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TikTokフォロワー110数万人の野球女子が明かす、憧れのイチローとの対戦秘話「よく粘る人がいるなーと思ったら…」

集英社オンライン / 2023年9月29日 11時1分

“神スイング”の稲村亜美、240キロの超剛速球をキャッチするスーパーギャル・めいちゅん…ネットをバズらせる「野球女子」はたくさんいれど、甲子園のマウンドに立ち、あのイチローを打ちとったインフルエンサーは彼女だけ⁉ TikTokフォロワー数110万人、“まつりの”こと松本里乃、20歳の素顔に迫る!

佐賀から高知へ女子野球留学

――2020年4月、高校2年生で『sweets parade』にのせて踊ったTikTok動画に100万いいね、2万以上のコメントがつく超バズリ! 一躍TikTok界の有名人になりました。

松本里乃(以下、同) ちょうどコロナの自粛期間で、みんな暇でたまたま見てくれたって感じでしょうけど、1日でフォロワーが30万人も増えたんですよ!



――そして、いまやTikTokフォロワー数110万人。

あのころが全盛期です(笑)。
本当はバズったら立て続けに投稿したほうがおすすめにのって、さらにバズりやすいんですけど、あんまりTikTokばっかりやってるとうちの高校(高知中央)は遊んでるって思われちゃう。それがイヤで休止してる時期も多かったので。

高校2年生時に投稿して大バズリしたTikTok動画

――マジメ!

野球に関してだけはバカマジメなんです。高知中央の女子野球部の練習は日本一厳しいと言われていましたから。

――まつりのさんは佐賀県出身。女子で野球留学とはすごいです。

佐賀では部活引退後、卒業までいろんな中学から高校野球入部希望者が集まって、臨時のチームができるんです。“中学のうちに硬式に慣れようの会”みたいな。

――中学校の部活の野球部はみんな軟式ですもんね。

そのチームに私が女の子で唯一、行ってたんです。
で、そこのコーチが「女子野球をやりたいなら高校を紹介するよ」と言ってくれて、最終的に鹿児島の神村学園か、高知の高知中央のどちらかって話になりました。

小学生時代のまつりの(本人提供)

――どちらも男子は今年の甲子園に出場していたスポーツ強豪校です。しかし、なぜ親元を離れようと?

当時から家族仲はすごくよかったんですけど、思春期でケンカすることも多くて、寮生活で友達とずっと一緒にいたいって思いがあったんです。そういう時期ってあるじゃないですか。

それで「とりあえず九州から出たい!」となって、高知中央を選びました。高知中央は女子野球部ができたばかりで私が1期生になるということで、そのほうが試合にも出られるし楽かなと思ったんです。

“日本一厳しい”と言われた高知中央女子硬式野球部の練習

――ひとり娘の野球留学。しかも、実績ゼロのチーム。親御さんがよく許しましたね。

お父さんは嫌がってましたけど、お母さんがわりとなんでも挑戦させてくれる人で。
家事とか家のことはお母さんは完璧にこなす人だから、お父さんがなんか言っても「え、行かせるよ?」と反論させないんですよ(笑)。

――母は強し(笑)。そして、憧れの寮生活へ。

入学前はあんなに親元から離れたかったのに、いざ高校生活が始まると練習後の洗濯とかすごくだるいし寂しいしで、すぐにホームシックになりました。

現在のTikTokフォロワー数110万人

――しかも日本一厳しい練習。どんな練習内容だったんですか?

ポジションによって違いますけど、野手だったらバットを1日1000スイングとか振り込むんで、手の皮が全部むけちゃう。
里乃は投手だったから、シャンプーできない野手の子の頭を代わりに洗ってあげたりしてました。

――れ、令和の話ですよね?

そうです(笑)。投手は投手で坂道ダッシュ50本、階段ダッシュ50本、14種目のサーキットトレーニングを2時間ぶっ通しでやったりしてたんで、泣きながらやってる子もいるし、疲労骨折する子も普通にいて。本当にキツかったですね。

――慶應義塾高校の“エンジョイ・ベースボール”の逆をいってます……。

慶應もそうだし、女子高校野球には神戸弘陵ってめっちゃ強い高校があるんですけど、そういうとこに入る子って野球エリートで才能がすごいし、自信がある子が多いんですよ。

でも高知中央に集まった子にそこまでの才能を持った子はいないから、気持ちも弱い。だからキツイ練習をして自信を持たせようと先生が考えてくれたんだと思います。

憧れの甲子園のマウンドへ

――地獄の練習の甲斐あって、2021年の高3時に全国大会の決勝までコマを進めました。そして、運がいいことにその年の決勝は史上初めて甲子園球場で開催されることが決定してました。

最初は自分たちに関係ない話だから「へー、すごー」くらいの感じでした。でも勝ち上がっていくうちに「やべ、甲子園じゃね?」みたいな(笑)。

――そして決勝の最終回に登板。残念ながら神戸広陵に敗れてしまいましたが、憧れの甲子園のマウンドに立った感想は?

甲子園を見るのはめっちゃ好きだったんです。でも、あそこは男の子に生まれた人しか立てない場所って感覚だったから、まさか自分が立てるとは思ってなかったです。

内容は……里乃ってめっちゃコントロール悪くて何回もフォームを変えたりイヤな思い出がたくさんあるんですけど……いやー、いいピッチングでしたね! もっと投げたかった。
イチローさんと対戦したときもコントロールがよかったんですよ。
私、大事なところでいいボールを投げる投手なんです!

――今、さらっと言いましたけど、甲子園決勝後の12月、イチローさんの草野球チーム「KOBE CHIBEN」と女子高校野球選抜のエキシビジョンマッチが初めて開催され、まつりのさんはその代表に見事選ばれました。

本来なら2年に1度開かれるはずだった女子野球のアジアカップがコロナでなくなってしまったので、女子野球の強化プログラムの一環として開かれました。
各校1人候補者を出してそこからメンバーを絞るかたちで、ありがたいことに自分が選んでもらえたんです。

VS イチロー裏話「対決は楽しみだったけど」

――多くのマスコミが集まる試合で5回から登板。1イニングを投げ抜きましたが、なんと先ほどまつりのさんが言ったように、イチローさんとの直接対戦もありました。結果はセカンドゴロ。あの場面を振り返って。

実は……対戦が終わるまで相手がイチローさんだって気づかなかったんですよ!
イチローさんとの対戦はすごく楽しみだったんですけど、チームメイトは各校の有名選手が集まったオールスターみたいなチームで、そこで一緒に野球できることがめちゃくちゃうれしくて。
すごくバックを意識してましたから、バッターがイチローさんのときも「やたら粘る人がいるな~」くらいにしか思ってなかったんです(笑)。

――イチローさんも打席で認識されなかったのは初めてでしょうね(笑)。

試合後の囲み取材で記者の方から「イチローさんはどうでしたか?」って聞かれて初めて対戦したことを知りました。
でもそんなこと言えないじゃないですか。だから「やっぱオーラがあって違いました」とかそんな感じのことを言ってかわした気がします(笑)。

――(笑)。そうして締めくくった女子高校野球生活。振り返ってみていかがでしょうか?

練習はめっちゃキツかったですけど、今でも戻りたいってくらい最高の3年間でした。

女子高校野球は男子と違って地方予選はなく、2年前は最初から丹波市(京都府)で行われる本選を戦うんですけど、毎回、試合に向かうバスの中で「このチームで戦うのはこれで最後かもしれない」と思いながら泣いてました。
それくらい、かけがえのないチームメイトでした。まぁ、隣の席の子は爆睡してましたけどね(笑)。

――試合前から負けることを考えるなって話ですね(笑)。後編ではまつりのさんが野球を始めたきっかけと、高校卒業後の野球人生についておうかがいします。

取材・文/武松佑季
集英社オンライン編集部ニュース班
撮影/神田豊秀

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