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【経済力か恋愛感情か】女性が結婚相手の男性に望む年収額が示唆する令和の結婚観

集英社オンライン / 2023年8月23日 12時1分

「生涯未婚率」が高まり、「少子化」も加速している。なぜ日本は結婚して子どもを産むことが少なくなっているのか。元NHKアナウンサーで作家の下重暁子氏の新著『結婚しても一人~自分の人生を生ききる~』(光文社)より「令和の結婚観」についてお届けする。

少子化は悪なのか?

結婚しない人が増え、子どもを産まない人が増えている。

「生涯未婚率」は1970年には男性1.7%、女性3.3%だったが、2020年には男性28.3%、女性17.8%まで増加した(2020年「少子化社会対策白書」)。今後はさらに増え、男性の3割程度、女性の2割程度が、結婚しないという予想も出ている。

また、政府が「異次元の少子化対策」を打ち出していることからわかるように、少子化も加速している。2022年の出生数は約77万747人で、統計以来、最少となったという。ちなみに第一次ベビーブーム期(1947~49年)は約270万人、第二次ベビーブーム期(1971~74年)には約210万人が生まれていた。



私は少子化が悪いとは必ずしも思わない。

子どもを産みたくても産めない人を支援する取り組みは必要だ。だが、子どもを産む・産まないは国に強制されることではなく、あくまで個人の自由意志による選択であり、子どもが少なくても個人が幸せに暮らせる社会のための制度設計のほうが、子どもを増やす取り組みよりも重要だと考える。

さて、結婚しない人が増えているとは言っても、現状は男女ともに8割以上は結婚しているわけで、結婚する人のほうが多い。その点で、漱石の予言は、100%は当たってないと言える。

漱石の時代と違って結婚は個人の自由になったにもかかわらず、なぜ人は結婚するのか。人は結婚に何を求めているのか。

十人十色ではあろうが、何らかの傾向はあるだろう。それを私なりに考えてみたい。

経済力か恋愛感情か 結婚相手に求めるもの

20~59歳の男女のうち、結婚していない人を対象におこなった内閣府の意識調査がある(平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書)。

それによると、結婚したい理由は「家族を持ちたい」「子どもが欲しい」が70.0%と最も高く、次いで「好きな人と一緒にいたい」も68.9%と高い。この調査でいささか驚いたのは、30代女性の68.2%が、「老後に一人でいたくない」を理由に挙げていることだ。結婚しても、最後は一人になるわけだが、若いころにはそういう想像力が働かないのだろうか。あるいはずっと共に暮らす夢を見ているのか。

いずれにしろこの調査からわかるのは、少なくない日本人がいまだ「家族」を重視しているということだ。好きな人と一緒にいることが目的なら、必ずしも結婚する必要はない。同棲するなり、付き合っていればよい。家族を持ちたいと考える人が多いという現状からは、漱石が予言したほどに、日本には「個」が根付いていないと言える。

ちなみに結婚の理由に「経済的な安定を得たい」と答えている人は、女性で4割程度と、それほど高くない。女性も働く時代になったことが反映されているのだろうか。女性にとって結婚は、経済的な安定を求めてするものではなくなりつつあるようだ。

これを裏付けるように、結婚相手に求める条件には、

1 価値観が近いこと
2 一緒にいて楽しいこと
3 一緒にいて気をつかわないこと


と、精神面に関わる内容が続く。

そして「経済力」や「学歴」は、「恋愛感情」よりも、結婚の条件として低い。結婚は恋愛の延長とまではいかなくても、気の合う楽しい人と結婚したい、というのが、現在の若者の気持ちのようだ。恋愛はともかく、気の合う人と、という気持ちは私もよくわかる。

しかし、婚活中の編集者は別の見解を示した。婚活中の女性は、男性の年収をかなり気にすると言うのだ。

女性が結婚相手の男性に望む年収の本音

結婚相談所などの調査によると、女性が結婚相手の男性に望む年収は「400万~600万円」程度だという。現在、男性の平均年収は500万円程度だから、平均程度を希望しているということだ。

「平均」を希望するというのは、それほど高望みではないと見ることもできるが、平均以下の2分の1は排除することになるわけで、男性にとってはシビアな条件だと見ることもできる。

結婚相手として高収入の男性を強く望む女性もある程度いて、医師などの高年収の男性だけを集めた結婚相談所もあるという。そういう場所で会費を多く払うのは女性だという。

実際、男性の年収と未婚率には相関係数があるようだ。

PRESIDENT Onlineの記事で、コラムニスト・独身研究家の荒川和久さんは、〈個人の年収が上がるごとに、男性の未婚率は下がり、女性の未婚率は上がっていきます〉と書いている。

つまり、〈「金を稼げない男と金を稼ぐ女は結婚できない」と言われます〉(婚活市場では“高望み”の部類だが…「年収500万円以上の未婚男性」が最も余っている皮肉な理由 2022年11月25日)。

内閣府の意識調査などに表れるのはいわば建前であり、真剣に結婚を考える段になると、身もふたもない本音が顔を出してくるのかもしれない。結婚相談所などの調査結果からは結婚に「経済」が深く関わっている現状が垣間見られるし、そこには男女差があるようだ。

女性も自分一人を食べさせることができれば、相手に経済力を求める必要はないだろう。そうはなっていない現状が窺える。そこには女性は働き続けることがいまだ難しいという労働環境の問題もあるだろうし、女性の意識の問題もあるだろう。

構成/砂田明子

『結婚しても一人~自分の人生を生ききる~』(光文社)

下重暁子

2023年8月18日

¥924

200ページ

ISBN:

978-4-334-10017-9

しょせん、夫婦は他人――。
大事なことは「求めない」「期待しない」etc.
夫婦がストレスなく暮らしていくためのヒントとは。
「つい」「うっかり」結婚してしまった著者が、
50年続いた結婚生活と
87年の人生を振り返りながら綴る。

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