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「ふじっ子煮」はつくだ煮界の革命児だった!? 不動のセンターは「ごま昆布」、でも北陸は「からし昆布」で近畿は「さんしょ昆布」…地域によって人気の味が違うのはなぜ?

集英社オンライン / 2023年8月5日 12時1分

ホッカホカのご飯のお供に、おにぎりの具材に、と日本の食卓を支えて続けているフジッコが手掛ける「ふじっ子煮」は誕生から50年以上売れ続けている。ロングセラーのヒミツ、地域ごとで違うという人気フレーバーについて、フジッコ株式会社コア事業本部昆布事業部の胡麻﨑柾徳さんを直撃した。

「ふじっ子煮」はつくだ煮界の革命児

昆布つくだ煮のシェアで50%以上のシェアを持つフジッコの「ふじっ子煮」。1971年に誕生、今年で53年目を迎え、販売も20億パック以上を達成している。
「ふじっ子煮」はなぜここまでロングセラーとなったのだろうか。
それは誕生時のさまざまな工夫によるところが大きいようだ。

「昔は、つくだ煮と言えば量り売りでした。日持ちをさせようとすると塩分をすごく高くしないといけないし、量り売りだと酸素に触れる機会が多くなるため、風味が悪くなってしまうというのが悩みでした。



お客さまにつくだ煮のおいしさをそのまま届けたい思いから、酸素による劣化を防ぐため窒素ガスを充填し、カップで販売するという開発に成功したんです。
今では当たり前の技術かもしれませんが、当時はかなり画期的だったんですよ。
つくだ煮界の革命児とも言われました」とフジッコ株式会社コア事業本部昆布事業部の胡麻﨑柾徳さん。

パックしたことで、日持ちがよくなり風味を損なうことなくおいしく食べられるようになったことに加え、流通面でもスーパーに並べやすくなったというのもヒットの要因だ。
折しも1970年代はスーパーマーケットの成長期時代で、消費者が手に取りやすくなったことも大きいだろう。

パックは2010年にさらに改良し保存に便利な「パチッ!とカップ」を採用。皿がなくてもそのまま食卓に出せて、ひとり暮らしや多様なライフスタイルにも対応させている。

また素材は主に北海道釧路産の昆布を使用。

「おしょうゆと砂糖で仕上げる昆布のつくだ煮は、日本人なら誰でも好きな味で、飽きのこないものだと思います。『海外から帰国したら真っ先に食べたくなる味です』とうれしいお声をいただくことがあります。いつも食卓にあったことで、家庭内で受け継がれる食品になり、今も変わらずお客さまに愛されている商品と思っております」(胡麻﨑さん)

北陸は「からし昆布」、中国地方は「しそ昆布」…
人気のフレーバーは地域で異なる

現在、「ふじっ子煮」は「ごま昆布」「しそ昆布」「さんしょ昆布」などをはじめ、塩分控えめシリーズを加えると14種類が発売されている。


全国販売ランキングで1位は「ごま昆布」だが、地域によって人気商品は異なるという。

全国ランキング
1位 ごま昆布
2位 しそ昆布
3位 こもち昆布
4位 おかか昆布
5位 生姜昆布

人気ナンバーワンの「ごま昆布」

「葉唐こんぶ」は関東で人気

「『ごま昆布』は不動のセンターなのですが、営業で地域を回っていると、その地域によって売れ筋が違うことがわかりました。例えば北陸エリアは『からし昆布』が売れています。全国ランキングでベスト5に入っていない『からし昆布』が北陸ではベスト3入りしているんですよ。
これは、冷奴の薬味はしょうがではなく、からしを使う、厳しい寒さに耐えるため、からしを食べて体を温めるという食習慣があるためでないかと考えています。
食の味の好みというより、その地域の食習慣によって、ふじっ子煮の売れ筋に差が出ることがわかりました」(胡麻﨑さん)

北陸エリアランキング
1位 ごま昆布
2位 しそ昆布
3位 からし昆布
4位 こもち昆布
5位 おかか昆布

北陸エリアで人気の「からし昆布」

その他のエリアでは、近畿では「さんしょ昆布」が第2位。

関西から西の中国、四国、九州エリアでは「しそ昆布」が、不動のナンバーワンの「ごま昆布」より売れている。

「京都では山椒は食卓になじみのある食材ですし、中国エリアはしその実の佃煮があったり、福岡では梅の実のひじきが食卓に並んでいたりしますので、『しそ昆布』が人気のようです」

近畿エリアランキング 中国エリアランキング
1位 ごま昆布 1位 しそ昆布
2位 さんしょ昆布 2位 ごま昆布
3位 しそ昆布 3位 こもち昆布
4位 こもち昆布 4位 おかか昆布
5位 おかか昆布 5位 からし昆布

近畿では2位にランクインする「さんしょ昆布」。中国四国九州エリアは「しそ昆布」が1位

フジッコでは、どのフレーバーも全国に流通させているが、小売店の仕入れによっては、「からし昆布」は関東エリアではあまり見かけないこともあるようだ。

「ふじっ子煮」が、地域の食習慣に自然と溶け込んでいるというのも、ロングセラーとなっている一因なのだろう。

将来、昆布が食べられなくなる!?

1970年代に比べて日本人の食が欧米化し、米の消費量が減っていく中、つくだ煮を食べる機会は減ってきている。
同社では、健康志向に対応した塩分控えめシリーズやご飯やおにぎりの具材だけでなく、調味料として使ってもらうように、提案している。

また、原料となる昆布の生産量は30年前に比べて6割減、生産者は10年で21%減と、こちらも右肩下がりで下がり続けている。
海水温の上昇や生産者の高齢化、後継者不足などが原因だ。

「このままでいくと、やがて昆布が食卓から消えるという危機感があります。そこで当社では、少しでも生産者さんの負担を減らすため、従来、昆布を乾燥させて出荷するところを、水揚げしたその日のうちに洗浄、切断し冷凍貯蔵した昆布を出荷できるようにしました。
重労働になっていた乾燥工程をなくし、生産者さんの負担を減らすことで、昆布の製品を増やし、昆布漁が盛んになってほしいという思いで取り組んでいます」(胡麻﨑さん)

それが「ふじっこ煮MIRAIシリーズ」だ。

「梅入り生昆布」は冷奴に乗せて食べるのがおすすめ

もちろん、消費者にとっても「生昆布」を使うことで、昆布本来の弾力のある食感や鮮度の良さ、磯の風味を実感できる商品となっている。

「おやさい生昆布」と「梅入り生昆布」の2種類のフレーバーがあり、2023年3月に販売されて、注目されている。

持続可能な取り組みと日本の伝統的な食文化をどう守っていくのか、同社のチャレンジは今後も続く。

取材・文/百田なつき

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