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自分のことを好きになるために必要な力“ネガティブケイパビリティ”…自己肯定感を上げるために自分の失敗や欠点を認める勇気

集英社オンライン / 2023年8月4日 9時1分

いまいち自分に自信が持てず、何をしても不安感が付きまとう。人気のビジネスコーチである山﨑拓巳さんは、下がってしまった自己肯定感を高めたいと思うときに大切な力が「ネガティブケイパビリティ」だと言う。山﨑さんの著書『正しい八方美人になる秘密人づき合いのコア』より、自分のことを好きになれる考え方について一部抜粋・再構成のうえお伝えする。

自分に寄り添う力「ネガティブケイパビリティ」

人間には、どうしても解決できないことがたくさんあります。それを、そのままで受け止める力。それがネガティブケイパビリティです。世の中には、「自信がある人」を「自己肯定感が高い人」だと思っている人が多いと感じます。でも、それは違います。



そうではなくて、ダメな自分も受け入れることができる力が自己肯定感です。そう、ネガティブケイパビリティがある人、つまり自分自身に寄り添う力がある人が、自己肯定感が高い人なのです。

これからの時代は、この「自分に寄り添う力」がとても重要になってきます。それには、理由があります。失われた30年と言われたこれまでの日本は、努力が実らない国でした。
どんなに頑張っても、努力が実らないのであれば、チャレンジを避けたいと考える人が増えて当然です。

打席に立てば打率も下がるので、事なかれ主義で減点されない人たちが、企業で出世していきました。ところが、企業自体が力を失ってきた現代は、求められることが変わってきました。これからは、バッターボックスに立たない人よりも、三振しても打席に立ち続ける人が活躍していく時代になるでしょう。

ホームラン王は三振王でもある

これまでは、大企業というプラットフォームに帰属することが力の象徴でした。でも、もう「個の時代」が始まっています。企業にぶら下がっているだけでは生き残れない。各個人の価値が問われる時代がやってくるのです。個々人が魂(たましい)磨きをして、経験値を上げていかないとならないわけです。

たくさん打席に立つと、当然、失敗も増えます。チャレンジャーほど、打率は下がります。たとえば作詞家の秋元康さんは、ものすごい数のヒット曲を出していますが、その影で売れなかった曲も大量にある。

秋元さんをみていると、ホームラン王は三振王でもあることがわかります。三振しても打席に立ち続けるからこそ、ホームランが打てる。そこを、僕はめちゃめちゃ尊敬しています。

現実の野球の世界でも、ホームラン王は三振王でもある、ということが実際に起こっていますよね。フルスイングするから、三振するし、ホームランも打てるわけです。

そして、そのチャレンジを続けるときに大事なのが自己肯定感です。うまくいかないときに、ポキっと折れず、次にいこうと思える力です。秋元康さんというと、遠い有名人の話に聞こえるかもしれません。でもこれって、僕たち一般人も同じなんですよね。

自分に寄り添える人は人づき合いもうまくいく

最近、20代の人たちと話をしていると、「しくじることが怖い」とよく聞きます。あるデータでは、20代の独身男性のうち、デートをしたことがない人が6割いるのだそうです。これは、「しくじることが怖くて告白できない」からではないかと言われています。

たしかに、その気持ちはわかります。昔の告白は「ラブレターをそっと下駄箱に入れる」でした。たとえフラれたとしても(その相手の子が、ラブレターを黒板に貼り出したりしない限り)、その告白がさらされることはありませんでした。

でも今は、LINEのスクショが友達内でまわされるような時代です。僕たちは、しくじりがバレてしまう時代に生きています。そう考えると、「なるべくなら、しくじりたくない」という気持ちもわかります。

だけど、そのしくじりを恐れすぎると、何にもチャレンジできない人になるし、一生好きな人をデートに誘えない人になってしまう。経験値が上がっていきません。仕事で失敗したときも、フラれたときも、
「失敗しちゃいました」
「フラれちゃいました!」
と言えるネガティブケイパビリティが大事になってくるのです。

自分を否定しない。
ダメな自分も認められる。
そして、自分のマイナスを隠そうとしない。

そういう人が、これからの時代には大事だし、自分に寄り添える人は人づき合いもうまくいくようになります。

では、なぜ自分のダメな部分を認められると、人づき合いがうまくいくのでしょうか。それは、人づき合いは、パズルの凸と凹のようなものだからです。

欠けている部分よりある部分を見る

自分のダメな部分、それは凸凹でいうと凹の部分です。

凹というのはへこんだところですから、言ってみれば、才能がない部分かもしれません。でも、へこんでいるからこそ、凸をすんなり受け入れられる。凹の人は、「才能は足りないかもしれない」けれど、「人の才能を生かす才能を持っているかもしれない」とも言えるのです。

凹がある人には、凸がある人を紹介したくなります。そうすると、自分ひとりではできないことに、どんどんチャレンジできるようになります。「欠け」を受け入れることができるから、いろんな人とくっついて、世界を拡大することができる。

そんなチャンスを手に入れるためには、できない自分を隠さないこと。ダメな自分にもそっと寄り添える、ネガティブケイパビリティが大事なのです。

自分の欠けている部分を大事にできる人は、人の欠けている部分にもそっと寄り添えます。
逆に、人の「欠け」が気になる人は、自分の「欠け」が許せない人です。

「あいつ、細かいよなあ」
なんて言う人は、実は、本人も細かい人です。大雑把な人は、人の細かさに気づきません。人の細かさに気づける人は、自分も細かい人なのです。

自分はその細かさが嫌だし直したいと思っているのに、平気でそれを出してしまう人が許せないんですよね。

欠けている部分、つまり「ない」ことにフォーカスしていると「この欠けさえ補えれば幸せになれるのに」と感じます。でも、その「欠け」は、成長するほどに、相似形で大きくなってしまうのです。

寂しがり屋の人は、権力を握ると、大寂しがり屋になりがちです。意地悪な人は、金持ちになると、大意地悪になりがちです。そうならないためにも、自分にも人にも、寄り添える人になりましょう。

誰もが「欠けた部分を持つ円」だからこそ、「欠け」を見るのではなく、「ある」方を見る。「ある」方を見ていれば、成長したときに「ある」方も大きくなって、より幸せを感じることができます。

大切なのは、円を削り出して、真円を作ること。「ある」方が大きくなったことに感謝して幸せが溢れたら、さらに好循環が生まれ、素敵な未来がやってくるでしょう。

『正しい八方美人になる秘密 人づき合いのコア』P.30より

他人のイラっとする部分にあなたの才能がある

他人にイラっとしたときは、実はチャンスかもしれません。
先ほど、「人の欠けているところにも、自分の欠けているところにも寛大になろう」と言ったばかりで、その言葉をひっくり返すようですが、イラッとする部分には、あなたの才能があるのです。

たとえば、レストランに行ったとき、お水の置き方ひとつで「なんなの? 雑じゃない?」とイラッとした人は、サービス業に向いている人です。

文章を読んだときに「この文章、長いなあ。もっと短く区切って読みやすくすればいいのに」とイラっとできる人は、文章が書ける人です。

気づくということは、そこにあなたの才能があるのです。そこを深掘りしていくと情熱の源泉があるかもしれません。

だから、他人の「欠け」が気になるときは、その気持ちを感じた自分をしっかり見つめてあげましょう。ひょっとしたら、そこに人生を大きく前に進めていける宝が埋まっているかもしれません。

文/山﨑拓巳 写真/shutterstock

『正しい八方美人になる秘密 人づき合いのコア』

山﨑 拓巳

2023/7/20

¥1,650

単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 304ページ

ISBN:

978-4761276812

対人関係で必要なことが全部わかる!
親子、恋人、親友、ライバル、恩人、上司、部下、愛、憧れ、嫉妬、別れ。
著書累計200万部・インスタグラムフォロワーも25万人突破のベストセラー作家「成功の舞台裏」をこの1冊に凝縮。

<本書の主な内容>
○人が人を好きになるメカニズムを知っておく○愛って結局、何?○自分だけ勝とうとしない
○嫉妬はエネルギーに変える○悪口は必ず本人に伝わる○忠告は不要 ○近づきすぎない
○正論は峰打ちで言う ○ 本当の味方は1割もいない ○怒りには怒りで応じない
○噂話はスルーする ○目上の人には魂のしっぽを振る ○親を名前で呼ぶと自立できる.etc

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