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「ポジティブな祈り」をしている人こそ運がいいのは科学的根拠あり。脳は「よい祈り」と「悪い祈り」をシビアに判別していた!

集英社オンライン / 2023年9月13日 12時1分

「私は運が悪い」とあなたは思っていないだろうか? でも実は「運がいい」と思っている人も「運が悪い」と思っている人も遭遇している事象は大差がない場合が多く、運は「その人の考え方と行動パターンによって変わる」のだという。脳科学者・中野信子氏が「運がいい人」が自然と自分の脳に習慣づけている考え方や行動パターンを紹介する。

運のいい人はポジティブな祈りをする

具体的な努力や工夫はひとまず置いておいて、とにかく祈る。特定の神さまに向けてというわけでなくても、ご先祖さまやお天道さま、道端のお地蔵さまなどにそっと手を合わせる。願いがいますように、運がよくなりますように、と。

こんなときがあってもいいと思います。祈ることは、心と体の健康にプラスに働く、ひいては運の向上につながる場合があるからです。



では、どんな祈りが心と体にプラスに働くのでしょうか。それは、自分のことだけでなく、自分以外のだれかの幸福も願うポジティブな祈りです。

たとえば「今年こそ、仕事の営業成績が伸びますように」とは、毎年多くのビジネスパーソンが初詣でで祈ることかもしれませんが、これは自分のしあわせだけに焦点を当てた祈りといえます。
この場合なら、自分の営業成績が伸びることで、自分以外のだれかがしあわせにならないか、と考えてみるのです。

営業成績が伸びれば給料が上がって、念願の家族旅行が実現するかもしれません。良質の商品を売るということは、お客さんに便利さや喜びを売っているともいえます。

つまり、自分が叶えたいと思う願いの先に、自分以外の人の幸福がないかを考え、そこに焦点を当てて祈るのです。

「今年こそ仕事の営業成績が伸びますように」という願いなら、「家族旅行を実現させるために営業成績が伸びますように」「たくさんのお客さんに便利さと喜びを届けられますように」などと祈ります。

「素敵な人と巡り合えますように」という願いなら、「両親も喜ぶような、素敵な人と巡り合えますように」、「一戸建てが欲しい」という願いなら、「子どもたちが伸び伸び暮らせるように、一戸建てが欲しい」「両親や友だちがいつでもゆっくり泊まっていけるように、一戸建てが欲しい」などと祈るのです。

脳がジャッジする「よい祈り」と「悪い祈り」

人間の脳には前頭前野内側部と呼ばれる部分があり、ここは自分の行動の評価を行っていて、祈りの内容についても脳はよしあしのジャッジを下しています。

自分のことだけを考えた祈りよりも、自分以外のだれかの幸福も願った祈りのほうが「よい祈りだ!」と脳が判断するのはいうまでもありません。

「だれかを蹴落としたい」「あの人に負けてほしい」などのネガティブな祈りは、もちろん「悪い祈り」として判断されます。

脳が「よい祈り」と判断すると、ベータエンドルフィンやドーパミン、オキシトシンなどの脳内快感物質(脳内で機能する神経伝達物質のうち、多幸感や快感をもたらす物質を一般的に総称した用語)が脳内に分泌されます。

なかでもベータエンドルフィンは、脳を活性化させる働きがあり、体の免疫力を高めてさまざまな病気を予防します。さらに、ベータエンドルフィンが分泌されると、記憶力が高まり、集中力が増すことも知られています。
また、オキシトシンにも記憶力を高める作用があるといわれています。

ちなみに、脳が「悪い祈り」と判断した場合には、ストレス物質であるコルチゾールという物質が分泌されます。コルチゾールは生体に必須のホルモンですが、脳内で過剰に分泌されると、脳の「記憶」の回路で中心的な役割を担う「海馬」という部位が萎 縮してしまうことがわかっています。

このように、「よい祈り」は心と体の健康にプラスに働き、「悪い祈り」はマイナスに働くのです。
といっても、あまり強引に他人のしあわせを考えるのはおすすめできません。

前頭前野内側部は、をわりとシビアに見抜くのです。心から思ってはいないことを祈りに付け足しても、脳は「それは偽善でしょう?」と判断し、ポジティブな祈りとはなりません。

そこでけっして無理はせず、自分以外のだれかのしあわせも考えて祈る。それが心と体にプラスに働き、ひいては願いを叶えやすくする、ともいえます。

文/中野信子 写真/shutterstock

『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』

中野信子

2023年9月10日

1,650円

207ページ

ISBN:

978-4763140807
9

あなたも「運のいい人」になりませんか?
日本・最注目の脳科学者がつきとめた、運のいい人だけがやっている「思考」と「行動」

「自分は運が悪い」と思っていませんか? でも「運」というものは必ずしも、その人がもともと持っていたり生まれつき決まっていたりするものではなく「その人の考え方と行動パターンによって変わる」のです。「運がいい人」は「運が良くなる」考え方や行動パターンを習慣づけているのです。それではどのようにしたら「運のいい人」になれるのか? 優秀な脳科学者である著者が科学的見地から、「運のいい」考え方や行動パターンを習慣づける方法を紹介していきます。

※本書は、小社で単行本(2013年2月)および文庫本(2019年5月)で刊行された『科学がつきとめた「運のいい人」』を加筆、再編集したものです。

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