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毎日行列ができるサントリー「社長のおごり自販機」…2人1組で自動販売機を使うことで生まれた新たなコミュニケーション方法

集英社オンライン / 2023年9月26日 11時1分

飲料自販機の台数は減少傾向にあり、オフィスや街中では利用する機会が減っている。そうしたなか、自販機の新たな価値や活用方法を見いだそうとしているのが、サントリーの「社長のおごり自販機」だ。サントリー食品インターナショナル株式会社マーケティング部の松本俊さんに導入企業の事例や効果について話を聞いた。

自販機から生まれる「コミュニケーション」

社長のおごり自販機は、社員2人が同時に社員証をかざすと「社長のおごりモード」が起動し、10秒以内にそれぞれ1本ずつ飲み物を選ぶという仕組みになっている。

社員証をかざすタイミングを合わせる「ひと呼吸」や、あらかじめ飲み物を決めておく「会話のやりとり」が行われ、いわば自然と社員同士のコミュニケーションが発生する。


“挨拶以上食事未満”という、仕事の合間にちょっとした雑談ができる。今まで話したことがなかった社員と交流を持つ機会になるとして、企業で導入され始めていると、プロジェクトを担当した松本さんはいう。

実際に「おごり自販機」を使って購入する様子(写真右が松本さん)

「会社の成長につれて、働く仲間が増え、職場のコミュニケーション不足に課題を感じる企業も少なくありません。特にコロナ禍でテレワークが浸透し、『Face to Face』の関わり合いが以前に比べて減っている状況といえます。

こうしたなか、おごり自販機の特徴となる『社員2人1組がお互いに息を合わせる共同作業』は、社員同士がふれ合い、交流を図れるひとつのコミュニケーションツールとなっています。『誰かを誘って自販機に行く』というのが常態化すると、他の場面でも自分から積極的に誘うようになっていくんです」

サントリーのオフィスでは「毎日行列ができる」

2021年10月から全国展開を始め、これまでに200社以上の企業が、このおごり自販機を導入しているという。

企業ごとにネーミングもカスタマイズ可能で、「工場長のおごり」や「部長のおごり」、「院長のおごり」など、色々なおごり自販機が生まれているそうだ。福利厚生の充実、社員間のコミュニケーション活性化など、それぞれ企業によって導入の目的があるわけだが、実際はどのような活用がされているのだろうか。

職場に合わせたネーミングが付けられる

サービス運営元のサントリーでは「15時~16時」に利用を限定しているという。

限られた時間しかないゆえ、そこまで使われていないと思いきや、「毎日行列ができている」と松本さんは語る。

サントリーの社内では15時になると長蛇の列ができる

「弊社の場合、6階の執務エリアにおごり自販機を設置しているんですが、毎回その時間をめがけて、各フロアから続々と社員が集まります。並んでいる待ち時間にも雑談が生まれたり、前後の人同士で話したりと、仕事以外のコミュニケーションの『場』として機能しています」

“恋のキューピット”になった事例も

その他の導入企業では、部署ごとに当番制を敷き、ふだんはあまり接点のない部署と交流できる機会を作ることや、週ごとに雑談のテーマを定めて会話の促進を図るなど、企業によっていろんな創意工夫が見られるとのこと。

こうしたなか、おごり自販機をきっかけにさまざまな“心温まるエピソード”が生まれているとか。

「『ペアになった相手と登山部を結成した』、『飼っているペットの種類が共通で、同じ話題で盛り上がれる友人ができた』、『出産を控える後輩の話を聞き、お祝い会を開くことになった』など、おごり自販機を通じて生まれる交流から話が弾み、さらに関係性を深めていくことにつながっています」

また、おごり自販機は導入先ごとに、利用可能な曜日や時間、利用の上限数が設定できるとのことだが、同じ相手とばかりの利用とならないように、同ペアの利用を制御する機能があるという。
これにより新たな利用相手を“誘う口実”にも使いやすく、新たなペアが増え続けているとのこと。昨今におけるコンプライアンス意識の高まりは、2人きりでランチやディナーといった食事にも誘いづらい雰囲気がある。

導入企業での利用状況 資料提供/サントリー

そんななか、「2人で一緒に自販機へ行く」だけであれば仕事の気分転換にもなって、気兼ねなく誘いやすい。

「おごり自販機がきっかけで、お付き合いにまで発展したというお話も導入企業からいただいていますね。『おごり自販機が恋のキューピットになった』と言っていただいて、サービスを提供する弊社としても、非常に心温まるエピソードだと感じています。これからもおごり自販機ならではの新しい付加価値を追求していき、導入企業を増やしていけるように尽力したいと思います」

テレワークなど働き方が多様化するなかで、社員間のコミュニケーション不足解消のために開発されたおごり自販機。そこでの交流がきっかけで結婚する“自販機婚”なんてカップルが誕生する日もくるかもしれない。

取材・文/古田島大介

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