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社会人の学びなおしで勝ちたいなら“勉強を外注”せよ。人に仕事を任せられない会社は成長しないのと同じ発想がもたらす根拠とは

集英社オンライン / 2023年8月29日 9時1分

社会人の勉強は、「努力が報われない人」と「ちゃんと報われる人」とにハッキリとわかれるものだ。そしてこの差は「戦略があるか、ないか」によって決まるというが、報われるためにはどんな考え方が必要になってくるのか。『勉強の戦略――9割の「努力」をやめ、真に必要な一点に集中する』(朝日新聞出版)より、一部抜粋・再構成してお届けする。

得意だからと言って、時間を浪費するのは大間違い

外注を言い換えるならば、「投資」とも言えるかもしれません。

外注すると、人やモノやサービスに「投資」することになると考えるならば、もちろん、損をするリスクも、当然あります。

せっかく外注をするなら、可能な限り損をしたくないものです。金融投資と同じで、リスクを管理するためのコツは存在します。



それは「自分でやるよりも、コスパがいいかどうか」で、判断することです。

たとえば、「自分とルンバを比較して、どちらの方が部屋をきれいに保てるか」を比べてみましょう。掃除がそんなに苦ではなく、掃除自体も上手な人なら、かかるコストが「ルンバ>自分」となるので、外注しなくても、自分でちゃちゃっと片づけてしまえばいいわけです。

しかし、掃除がものすごく苦手だったり、忙しくて掃除の時間が取れなかったりする人なら、「ルンバ<自分」なので、ルンバへの投資は、断然お得になります。

一言で言うならば、自分の不得意分野を外注すれば、基本的に損はしません。

このように自分が苦手なことを外注化するのは、それほど難しくありません。そもそもできないのであれば、人に頼むしかありませんから。料理が苦手なら、外食したりコンビニで買ったりすればいい。掃除が苦手なら、ルンバや家事代行にお願いすればいいわけです。

外注のときに、問題になるのは「得意なこと」をどこまで手放せるか、です。

自分でもできることを人に任せるときの判断は、かなり迷います。自分でもできることはつい「外注するより、自分でやった方が早い」なんて思ってしまうんですよね。

これは「比較優位」と呼ばれるものです。

有名な喩えで「弁護士と秘書」という話があります。とびきり有能な弁護士が、文書作成のタイピングにおいても、その秘書に比べて早くて得意だとします。

その際に、「自分でやった方が速い」とタイピングまで自分でやってしまい、弁護士業務に割く時間が短くなったとします。すると、弁護士はより稼げる弁護士業務を一部削って、単価の相対的に安いタイピングに割り当てたことになります。結果として、全体の生産性は落ちてしまうと言うわけです。

このような場合、「得意か、苦手か」は、外注するかどうかの判断基準にはなりえません。

限られた時間を、最大限活用する勉強法

「何をどのように外注するか」のもう一つの判断基準は、戦略の基本と同じで、「ゴール」から逆算することです。達成したいゴールを基準にすれば、外注すべきものが見えてきやすくなります。

そのときに念頭に置いておくべきなのは、達成したいゴールには「制限時間」があることです。

「次のTOEICの試験で」800点を取りたい。
「30歳までに」転職するためにこの資格を取りたい。

と、目標には制限時間がついていることが普通です。

制限時間を意識した際には、能力的には自分でできることでも、時間的に全部することは不可能だと気づくはずです。

たとえば、料理も掃除も、仕事も全部やりたいし、その上で勉強もやりたい……。
なんて言っていたら、キャパオーバーしてつぶれてしまいます。少しはゆっくりしたり、好きなことをしたりする時間も、人間には必要です。

そうなると、もう残る時間は少ししかありません。
能力的にはできるけれども、できることを全部やろうとしていたら、まったく手が回らない。「できるけど、自分でやる必要のないこと」は、やっぱり外注する必要があるのです。

確かに、「自分でやった方が、人に任せるよりクオリティが高い」という人もいます。しかし、自分の方が外注先よりも仮に能力が高かったとしても、「アウトプットの質」で比較すると、正直そんなに変わらないことも多いものです。

というのも、自分には時間がなくて活動時間が10分しか取れない場合には、能力的には自分の半分に満たなくても、外注先に2時間かけて仕上げてもらった方がいいアウトプットができるからです。その2時間で、自分は自分でできることを進めた方がよっぽど効率的に物事を進めることができます。

つまり、自分の時間的なリソースも考えつつ、いいアウトプットを出してくれそうな人に頼めば良いわけです。

たとえば、掃除がすごく得意で、ルンバよりも自分の方がきれいに掃除できるとします。短期的に見れば、自分で掃除した方が、良い結果を得られるかもしれません。

でも、ルンバに掃除してもらっている間、自分は仕事や勉強や睡眠など、もっとリターンの大きいことに時間を使えます。

少しぐらい部屋の隅のホコリが残っていたとしても、自分はルンバのマイナスを補って余りあるくらい価値があることに時間を使えばいいのです。

勉強できる時間も限られていると知ろう

私は、英語コーチングの会社を経営しているので、「社長だとお忙しいですよね?」と言われることがあります。実際には、まったくそんなことはありません。

平日でも丸1日ぐらいだったら、空けようと思えば、空けられます。

1時間だけミーティングが入ったりすることはあっても、1日ずっと拘束されるようなことは、基本的にありません。

もちろん、事業の構想や経営の方針は考えています。だから「何もしていない」と言うと語弊があるのですが、いわゆる「手を動かす」のは、それほど多くはありません。後の時間は、情報収集したり、戦略を考えたり、経営状況を確認したりしています。

経営者が自分で手を動かさなくてもいいという状態。これが、会社が最も成長できる理想の状態だ、と私は考えています。

しかし周りを見渡すと、すべての社長が暇なわけではありません。

むしろ、現場に出て、誰よりも手を動かしている社長の方が「いい社長」とされていたりする。しかしこれは、組織の弱点になると思います。

社長がやるべきことは、まさしく「戦略を立てる」ことです。最適なリソース配分を考えて、現場のスタッフに手を動かしてもらい、会社を成長させること。

人に仕事を任せられないと、会社は成長しません。

社長が最前線で忙しく手を動かしていたら、スタッフには一時的に好かれるかもしれない。でも、全体としての効率はものすごく悪くなります。

戦略を立てる時間がなくなり、なかなか成果が出ず、結局は、現場のがんばりが報われなくなってしまうのです。

これは、個人の勉強でも同じです。私たちは誰もが「株式会社・自分自身」の経営者だと思いましょう。

だから、がむしゃらに手を動かしてばかりではいけません。まずはきちんと戦略を考える。誰かにお願いできることはどんどん任せて、なるべく自分では手を動かさない。

そうやって、成果を最大化していきましょう。

勉強をすることで生み出せる「価値」

外注の特徴を「自分でやらなくていいことは、プロに任せる」と言いました。

電球一つだけつける場合も、その手前はすべて、他の人がやってくれているわけです。開発も生産も流通も、お金を払って誰かにやってもらっている。

そもそもお金は、誰もが外注できるように、「価値を交換するためのツール」です。もっと詳しく言えば、自分が得意なことをして生み出した価値を、他の誰かの得意なことと交換するためのツールなのです。

ここで言う「得意なこと」とは、投下時間に対して、あなたが他の人と比較して価値を生みやすいことです。そして、自分は得意でやるべきことにフォーカスしていく。そうすると、効率的に資産を増やすことができるのです。

では、自分が価値を出せる分野はどこにあるのか。

その判断軸は、二つあります。一つは、自分が得意だと感じるかどうか。もう一つは、マーケットがあるかどうかです。

ものすごく得意でも、マーケットがなければあまり価値を生めません。マーケットがあるとは、その成果を価値だと感じる人が一定数いて、他の価値と交換可能な状態になっているということです。

たとえば、私はゲームの「スプラトゥーン」が得意で、そのへんの人には負けない自信がありますが、これは「交換可能な価値」ではありません。他の人にとっても、価値があることではないからです。

私の場合、他の人よりも得意で、マーケットもある分野は「教えること」でした。

学生のとき、アルバイトで塾の先生をやってみたら、他の人より上手にできることに気がつきました。

塾で教えるのは楽しい体験でした。交換可能な価値を生みつつ、自分としても楽しい。そういう分野だと、がんばるのもあまり苦になりません。その後、自分で学習塾を立ち上げました。最初はワンフロアの小さな塾でしたが、1年ほどでビル一棟、全フロアを埋めるまで成長しました。

そんなに一気に伸びるとは、最初は想像していませんでした。

大変なことはもちろんありましたが、苦手な分野はとにかく人に任せていたので、そんなにつらくはなかった。

労力に対して、とても大きな成果を得られた感覚でした。これは、得意なことにフォーカスした結果だと思います。

文/岡 健作

『勉強の戦略――9割の「努力」をやめ、真に必要な一点に集中する』(朝日新聞出版)

岡 健作 (著)

2023/7/21

¥1,760

200ページ

ISBN:

978-4023322905

あなたの勉強は、ムダだらけ──リスキリングなど、社会人にも勉強が求められる時代。時間がない大人には、成果を最大化するノウハウが必要だ。塾講師を経て、社会人向け英語塾や予備校を経営する著者が、2万人を成功に導いた「勝ちパターン」を初公開!

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