いつでも』『何杯でも』といった形で、思い切った値下げに踏み切るしかないんです」(前出・都内居酒屋店主)

原価はレモンサワーが20円台、ハイボールが30円

その傾向がとりわけ顕著だったのが、新宿歌舞伎町だ。JR新宿駅東口から歩いて、『歌舞伎町一番街』と書かれた巨大アーチをくぐると、安さを強調する店看板の数々が、否が応にも目に飛び込んでくる。

アーチから歩いて30mほど先には、『毎日、何杯でもハイボール50円』の居酒屋が。ちなみに生ビール(中)が299円、サワー全品99円、ワイン99円と他の酒類も激安だった。

東京・歌舞伎町では「1杯100円以下」をうたう店が続々

この店の数軒先にある焼鳥屋の看板には、『ハイボール・レモンサワー いつでも何杯飲んでも1杯99円』とある。さらにその数軒先には、『いつでも何時でも レモンサワー ハイボール 50円』の居酒屋があった。

「歌舞伎町一番街には、コロナ前からハイボールを50円で出す店がありました。コロナ禍に入り、昨年9月末に緊急事態宣言が解除されたあと、レモンサワーとハイボールが50円の居酒屋がオープンし、今年3月にまん防が解除されると、1杯100円以下に値下げする店が他にもかなり増えました。新宿の相場では2~3000円は掛かる2時間飲み放題も、この辺りでは1000円以下で提供する店が増えています」(歌舞伎町・居酒屋店主)

そう話すこの店主の店は、4月から350円の席料を無料に、生ビールを290円、サワー・ハイボールを190円に値下げしたという。普通ならこれでも十分安いが、「1杯50円」を掲げる店に囲まれるなかでは、むしろ高いと錯覚するほどに歌舞伎町の値下げ競争は苛烈になっている。

どの店も赤字覚悟、ということだろうか? 歌舞伎町の居酒屋のオーナーがこう話す。

「レモンサワー1杯の原価は、アルコール度数35度の焼酎を使えば50円程度ですが、20度の安価な焼酎を使えば20円台まで下がります。ハイボールもサントリーの角瓶だと難しいですが、安価なウイスキーを使えば30円くらい。つまり1杯50円で黒字になるか赤字になるかは、使うお酒次第なんです。

今、歌舞伎町では原価率の高いビールではなく、原価率の低いレモンサワーやハイボールを主戦場に低価格競争が起きています。生ビールの原価は、銘柄によっても違うけど、中サイズで120~150円するのが一般的だから、驚くほど安い価格には下げられないという事情があるんです」

ミネラルウォーターより安い“生中”も

だが、ところ変わってサラリーマンの聖地、東京・新橋では生ビールを主戦場とする激安戦争が勃発していた! 熾烈な低価格競争をリードしてきたのは新興の居酒屋チェーンだ。

コロナ禍の20年6月、大阪を本拠にする居酒屋チェーン・GALAがプレミアムモルツの生中を常時180 円で提供する店舗『勝男』をJR新橋駅の烏森口エリアに出店。

さらに安い生ビールを提供しているのが、名古屋市本拠の居酒屋チェーン・ファッズが展開する『新時代』だ。『新時代』は、アサヒスーパードライの生中を190円で提供し、新橋に3店舗を展開していたのだが、昨年4月、JR新橋駅銀座口に新店オープン。この店の生中の価格はなんと、常時90円。コンビニのミネラルウォーターよりも安いのだ!

東京・新橋では「生中100円以下」を巡る値下げ競争が過熱していた!

だが、これに驚いてはいけない。まん防が解除される直前の今年3月、JR新橋駅前の商業ビル・ニュー新橋ビルの2階に、さらに一段安い生ビールを提供する店が現われた。

都内の激安居酒屋の最新事情をレポートする『新橋酔式の泥酔ブログ』の管理人がこう話す。

「都内に20数店舗の激安居酒屋を展開する『有限会社・飯田』が出店した『たぬき』は、サッポロ黒ラベルの生中を、新橋最安値となる80円で提供しています」

日本経済全体がインフレで揺れるなか、それとは対極の“超デフレ化”が進んでいる居酒屋業界。このままでは1杯50円の生ビールが登場する日も近いかもしれない。そして“店で飲む文化”ははたして戻ってくるのだろうか?

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