スリルや興奮を好む人は「ギャンブル遺伝子」を持っている? 才能や性格は遺伝子のせいというのは本当なのか
集英社オンライン / 2023年9月4日 10時1分
協調性がある人、ない人、ギャンブルにのめり込む人、まったく興味がない人…これらはすべて遺伝子が関係しているという。一石英一郎氏著書の『最新の研究でわかった人生を支配する真実 すべて遺伝子のせいだった!?』(アスコム)より一部抜粋・再構成してお届けする。
気温17℃以下になると「協調遺伝子」にスイッチが入る?
日本人は、「和」を尊重する国民だといわれていますね。「和」とは仲よくすること、協調性が高いことを意味します。
アメリカ・ボストン大学の研究は、「協調性」の高い低いに関係する「協調遺伝子」があると明らかにしました。協調性が高い、やや高い、低い傾向、の3タイプです。
協調性が高い人は、みんなと仲よくやっていける人だと考えると、私たちの仕事の多くは仲間との共同作業だから、協調性の高さも仕事能力や才能のうちですね。陸上競技の100メートル走は協調性なんて関係ありませんが、400メートル・リレーは協調性がカギです。一人ひとりの身体能力で欧米にかなわない日本がサッカーやラグビーで善戦することがあるのは、やっぱり協調性が高いのでしょう。
同じくボストン大学の研究で、興味深いことがわかりました。私たちの身体には、温度によってスイッチが入る温度センサー(TRPA1)があります。これは、ワサビの辛み成分でもスイッチが入ります。そのセンサーの遺伝子タイプによって、協調性のある人とない人が分かれました。
「TRPA1遺伝子」のうち協調性の遺伝子タイプを持つ人は、外気温が17℃以下でスイッチが入り、協調性のある行動をとると推測されます。
どうして17℃なのでしょうか?
ヒトなど霊長類ではまだ不明なことや解明されていないことが多いのですが、外気温が17℃からどんどん下がっていくと、古代なら生命の危機につながりかねません。
だから、人々は身を寄せ合って体温の低下を防いだのでしょう。勝手にふらふら外に出かけていくような協調性に欠けた行動をすれば死んでしまいます。こうして人体の温度センサーと協調性が連動していったのではないか、と私は考えています。
この遺伝子については、ほかにもおもしろいことがわかっています。
先に紹介したクロニンジャー博士のTCIでは、「協調性」は3つある性格のうちの1つでした。ちなみに、残り2つは、「自尊心」「自己超越性」です。
性格の診断をするうえで、「協調性」は重要な要素の1つなんですね。
また別の性格分類に「ビッグファイブ」や「性格5因子」というものがあります。
これは(経験への)開放性・誠実さ・外向性・協調性・神経質傾向(または神経症傾向)の5つ。およその性格はこの5つの組み合わせで説明できます。やや乱暴にいえば、各項目の強中弱(高中低)を調べれば、すべての人は3×3×3×3×3=243とおりある性格類型のどれかに入る、という考え方です。ここでも協調性は性格の基本をなす1つとされています。
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協調性遺伝子を持つ人も特徴
協調性が高い人がどんな人かを見ていくと、人を信頼する、実直である、喜んで人を助ける、人の頼みを聞く、謙虚である、人に優しいといった傾向が強くあります。
協調遺伝子を持つ人には、そんな人が多いとされています。
協調性の低い人はこの逆で、人を疑ってかかる、悪知恵を働かせてだましがち、人の問題に立ち入りたくない、人の頼みを聞かない、自信家、人に無関心といった傾向が強いといいます。これが協調遺伝子を持たない人です。
たとえば、協調性が高く、みんなとうまくやっていける人は、嘘をつかないけれど、うまくやっていけない人は、嘘をついたりごまかしたりしやすい傾向がみられます。
あたり前の話と思えますが、遺伝子のタイプがそう決めていると聞けば、自分が協調遺伝子を持っているかどうか、なんとなく想像できそうです。
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スリルや興奮をほしがる「ギャンブル遺伝子」があった
あなたは、ギャンブルに興味がありますか?
ギャンブルが好きだとしたら、のめり込むタイプでしょうか?
競輪、競馬、パチンコ……ギャンブルと呼ばれるものは世の中にいろいろあります。
仕事にだって、ギャンブル(賭博・博打・賭け事)の側面があります。たとえば、新しい事業に挑戦するときなんかは、ある種の「ギャンブル」をしているとでもいえるのではないのでしょうか。
「ギャンブル遺伝子」を持っていると、賭け事で大損し人生終わってしまう人もいるでしょうが、一方では仕事で大成功する人がいるかもしれません。
経営の神様と呼ばれる松下幸之助は、〝一か八か?〟のギャンブルに近いことを創業当時にしています。
1917年、幸之助は自分の起こした会社において資金は100円足らず、機械も買えない状況で「ソケット」に注目します。少ない資金繰りで、周囲から「そんなの売れるはずがない」と大逆風のなか、幸之助は賭けに出ます。ある意味、無謀なギャンブルに近いかもしれません。やがて「ソケット」は完成しました。
しかし予想どおり、まったく売れず。資金が底をついても彼はあまりショックを受けていなかったようです。ギャンブラーが大損をしても「次こそは!」という心境だったのかもしれません。周囲は幸之助を心配しました。「この人は大丈夫だろうか」と。
ついに銭湯に行くお金もなくなり、夫人は「お風呂のことは忘れさせる」ように苦心したといわれています。幸之助は大の風呂好きだったのですね。どんな状況でも入浴して気分転換し、幸せを感じていたのかも。
幸之助は深刻になることなく、ソケットの改良に夢中になっていたといいます。なにかこの時点では、ギャンブラー魂あふれる博打師のような気がしてなりません。
さらに何年か後「電池ランプ」を考案したものの、まだロウソクや灯油で灯していた時代、どの問屋にも相手にされませんでした。そこで、幸之助は一世一代の大博打に出ます。なんと勝手に1万個を量産して〝無償で〟問屋に置いて回る作戦を敢行したのです。この無謀な作戦が失敗すれば、会社はつぶれてしまいます。
しかしその後は……いまのパナソニックがあるわけです。幸之助がギャンブル好きかどうかは不明ですが、人生は大ギャンブルそのものだったのではないでしょうか。
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キャンブル遺伝子があるとギャンブルに依存しがちになる
でも、ここでお話しするギャンブル遺伝子はギャンブルに「強い」「必ず勝つ」遺伝子ではなく、残念ながらギャンブルに「依存しがちになる」遺伝子のことです。
アメリカ・ミズーリ大学の研究チームによると、遺伝子のタイプによって、ギャンブルにはまりやすいかどうかがわかっています。
それぞれの遺伝子のパターンを持つ人の割合は、はまりやすい順におよそ5%・35%・60%です。
20人に1人はギャンブルにとてもはまりやすい。3人に1人はそこそこ。5人に3人ははまりにくい、との結果でした。
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ちなみに、日本では成人の3.6%にあたる約320万人がギャンブル依存症とされています。これは、アメリカの研究結果とそう離れた数字ではないですね。
私はといえば、ギャンブル遺伝子を持っておらず、賭け事に興味がわきません。でも、ある競輪場の保健室でアルバイトの医師(待機ドクター)をした経験があります。
仕事は落車でケガ人が出たときの対応や、レース直前の競輪選手の健康チェックです。
健康チェックでは「先生、お願いですから休ませてください」と頼み込んでくる選手が結構いました。今日は出たくないからドクターストップをかけてくれ、というのです。チェックしても何の問題もなく、「あなた、めちゃくちゃ元気ですよ。気をつけて、いってらっしゃい」ということが多かったですね。
私がもしギャンブル遺伝子を持っていたら、彼らの体調をうまく利用してギャンブルに勝つ〝悪だくみ゛を考えたかもしれません。ラッキーなことにその遺伝子がなく、まったくギャンブルに興味がなかったので、絶好の立場であったにもかかわらず、甘い誘惑や悪事にはまることはありませんでした。遺伝子に大変感謝しています(笑)。
『最新の研究でわかった人生を支配する真実 すべて遺伝子のせいだった!?』(アスコム)
一石 英一郎 (著)
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2023年4月5日
1,397円
単行本: 248ページ
477621248X
9割の人が知らない こんな遺伝子があった!
ボケやすい遺伝子 金持ち遺伝子 浮気遺伝子 がん抑制遺伝子 ギャンブル遺伝子
まぶたのたるみ遺伝子 ビビリ遺伝子 誠実遺伝子 犯罪遺伝子 長生き遺伝子 忘れっぽい遺伝子 夜ふかし遺伝子 ドM遺伝子 ヘタレ遺伝子 肉離れ遺伝子 花粉症遺伝子
学習能力、性格、才能、恋愛、病気、依存症、犯罪…
「すべて遺伝子のせい」ってホント?「悪い遺伝子」のスイッチを切り「よい遺伝子」のスイッチを入れればあなたの人生は好転する!
遺伝子は「あなたの将来こうなるかもしれない可能性」の多くを決定している、と言えるでしょう。
だからといって、あなたの運命を遺伝子が100%決めていて、あなたはその運命から逃れられない、ということではありません。
本書では人生を左右する様々な遺伝子の紹介と、才能を引き出し、病気を防ぐ可能性がある、よい遺伝子を鍛える方法を解説しています。
その方法がわかれば、あなたは遺伝子が決めているかもしれない運命に、自ら立ち向かい、それを変えて、望ましい人生をめざすことができるでしょう。
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