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BE :FIRST生みの親、SKY-HIが危惧してきた日本の音楽芸能の「普通」。「CDを『たくさん買うこと』を応援の形と捉える歪なシステムは、直していったほうがいい」
集英社オンライン / 2023年9月28日 12時1分
9月13日にリリースされた4thシングル「Mainstream」が音楽チャートを席巻中のBE :FIRST。2021年のデビュー以来、初めて「Mステ」に登場することでも話題のボーイズグループをプロデュースしたのは、自身もアーティストとして活躍するSKY-HI氏だ。著書『マネジメントのはなし。』(日経BP)より、一部抜粋・再構成してお届けする。
日本の芸能は変わらなくてはいけない
僕は20年9月に、どこからも完全に独立した組織としてマネジメント/レーベルである「BMSG」を立ち上げました。なぜ会社を立ち上げたのか、BMSGの意義は何か、僕が何を課題としているのか、BMSGがどこを目指すのかなどを、しっかり世の中にアピールしたかったし、設立以降、会社のプロモーションとして何かできることはないかと考えていました。
今の時代、「日本の芸能は変わらなくてはいけない」「今が変わるときだ」というのはいろいろな方が語られていると思いますが、「こういうところが変わるべきだ」「こういうふうに変わるべきだ」に対して“ちょっと同じだけど、ちょっと違うな”と感じることも多かったのです。
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「THE FIRST」(2021年3月に始まったBE :FIRSTを輩出したオーディション)から今に至るまで様々な機会に話してきましたが、自分の中には、メジャーとアンダーグラウンド、様々なシーンの中で音楽を作る仕事を十数年続け、さらにはアーティストでもあるからこその「どう変わるべきか」がありました。
例えば、アーティストとして在るべき姿としては、「クオリティファースト」「クリエイティブファースト」「アーティシズムファースト」の3つの「ファースト」を軸とすべきだと考えていたし、たとえボーイズグループであっても、その3つの「ファースト」は、何ら変わることなく必要なものだと考えています。それが「THE FIRST」であり、そこから生まれたBE:FIRSTです。
同時に、マネジメントの組織としても音楽レーベルとしても、これまでの常識にとらわれることなく、本質に立ち返ったうえで変えていかなくてはいけないこともたくさんあります。
音楽芸能の「普通」をアップデートしていきたい
僕は、BMSGをスタートアップ企業だと捉えています。スタートアップは、そもそも社会が持つ課題に対して、自分たちができることで解決するために始めるものだと思っており、僕らは、音楽芸能のスタートアップですから、自分たちで解決できる可能性のある音楽芸能の課題に向き合っていこうとしています。
BMSGを立ち上げて以降、様々な人と話すなかで感じるのは、あまりにも自分にとっての「普通」、つまり、音楽マネジメントとか音楽レーベルの「普通」が世の中にまだ知られていないこと。また、ファンの側も「どうしてこうなっているんだろう」を考えずに、「アーティストのため」を掲げて応援していると感じることもあります。
それらに対して、僕らが世の中の音楽芸能の「普通」をアップデートしていきたいという気持ちが強くあります。
例えば、音楽業界のビジネスモデルが、いまだに業界がバブルに沸いた30年前の成功体験を引きずったままであり、特にアイドル的なアーティストの場合、CD偏重の「売る仕組み」に頼りすぎていることもそうです。簡単に言えば、ファンも「たくさん買うこと」を応援の形と捉えていることが多いですよね。
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もちろんたくさん買っていただくのはありがたいし、ファンの立場からすれば「所有する」楽しみもあります。けれども、そこに無理やりストレスが生まれるようでは、本末転倒です。要は歪(いびつ)なシステムの上に成り立っている応援の形と言えるでしょう。だったら、やっぱり直していったほうがいい。
アーティストに対しては、例えば前述の「クオリティファースト」「クリエイティブファースト」「アーティシズムファースト」の3つを基本に、自身がステージに立って表現する覚悟を持ってほしい。世に出ればいいこと悪いこと、いろいろ評価されるのがアーティストという仕事です。さらに、忙しさに心が折れそうなこともあれば、何年も続けていれば、レコーディング、リリース、ツアーなど、意外に単調であることにも気づいてくる。
だからこそ、「自分がなぜこの活動をしているのか」という軸と覚悟を持ってもらう必要があります。
そうした、もはや形骸化している音楽業界の「普通」を変えながら、僕らが目指しているのは「世界」です。
BMSG設立時に掲げたその挑戦はまだ始まったばかりですが、1つひとつのリリースや施策をはじめ、BMSG全体としてのフェス開催、はたまた様々な外部とのプロジェクトを通し、トライ&エラーを重ねるなか、その夢に少しずつでも近づけている手応えを感じています。
#2に続く
『マネジメントのはなし。』(日経BP)
SKY-HI
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2023年3月30日
¥1,760
256ページ
978-4-296-20163-1
社長・SKY-HIの挑戦をたどれる"ドキュメンタリー本"。課題意識を持つビジネスパーソンへのヒントも満載な1冊。今、音楽業界で最も勢いのあるマネジメント/レーベル「BMSG」。そのCEOであり、アーティストとしても第一線で活躍するSKY-HIの『日経エンタテインメント!』での連載が待望の書籍化!
オーディション「THE FIRST」がムーブメントを起こし、そこから誕生したBE:FIRSTはデビュー1年で紅白歌合戦に出場。2020年9月にたった数人で始まったスタートアップ企業が、なぜここまで急激に成長できたのか。
本書は、その時々でSKY-HIが抱える課題や挑戦にフォーカスしたドキュメンタリー的な1冊。「課題解決」「人材育成」「スキルアップ」「コミュニケーション」など、ビジネスのヒントの宝庫ともなっている。
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