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私は“犯人”なのか? 今話題の体験型推理ゲーム「マーダーミステリー」をやってみた

集英社オンライン / 2022年5月24日 13時1分

中国で人気に火がつき、今や日本でも大人気の「マーダーミステリー」は、人々がリアルに集まり、役になりきっておこなう体験型推理ゲームだ。「没入感がすごい」「どんなエンタメよりドキドキハラハラする」と話題の“マダミス”を、謎解きビギナーのライターが体験。まるでミステリー映画の中に入り込んだかのようなリアルな緊迫感がすごかった!

マーダーミステリーとは?

マーダーミステリーは、一言で言えば「体験型推理ゲーム」。プレイヤーがアクターとして“殺人事件のある登場人物”になりきり、誰が事件の犯人なのかを暴いていく。

ゲーム開始前に、それぞれの人物にしか知り得ない情報を含んだ台本が1人1冊ずつ渡され、それを「自分(登場人物)の記憶」として、推理に参加をする。



さらに現場に残された遺留品や登場人物の持ち物、証言をもとに、全員、もしくは少人数での話し合い で、互いを探りつつ真実に近付いていく、というゲームだ。

現在、マーダーミステリーを楽しめる専門店やボードゲーム店 は、全国で30店舗以上ある。

マーダーミステリーを体験してみた ※ネタバレ注意!

今回プレイしたのは、人気マーダーミステリー作家・イバラユーギ氏の「季節のマーダーミステリー」シリーズ、「アニクシィ」。6月30日まで全国10店舗でプレイすることができる。

Murder(殺人)という言葉から物騒さを感じていたが、取材にご協力いただいた「ひよこの杜」の店内は白を基調とした爽やかな造り。女性1人でも入りづらさはない。

取材協力していただいた「ひよこの杜」(宮城県仙台市)

筆者を含むプレイヤー7人が集まったところで、ストーリーは幕を開けた。舞台設定は次のとおり。

――舞台は四季が美しい国、ニィホン。ニィホンのある街「アニクシィ」は、ここでしか咲かない「サクラ」という植物を加工して他の街に輸出することが主な収入源であった。今回の事件の舞台は、アニクシィにある、とある薬品研究所。

※マーダーミステリーは特性上、ネタバレするとプレイできなくなってしまう。極力内容には触れずに進めるが、知りたくないという方は注意して読んでいただきたい。

台本を手に取った瞬間の緊張感

台本にはびっくりするような設定があることも

マダミスでは自分の役を把握するため、まず始めに配役の台本を読み、自分の設定や目標、サブミッションなどを確認する。

私の配役は怪しさ満点の男性キャラクターで、メイン目標は「犯人として捕まらないこと」。ストーリー構成上、自分が犯人かどうかは曖昧な状態でスタートした。

設定には「最後まで隠したほうがよさそうなもの」「公開することで自分が有利になりそうなもの」の両方が記載されており、これらをどう利用していくか考える必要があった。

マダミスでは物語の舞台の見取り図把握も重要。「ここで叫び声が聞こえたということは……」「ここで犯行が行われたということは……」と推理をするためにも、見取り図はできる限り頭に入れたい。

台本を読み込んだところで、本格的にストーリーが動き出した。

瞬時の判断力と的確な質問力が試される「密談」

少人数で行う「密談」は、マダミスの醍醐味のひとつ。「この人の情報を引き出したい」、もしくは「この人とだけ情報を共有したい」というときに、少人数で会話ができる場のことだ。

ライターとしては、ここはプロの力を生かして相手から有益な情報を引き出したい。「それはなぜですか?」「なんでそんなことをしようと思ったんです?」「何時ごろのことですか?」と、とにかく細かく聞き出し、その情報を生かして次の密談相手を揺さぶる。

話した内容だけではなく、そのときの相手の言葉の濁し方や詰まらせ方も大きなヒントになる(あくまで役として怪しいかどうかであり、「台本をもらった時に表情が強張っていたから」などのメタ的な推理はナンセンスだ)。

マダミスには設定はあるがセリフはない。それなのにプレイヤーは次第に「そのキャラクターらしい」抑揚やクセをつけて話すようになる。その雰囲気が、さらに世界観に入り込ませる。

話を聞くうちに、曖昧な発言をする人、ひとつのことにこだわり続ける人、唐突に「こうするべきだ」と言い出す人など、徐々に怪しい人が現れる。……というか、怪しい人しかいなくなる。

実は私も最後の密談で、自分の潔白を示したいあまり、めちゃくちゃ怪しい行動を取ってしまった。しかし、そのときは「犯人投票で1票くらい入っても、犯人として吊るし上げられることはないだろう」くらいに考えていた。

のちにこれが墓穴を掘る行為に なるとも知らず……。

大どんでん返しもありうる、クライマックスの「推理発表」

「推理発表」の時間では、自分が得た情報を基にして犯人が誰なのかを全員で議論、推測し、犯人だと思う人物に投票。多数決で決定する物語のクライマックスだ。

ここまでで怪しい人物を絞れていた私は、犯人らしき人物の犯行動機や犯行のタイミングの仮説を組み立て、自らのメイン目標である「犯人として捕まらないこと」を達成する気満々でいた。

当日使われた、登場人物7人それぞれの台本

しかし、ある人物の一言で場の空気が変わる。

「僕ね、犯人分かっちゃったんですよ」

――そう、私と最後に密談をした人物だ。

今になって思うのは、その言葉の切り出し方の巧妙さ。彼は「犯人分かっちゃったんですよ」と言いながら私をしっかりと見据えた。それに倣うように、まだ判断を迷っていたであろうプレイヤーの視線も、一気にこちらに向いた。

密談相手「〇〇(筆者の役名)さん、あれは何だったのですか? あのときなぜあなたがあんなモノを?」

私「それは、たまたま、思わず、その……」

密談相手「思わず?」

私「えっと、その、よく覚えていないのですが、確かに□□に戻って……」

密談相手「それは不自然すぎませんか? そのとき△△さんも一緒にいましたよね?」

崖に追い込まれたサスペンスドラマの犯人のように、じわじわと追い詰められていく。

私「あ、えっと……。や、やっぱりちがうかもしれません(?)」

パニックになりすぎて記憶が曖昧だが、30 歳を過ぎてあそこまでしどろもどろになったのは間違いなくこのときが初めてだ。

結局、たったひとつの怪しい行動が仇となり、私は投票により容疑者として捕まり、ストーリーは幕を閉じたのだった……(ちなみに筆者の役は真犯人ではなく、全体としても犯人を逃がしてしまう結果に)。

プロに聞く、マーダーミステリーの楽しみかた

取材に協力していただいた「ひよこの杜」店長、しゅんさん にマダミスを楽しむポイントをお聞きした。

「プレイするときはぜひ役になりきっていただきたいです。推理を楽しむのはもちろん、役になりきって感情を揺さぶられるのもマダミスの醍醐味です。

台本に書いてあることは情報ではなくプレイヤーの記憶。プレイ中に台本を見返すときは『台本を確認しますね』ではなく、『ちょっと思い出しますね』などと言って、あくまでその役として振る舞うのも楽しむポイントです」

とはいえ、内容を知ってしまうため、基本的にひとつのストーリーをプレイできるのは一度のみ。マダミスはまさに“生モノ”のゲームである。初心者には少々ハードルが高く感じるが、「あまり肩肘を張らずに」としゅんさん は言う。

「GM(ゲームマスター)がフォローするのであまり心配いりません。話合いがうまく進まない場合は、さりげなくわれわれGMがサポートをします」

ひよこの杜店長・しゅんさん(当日のゲームを進行)

今回プレイした「アニクシィ」作者、イバラユーギ氏にもマダミスの魅力を聞いた。

「シナリオの中では敵対したりすることもありますが、ひとつの物語を一緒に創るという構造上、マーダーミステリーは全て協力ゲーム。協力ゲームの中で、『そのシナリオの一番おいしい部分を探しだすこと』が、楽しむコツだと思います」

初めて遊ぶ方にとってはハードルの高い遊びに感じられるかもしれませんが、マーダーミステリーが好きな人は、誰かと何かをと楽しむことが得意な方が多いです。ぜひ怖がらずにチャレンジしてみてほしいですね 。

今回プレイした「アニクシィ」については、「密談」が鍵だと話す。

「密談は、マダミスならでは魅力のひとつです。本作は、マダミスをやり尽くした人でも、『人に聞かれたくない』密談の緊張感を味わえると思います」

「演じるなんて恥ずかしい……」と思うのは最初だけ。始まってしまえば、自分でも驚くほどその役になりきって楽しめるのがマーダーミステリーのすごいところだ。

現在、無料アプリなどでオンラインでもプレイすることもできる。ぜひ、生のドキドキを感じてみてほしい。

取材・文/マサキヨウコ

取材協力

ボードゲーム&マーダーミステリー「ひよこの杜」
宮城県仙台市青葉区城県仙台市青葉区本町1丁目13 16Yellow Bldg3F

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