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深夜枠からの昇格→打ち切り終了はなぜなくならない? 福田麻貴×加納×サーヤを擁する『トゲトゲTV』も…鳴り物入りで昇格した番組が陥りがちな「枠移動」の盲点

集英社オンライン / 2023年10月14日 19時1分

「前代未聞の最終回」が番組終了後も話題となった『トゲトゲTV』。テレビ朝日のド深夜で人気を博し、満を持して昇格した番組は、なぜわずか1年という早さで終わってしまったのか? 人気と実力を兼ね備えた3人の女性芸人による企画性に富んだ番組も避けられなかった「枠移動」の難しさ。テレビ番組に関する記事を多数執筆するライターの前川ヤスタカが、放送時間に翻弄される「番組の昇格」問題を考察する。

筆者も絶句した『トゲトゲTV』まさかの放送終了

2023年9月。『トゲトゲTV』(テレビ朝日)が終わってしまった。残念だ。
何なら、この一行で本稿を終わらせてしまいたいほど、私はこの番組が好きだった。



放送されていない地域も多いのでご紹介すると『トゲトゲTV』は毎週木曜0:15〜0:45(水曜深夜)に放送されていたバラエティ番組で、女性芸人の福田麻貴(3時のヒロイン)、加納(Aマッソ)、サーヤ(ラランド)の3人を中心にさまざまな企画を行う30分番組であった。

この番組には前身となる番組があり、火曜2:16〜2:36(月曜深夜)に放送されていた同3人が主役の20分番組『トゲアリトゲナシトゲトゲ』(テレビ朝日)がそれにあたる。

それぞれコンビやグループで活躍している女性芸人3名が「女性ならでは」と言うような役割を一切振られることなく、かなりストロングにお笑いに振った企画をガシガシこなしていくさまは痛快だった。

そんな『トゲアリトゲナシトゲトゲ』はテレビ朝日深夜のバラバラ大作戦の枠の一つとして2021年3月から2022年9月まで人気を博し、同枠の人気投票「バラバラ総選挙」ではグランプリを獲得するなど、鳴り物入りで時間帯を上げたわけだが、わずか1年で終了となってしまった。

時間帯が上がったとはいえ、上がった先もまだ深夜。20分番組が30分番組になった違いはあるものの、レギュラー3人は変わらず、このまま勢いが続くものだと思っていた矢先での終了はびっくりである。

『トゲトゲTV』は『トゲアリトゲナシトゲトゲ』とどこが変わった?

終わった理由の本当のところは分からない。

しかしド深夜時代の方が面白かったと言う人は多く、番組としての勢いが枠移動で下がってしまった感はどうしてもある。

(番組終了後のYouTubeで加納が「深夜のほうがよかったと言う声があるが、自分たちとしてはそれはないかな」と話していたのは知っているが、視聴者目線での感想ということでご容赦願いたい)

大きな違いは、枠移動でゲストが多くなった、しかもお笑い芸人でないゲストが多くなったことだろう。

ド深夜時代はゲストのいない回も多く、いても気心のしれた芸人が大半だった。回によっては3人のパーソナリティに焦点を当て、加納のビビリや福田の寝言などをいじることも多々あった。しかし、昇格後はほぼ全ての回でゲストがきており、ホスト役の3人がそれをお迎えする感じになっていた。

『トゲアリトゲナシトゲトゲ』では、中堅女性芸人の3人が初めて得たホームグラウンドで、ヨギボーにだらだらともたれながら、思う存分自分のやりたいことをやっている感があった。その空気感を多くのファンは楽しんだのだが、昇格後にそれが微妙に崩れてしまった。そう思うのだ。

テレビ朝日も苦しむ昇格番組、早期終了の歴史

思い返してみると、特にテレビ朝日は深夜番組をゴールデンに昇格させては早期に終了という歴史を繰り返してきた。

古くは藤井隆扮するマシュー南の『Matthew's Best Hit TV』、ビンボーさんを紹介していた『銭形金太郎』などがその例である。

終了はしなかったが、ゴールデンに昇格した後、深夜に戻ったケースもある。直近だと今秋にゴールデンから深夜にカムバックした『有吉クイズ』が典型的な例だ。

Oラインを脱毛したり、サソリや蜘蛛をノールックで食べたりしていた番組がゴールデンに行っていたこと自体が多分何かの間違いだったと思うのだが、深夜に戻ってきてからの本領発揮が楽しみである。

昇格後に長続きした番組。実は内容が別物という現実

言わずもがなだが、深夜とゴールデンでは全く客層が違う。

ゴールデンでは、老若男女が見るのであまり攻めた内容はできないし、深夜だと通用していたノリが通じなくなったりする。

たとえが適切なのかは分からないが、時間帯が移動するというのはボクシングで階級を上げるみたいなもので全く別世界になるのだろう。何ならキックボクシングからボクシングに転向するくらいの差があるかもしれない。

時間帯の変更をものともしない番組も中にはあるが、多くの場合、作り手側も新しい時間帯に合わせるため、深夜時代に人気だった部分を捨ててしまったりする。

深夜からゴールデンに昇格した歴史があっても長く続いている番組の大半は、昇格後に内容が全く別物になっている。例えば『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』が典型例だ。

深夜時代は“クイズプレゼンバラエティー”と銘打ってはいたものの、クイズはおまけみたいなもので、「この芸人は10m高飛び込みを飛べる飛べない」など、その過程を見せるお笑い番組だった。

しかしご存じの通り今の『Qさま!!』はガチクイズ番組である。

番組のファンからすると、ここは難しいところだ。

深夜番組というのは新陳代謝が激しい。(TVerはあるけれど)ネット局は少なく、知名度はなかなか上がらない。予算も限られているから大きいことはできない。人気がかげれば一瞬で終わってしまう。

時間帯が上がれば予算もつき、いろいろとこれまで出来なかったことも出来るようになるし、何より今までよりも多くの人に見てもらえる。しかしこれまでと同じ内容というわけにはいかない。いろいろなテコ入れがあるし、何だったらメンバーは一緒でもまるで別な番組にリニューアルされてしまう。

どちらがいいのか。

3人組でだらりと話す深夜番組。『久保みねヒャダこじらせナイト』

『トゲトゲTV』の場合は、ド深夜から深夜への移動なのでそこまでの急な階級上げではなかった。それでもやっぱり『トゲアリトゲナシトゲトゲ』のようなヨギボーだらりではいられなかった。

そもそも番組タイトルが変わったことが、より多くの人目につくことを意識した分かりやすさ重視への舵切りだったのかなと今にして思う。

3人組でだらりと話す深夜番組といえば局は違うが『久保みねヒャダこじらせナイト』(フジテレビ)がある。久保ミツロウ、能町みね子、ヒャダインの3人の文化人が話す内容やコーナーは、そもそも前提となるカルチャー知識がある程度必要で、人を選ぶ番組ではある。だからこそ彼女たちはその空気を大切にしながらド深夜に止まっている。

いずれはライブで?『トゲトゲTV』の復活に期待したい訳

『トゲトゲTV』番組終了後のYouTubeで、福田が「なんかまだやれそうな気がする。復活した番組も世の中にはある」「この3人で半年後か1年後くらいにライブやったらファンの子たち来てくれるんちゃう?」と話していたが、まさに『久保みねヒャダ』は一度レギュラー番組としては終了している。

そして番組終了後、月1ペースで「久保みねヒャダこじらせライブ」という有観客ライブ&オンライン配信を行うようになり、そのライブのなかから、地上波放送に耐えうる部分を不定期で深夜に放送するという形で、事実上の復活を遂げている。

もしかしたら福田の発言はこの例を意識してのものだったのかもしれない。

しばし後、『トゲトゲTV』の3人がどこかの会場でライブをするかどうかは分からない。そしてそれをもとに番組が復活するかどうかはもっと分からない。

しかし番組ファンとしてはそれを信じて待ちたいと思う。前例はある。

文/前川ヤスタカ イラスト/Rica 編集協力/萩原圭太

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