「最近の映画は長くなった」という声を、映画好き界隈から時折聞く。言われてみれば同感だ。筆者(1974年生まれ)の観測範囲に限れば、どちらかといえば同世代以上の中高年層で「子供のころから比較的よく映画を観ていた人」が口にしがちな印象である。
2023年7月20日に米「Vanity Fair」が配信した「Why Are Movies Sooooo Long? An Investigation(なぜ映画はすごーーーーく長いのか? 調査)」は、映画の平均上映時間が2002年から2022年の間に13 分も長くなっている、と指摘している。
同記事ほかでよく指摘される「ハリウッド映画が長くなっている理由」は、大体同じだ。曰く、長尺の映画は劇場での1日あたりの上映回数が減るので、興行収入面で不利。それゆえかつてのプロデューサーは監督にファイナルカット権を与えず、監督が不本意であっても編集で短くさせていた。しかし昨今は、集客の見込める監督が「それだったら配信で発表するよ」と言いだしかねないので、公開作が長尺化している――。
たしかにここ数年の、いわゆるハリウッドの娯楽大作の中には上映時間の長い作品が目立つ。2023年公開作で言えば『バビロン』(2022)は3時間9分、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』(2023)は2時間29分、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023)は2時間34分、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(2023)は2時間44分もある。