2015年の『Masato』から始まった“アンドウマサト”の物語は、2018年の『Matt』を経て、この夏出版された『M』で完結しました。日本生まれオーストラリア育ちのマサトは、3つの作品を通してアイデンティティや生き方、身の立て方に苦悩し続け、少年から青年へと成長。その姿に学び、共感を覚える人が後を絶たないシリーズです。
著者の岩城けいさん自身、オーストラリアに在住して30年。『M』の刊行に合わせて帰国中に、ずっとファンだったという翻訳家の金原瑞人さんとの対談が実現しました。金原さんは『Masato』が文庫化した際に解説を担当。憧れの存在を前に岩城さんの緊張が高まるなか、話題は『M』の話や、英語と日本語の人称から受ける印象の違い、YA(ヤングアダルト)小説についてなど、主に日本語と別の言語との関係性から若い世代の読書の話へと移っていきます。
撮影/神ノ川智早 構成/綿貫あかね (2023年7月14日 神保町にて収録)