2020年9月19日。その日の日記には、「アツかった」と書いてある。シルバーウィークの4連休の初日。もう9月も中旬だというのに、山に来ていた僕たちは半袖で、脇には汗がにじんでいた。それは季節外れの“暑さ”のせいだけではなかった。僕らは木の棒を手のひらで挟み、一心不乱になって回転させまくっていたのだ。
その日、人生で初めて「キリモミ式火起こし」に挑戦していた。マッチやライターに頼らず、自然のものだけで自力で火を起こしたい。そんなわけのわからない、“熱い”思いに突き動かされていた。