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【リーグ3連覇】NPB最高投手となったオリックス山本由伸はメジャーで何勝できるのか…指標となる「3年連続防御率1点台」を残してメジャー挑戦した2人の剛腕

集英社オンライン / 2023年9月21日 7時0分

9月20日、プロ野球のオリックス・バファローズがリーグ3連覇を達成した。まだクライマックスシリーズ、日本シリーズを残すが、この3年間チームをけん引し続けたエース山本由伸のメジャー挑戦への期待がふくらむ。

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NPB最高峰を凌駕する山本由伸の実績

どこまで、進化するのだろうか――。

2023年、春。宮崎県宮崎市の清武総合運動公園で行われたオリックス・バファローズの春季キャンプを取材し、そこでエース・山本由伸のブルペン投球を目の当たりにして感じたことだ。

当時、すでに話題となっていたのが2023年仕様の新フォーム。もともと、身体の“捻り”や“タメ”をあまり使わないフォームだったが、そこからさらに無駄を省いたような新投法から、切れ味鋭い真っすぐと変化球が、次々とキャッチャーのミットに吸い込まれていく。



無駄を省く――。といえば聞こえはいい。ただ、大きく足を上げることもなく、軸足にしっかりと体重を乗せるわけでもなく(実際はしっかりと乗っているはずだが)、すり足気味にステップする新フォームを見て、「タイミングが取りにくそうだな……」と感じると同時に「果たしてこれで、強いボールを投げ続けることはできるのだろうか」という疑問が生まれたのも確かだ。

しかし、目の前のブルペンではあきらかに他の投手とは違うボールを投げている。しかも、並んで投げているのは“その辺”の投手ではない。宮城大弥、宇田川優希、山﨑颯一郎……1か月後に侍ジャパンの面々としてともに戦う日本最高峰の投手たちと見比べても、山本由伸のボールは異彩を放っていた。

そこから、開幕前のWBC、3連覇を目指して戦うレギュラーシーズン。山本由伸は、昨年までと変わらない姿――いや、さらに進化した姿を見せつけている。

9月20日時点で21試合に登板し、14勝6敗、防御率1.32、奪三振148、奪三振こそロッテ・種市篤暉や西武・平良海馬と競っているが、勝利数、防御率、最高勝率のタイトルはほぼ確定と言っていい。奪三振も加えた『投手四冠』となれば、2021年から驚異の3年連続となる。昨季の2年連続ですらNPB史上初の快挙だった。

チームをリーグ3連覇に導き、当然、ここから先はポストシーズンでの2年連続日本一を決す戦いも待っている。日本シリーズでは昨年、わき腹を痛めて不完全燃焼に終わっていただけに、今季はその“リベンジ”も期待される。

しかし、新フォームも含めた“進化のスピード”を見ると、筆者も、そしてもちろん多くのファンも、さらにそこから“先の世界”に思いを馳せてしまう。

3年連続防御率1点台でメジャー移籍は過去に2人だけ

“噂レベル”を脱することはないが、山本由伸には今季オフのMLB移籍がまことしやかに囁かれている。

日本の場合、シーズン中に具体的なオフの動向を公表したり、表立って発信することはほとんどない。ただ、アメリカは違う。たとえシーズン中であっても、移籍が予想される選手の話題は大きく取り扱われる。オフにFAとなるエンゼルス・大谷翔平の移籍先予想をMLB公式サイトが報じるくらいだ。

そして、そんな現地FA戦線報道の中には、当然のように日本球界のエースである「YOSHINOBU YAMAMOTO」の名前も挙がっている。

たとえば、現地メディアの『NBC Sports Boston』や『MLB Trade Rumors』は今オフの「先発投手FAランク」で山本由伸を3位に格付けしている(ちなみに、1位は大谷)。

また、MLB公式サイトのマーク・フェインサンド記者は自身の記事で山本由伸に言及。「もしヤマモトがポスティングしたらFA選手ランキングのトップ5、もしかしたらトップ3に入る可能性がある」と評している。

まだMLBで1球も投げていない山本由伸がこれほどまでに評価される理由。それは、彼自身の能力、他の日本人投手の活躍、さらにはその年齢が大きく影響している。このままいけばほぼ確実に、3年連続で防御率1点台をマークすることになるが、直近でそれを成し遂げた投手となると、田中将大(2011~2013年)まで遡ることとなる。

田中は2013年オフにヤンキースに移籍し、2020年までの7シーズン中6シーズンで2ケタ勝利をマーク。在籍中はローテーションの一、二番手の座を守り続けた。ちなみに、田中以前に同じく3年連続防御率1点台をマークしているのは、日本人メジャーリーガーではMLB通算103勝をマークしているダルビッシュ有だけだ。

実力だけでない評価を上げるもう1つの要因

加えて、近年は大谷、さらには今季海を渡った千賀滉大といった日本人投手がしっかりと結果を残している。野茂英雄以降、「日本人投手の実力」はMLBでも一定以上評価され続けているが、パワー全盛のMLBでも日本人投手が十分通用する“土台”は出来上がっている。

そして、最後の年齢。山本由伸は今年8月に25歳になったばかりだ。23歳で海を渡った大谷は別として、過去ほとんどの日本人選手が20代後半~30歳前後でMLB移籍を果たしているのと比較しても、圧倒的に“若い”。MLBでは選手の現時点での実力はもちろん、選手の年齢が契約年数、契約規模に大きく影響を及ぼす。

25歳であれば、投手としての全盛期はここから。現地報道では契約年数は8年程度、契約総額は2億ドル(現在のレートで約300億円)を軽く上回るだろうと予想する声が多い。
もちろん、これらの数字はあくまでも「今オフ、山本由伸がポスティングシステムでMLB移籍をした場合」という但し書きが付く。ただ、一方で今季、山本由伸の登板試合には毎試合、MLBのスカウトたちが押し寄せているという事実も、付記しておきたい。

史上初となる3年連続の投手四冠、さらには、2年連続日本一へ。この秋、山本由伸への注目度はさらに増すはずだ。そして、シーズンが終わったとしても……もしかしたら“山本由伸旋風”はNPBの枠を超え、海の向こうまで轟くかもしれない。


まずは、一ファン、一野球人として、残りのCS、日本シリーズと残りのNPBでの投球を目に焼き付けておきたい。

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取材・文/花田雪

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