“ファンベース”という言葉をご存じだろうか。“ファンベース”とは、文字通りブランドを愛するファンを増やし、ファンを基盤に経営やマーケティングを行う手法のこと。今やビジネスのみならず、エンタメの世界でもこの“ファンベース”という考え方が根付きはじめている。
その最たるは、演劇やアイドル、ミュージシャンといったジャンルだろう。いずれも“現場”を主体としたビジネスモデルだ。1枚5000円なり1万円なりのチケットを買い、劇場やライブ会場に足を運び、グッズなどの物販で売り上げを積む。こうした課金型のビジネスモデルの場合、重視されるのはどれだけお金を使ってくれるファンがいるか。極端な話、100万人のフォロワーがいるものの実際に課金してくれるコア層は100人だけという人よりも、フォロワーは1万人しかいなくてもそのうちの1000人は必ずお金を落としてくれるという人の方が強い。だからこそ、熱烈なファンを増やし、継続的に応援してもらうために、手厚いサービスを提供するのだ。
長らくその対極の位置にいたのがテレビだ。対象となる分母が桁違いに多いテレビでは、少数精鋭のファンを獲得するよりも、いかに嫌われないかが重要。「熱狂度」よりも「好感度」が物を言う世界だった。
しかし、テレビ離れが進む昨今、テレビもそのあり方を変えざるを得なくなりつつある。視聴率という単一の指標だけでなく、TwitterトレンドやTVerの再生回数、Blu-ray&DVDの売り上げなど、多様な視点からコンテンツの価値が測られるようになった。それには、ネット上で活発に活動し、時には惜しまず身銭を切るコアファンの後押しが不可欠。だからこそ、テレビドラマでも“ファンベース”が重視されるようになったのだ。