まず結論から申し上げると、就職の「内定」を企業側が簡単に取り消すことはできません。なぜなら内定とは法律上「契約」だからです。正式名称を「就労始期付解約権留保付労働契約」といいます。
日本では会社が労働者を解雇することが非常に難しく(労働契約法16条)、内定取消しは解雇とほぼ同程度の難しさとされているのです。
内定という語感からは、まるで正式な社員ではないかのよう印象を受けるかもしれないのですが、正式な「契約」なのです。内定=契約なので、会社が一方的に取り消せるケースは大幅に制限されています。ちなみに最高裁では、以下の場合だけ内定を取り消せると判示しています。
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採用内定当時、知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして、客観的に合理的に認められ社会通念上相当して是認することができる場合(大日本印刷事件:最高裁 S54.7.20)
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この最高裁の判示は抽象的なので、具体的な判例として新卒と転職の2つの裁判例を見ていきましょう。