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「5月病」を吹き飛ばせ! 睡眠研究の第一人者が伝授する「人生の質が変わる超カンタン睡眠術」

集英社オンライン / 2022年5月18日 11時1分

仕事に向かうのが憂鬱だ。そんな「5月病」に陥った方には、ぜひ「睡眠」に目を向けることをおすすめしたい。睡眠研究の第一人者で2022年4月発売の『スタンフォードの眠れる教室』(幻冬舎)を執筆した、スタンフォード大学教授の西野精治氏が、5月病を吹き飛ばすだけでなく、コロナウイルス感染リスクも低減させる睡眠術をお伝えする。

睡眠と「5月病」の意外な関係

睡眠という観点でいうと、5月は本来であれば睡眠の質が高まりやすい時期です。冬のように寒いわけでも、夏のように暑いわけでもありません。

しかし日本人の場合、「環境の変化」が睡眠に大きな影響を及ぼします。ビジネスパーソンの方であれば、4月から異動などで働く環境が変化している方も多いでしょう。また、かつて私は精神科医を務めていましたが、5月ごろは精神疾患になる方が特に多かったです。



さらにゴールデンウィークが明けて、仕事が始まるタイミングでブルーな気持ちになる方が増えます。いわゆる「5月病」です。それにより精神的な影響を受け、それが睡眠に大きな影響を与えます。

そのため、5月は他の時期よりも意識的に睡眠に注意を向ける必要があります。実際、大阪府の医師会も「5月病を改善するには睡眠の質を向上させるのが重要である」と述べているほどです。

しかし、いきなり睡眠の質を向上させようにも何から取り組めばいいか分からないという方も多いはずです。

そんな方に、1つアドバイスを送りたいと思います。それは「眠くなったら寝る」ということです。なぜなら、眠い時に寝るのが、入眠がもっともスムーズになり、心身の修復に必要な深いノンレム睡眠が出現するからです。これは睡眠研究からも明らかになっています。

「それはそうだろう」と思った方も多いでしょう。しかし、これを実践できている現代人がどれだけいるでしょうか。

眠くても寝れない現代人

例えば、会社に勤務しているとき。眠くなったからといって机に突っ伏していたら、周囲から良い印象を持たれないでしょう。また夜遅くなっても、眠いのにスマートフォンで動画視聴やゲームに興じていると、入眠の機会を逸してしまいます。

「眠くなったら寝る」。
こんな単純なことも、現代人はなかなか実践が難しいのが実情ではないでしょうか。

一方で、眠くなったタイミングで寝れれば、睡眠の質も自ずと高まります。朝起きれない、しっかり寝たはずなのに疲れが取れないなどの症状も出にくくなるでしょう。

「眠くなったら寝る」は、睡眠の質を高める上で極めて重要なポイントの1つなのです。

もし「眠くなったら寝る」を実践できず、睡眠の質が高まらないとどうなるのでしょうか。実は眠いというのは身体が発するアラートであり、これを無視し続けると5月病だけでなく、睡眠障害やそれに起因していると思われる糖尿病などの疾患に悩まされる可能性があります。

近年、睡眠に関する研究が進み、さまざまなことが明らかになりつつあります。

その1つが「ウイルスへの感染リスク」です。当社では、2021年1月に全国47都道府県の1万人(性別・年齢・都道府県で割付)を対象に、睡眠習慣や睡眠の質をスコア化する調査を実施しました。

それによれば、睡眠の質の高さと免疫の強さには相関関係があることを示すデータが得られています。特に新型コロナウイルスの疑いがあった方は、睡眠偏差値が低い傾向にありました。

もちろん、この調査だけでコロナウイルスへの感染リスクと睡眠の質に相関関係があると言い切ることはできません。しかし、相関関係がありうることはデータから明らかになっていると言えます。

アプリを使わずに「睡眠の質」をチェックする方法

睡眠の質を決定づける要素は、色々とあります。例えば体の内部の体温はその1つで、入眠時は皮膚から放熱されることで体温はさがります。お風呂に入るタイミングや寝具選びなども、この観点で選ぶ必要があります。

一方で、寝ている時に覚醒して起きてしまう、いわゆる「中途覚醒」の状態になる方もいらっしゃるかもしれません。

そのような方は5月病による影響ではなく、まず睡眠障害に陥っていないか見極める必要があります。たとえば、睡眠時無呼吸症候群等の睡眠障害に陥っていると、生活習慣を変えるだけでは睡眠の問題はクリアできません。

それでは、質の高い睡眠がとれているのかどうかは、どのようにして見極めればいいのでしょうか。最近はスマートフォンのアプリなどもありますが、私からすると睡眠障害の診断に用いるには精度は十分とは言い切れません。

そこでお勧めしたいのが「周囲の人に見てもらう」ことです。家族がいらっしゃる方であれば、睡眠時にいびきをかいていないか、呼吸が一定の頻度で止まっていないか、足などが勝手に動いていないか、なにか気づいたことがあれば教えてもらうようにしましょう。

特に「睡眠時無呼吸症候群」には注意が必要です。呼吸が止まる頻度が多い方はその可能性が高く、この場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。

近年は睡眠に対する関心が高まっていることもあり、日本でも睡眠クリニックが増えつつあります。一方で、必ずしも睡眠に対する知見を十分に有している方が携わっているとは限りません。

それでは、どのような観点で睡眠クリニックを選べば良いのでしょうか。

私がおすすめしたいのは「日本睡眠学会」に所属する医師が経営する病院やクリニックを選ぶことです。日本睡眠学会のホームページを見ると、約500名の専門医の方々のお名前が掲載されています。その方々が運営する病院やクリニックなら、安心して診察を受けられるでしょう。

もちろん、睡眠クリニックは全都道府県にあるとは限りません。その場合は県境を跨ぐことになりますが、睡眠の質が今後の人生に大きな影響を及ぼす可能性が高いことを考えれば、それだけの価値はあると思います。

5月病だけでなく、今後の人生をより良くするためにも、この機会にぜひ睡眠に対する関心を高めてください。

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