ピンチに強くて打たれ強い「ドM遺伝子」ってナニ!? スポーツ選手に多くあるといわれる「忍耐遺伝子」のヒミツ
集英社オンライン / 2023年9月4日 10時1分
スポーツシーンでよくある、絶体絶命のピンチやプレッシャーのかかる場面を見ると、自分なら緊張して無理…と思う人は多いだろう。実はそんなピンチに強い遺伝子があるようだ。打たれ強い人と弱い人の差は? 一石英一郎氏著書の『最新の研究でわかった人生を支配する真実 すべて遺伝子のせいだった!?』(アスコム)より一部抜粋・再構成してお届けする。
「ドM遺伝子」がある人は打たれ強い
ない人は心が折れやすい
2022年、プロ野球が開幕してまもない4月10日、ロッテの佐々木朗希投手が28年ぶり、史上最年少で完全試合を達成し、おおいに盛り上がりました。加えて、13者連続奪三振を奪い、64年ぶりにプロ野球記録を更新したのです。
佐々木投手の投球には終始ほれぼれしましたが、試合中はどんな心境なんでしょうか。回が進むにつれ、緊張でガチガチになりそうですね。試合後、完全試合について問われると、「正直あまり意識してなくて、打たれたらそれでいいかなと思っていた」と答え、プレッシャーは感じなかったといいます。なんという強心臓!
いつだったか、こちらはバッターですが、あるプロ野球選手の話を聞いたことがあります。9回裏の二死満塁、ホームランを打てば逆転勝ちという場面。そのバッターは、そういうときがたまらなくて、「ここで一発打って、明日の朝刊1面だ! そしたら、オレ、ヒーロー! オレにまで回ってこい」と念じているそうです。
2022年サッカーワールドカップ、日本の躍進には感動しました。ベスト8を前に、クロアチアにPK戦で惜敗したのは残念です。そんな試合の勝敗を分けるPK戦。
たった一人、ゴール前に立つキーパーの重圧は大変なものでしょう。
日本代表で守護神として活躍したゴールキーパー川口能活さんは、2004年のアジアカップ準々決勝でPK戦に臨みます。3人目まで相手にゴールを決められ、4人目からはすべて止めないと日本の敗退が決定する、まさに崖っぷちの場面でした。
そのとき、川口さんの中で、なにかが吹っ切れ、「スイッチ」が入ったそうです。
それから4人連続でゴールを許さず、勝利しました。まさに「ゾーンに入った」状態で、スタジアムの音や声も何も聞こえなかったといいます。最大のピンチで持てる力のすべてを出し切る、強い気持ちが導いた結果だったのですね。
もう一人、2006年トリノ冬季五輪のフィギュアスケートで、日本人初の金メダルとなった荒川静香さん。じつは演技の途中に大きなミスがあったそうですが、「まぁ、いいや」と開き直り、次の演技に集中し、華麗なイナバウアーにつながったそうです。
こちらも、ピンチへの向かい方が勝利を呼んだのでしょう。
本番にめっぽう強いのが、一流のアスリートに共通した特徴かもしれません。ピンチと思われる場面こそ、ふつうでは考えられない、ものすごいパワーが発揮できるのではないでしょうか。ある意味、本番を楽しめる本番力の持ち主です。
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「打たれ強い」「やや打たれ弱い」「打たれ弱い」の3タイプがある
そうしたピンチに強い、ピンチになればなるほど燃える「打たれ強い遺伝子」、わかりやすくいえばマゾ的傾向の強い「ドM遺伝子」が見つかっています。
イギリス・エディンバラ大学の研究グループは、55~79歳の欧米人3310人を対象として、遺伝子タイプと性格テストの関連を解析しました。ショックを受けたとき心理的にどう感じるか―—その人は打たれ強いかどうかが、遺伝子のタイプとどのくらい関係しているか調べたのです。
その結果、「打たれ強い」「やや打たれ弱い」「打たれ弱い」の3タイプがある、とわかりました。打たれ強いか弱いかは、先ほどのドM遺伝子、あるいは忍耐力があるかどうかですから、「忍耐遺伝子」と呼んでかまわないでしょう。
打たれ強い人は問題を直視し、最悪こうなるかも、でも仕方ない、そのときはそのときだ、と考えて、行動する。それができるのは、自分に自信があり、その問題で自分が重要な役割を果たせる、とわかっているからなんです。まさに、完全試合での佐々木朗希投手の心境だと思います。
打たれ弱い人は、問題のまわりを行ったり来たりするだけで、問題を直視できないのかも。野球でいえば、9回裏二死満塁の場面で「勘弁してよ〜、オレまで回ってくるな」と願うバッターのような人でしょう。
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打たれ強い人と打たれ弱い人の違いは?
打たれ強い遺伝子の人は、何か楽しみにしていることがある。あるいは子どものころ楽しんだことで、いまも楽しめる、という人も多いことがわかっています。子ども時代の本や学生時代のCDが本棚の片隅にある。ふと思い出し、引っ張り出してきて堪能できる。そのとき心配事は忘れています。「神経が図太い」という感じもあります。
対して、打たれ弱い人は、くよくよして不安になったり眠れなくなったり、イライラ機嫌が悪くなることも多い。いつも心配事を考えているが、堂々めぐりで決断できない。自分に自信がない、神経がか細い、ということでしょう。
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忍耐については、先ほどのエディンバラ大学の研究において、「TNFRSF21遺伝子」が関係していることがわかりました。この遺伝子が脳の回路を増やす働きがあるかもしれないとしています。その内容は、忍耐力を持つための方法の一つとして、ある種のアミノ酸配列を含むタンパク質を摂ることでTNFRSF21を活性化させる、というものです。
簡単にいうと、私たちが忍耐強くなるために手軽にできることは、多くのアミノ酸をバランスよく摂取することなんですね。たとえば、豆類はおすすめです。豆類には必須アミノ酸を含む20種類のアミノ酸がバランスよく含まれ、しかもしっかり吸収してくれるからです。
話は変わりますが、日本の大ピンチ、明治時代の日露戦争で、無敵のロシアバルチック艦隊を破って未曾有の危機を救った名参謀秋山真之は、日頃より炒り豆(えんどう豆とそら豆)を、重要な作戦会議中もポケットから取り出し、ボリボリ食べていたそうです。えんどう豆もそら豆も、アミノ酸を豊富にバランスよく含んでいます。
日本の大ピンチを救った究極の名参謀は、つねに良質なアミノ酸を補充してTNFRSF
21を活性化させていたのかもしれません。
何でも食べる、多くの食材を摂る、日本で古くからよいとされてきた習慣は、忍耐強さだけでなく、ピンチをチャンスに変えてくれるすばらしい知恵だったようにも思えるのです。
『最新の研究でわかった人生を支配する真実 すべて遺伝子のせいだった!?』(アスコム)
一石 英一郎 (著)
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2023年4月5日
1,397円
単行本: 248ページ
477621248X
9割の人が知らない こんな遺伝子があった!
ボケやすい遺伝子 金持ち遺伝子 浮気遺伝子 がん抑制遺伝子 ギャンブル遺伝子
まぶたのたるみ遺伝子 ビビリ遺伝子 誠実遺伝子 犯罪遺伝子 長生き遺伝子 忘れっぽい遺伝子 夜ふかし遺伝子 ドM遺伝子 ヘタレ遺伝子 肉離れ遺伝子 花粉症遺伝子
学習能力、性格、才能、恋愛、病気、依存症、犯罪…
「すべて遺伝子のせい」ってホント?「悪い遺伝子」のスイッチを切り「よい遺伝子」のスイッチを入れればあなたの人生は好転する!
遺伝子は「あなたの将来こうなるかもしれない可能性」の多くを決定している、と言えるでしょう。
だからといって、あなたの運命を遺伝子が100%決めていて、あなたはその運命から逃れられない、ということではありません。
本書では人生を左右する様々な遺伝子の紹介と、才能を引き出し、病気を防ぐ可能性がある、よい遺伝子を鍛える方法を解説しています。
その方法がわかれば、あなたは遺伝子が決めているかもしれない運命に、自ら立ち向かい、それを変えて、望ましい人生をめざすことができるでしょう。
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