産婦人科には、さまざまな女性がいらっしゃいます。私はこれまで、10代から閉経後の方まで、もちろん妊婦さんも含め、女性のあらゆるライフステージに医療の側面からかかわってきました。
この数十年で、女性のライフコースは大きく変化しました。一番大きな変化は出産年齢です。
以前、小学校のPTAの講演中に気づいたことがありました。小学生のお母さんといえば、すごく若い方だというイメージを持っていたのですが、最近はアラフォーで出産する方もめずらしくありません。仮に35歳で産んだとすると、子どもが小学校高学年になるころ、お母さんは40代後半なんですよね。
小学校高学年といえば思春期を迎えるころです。一方、40代後半は更年期に差し掛かる年代であり、どちらも、女性としてのからだが変化して、こころも大きく揺さぶられる時期です。
つまり、「『小学生の子どものいる家庭』とは、『家庭の中に不安定なこころを抱えた人が少なくとも二人いる状態』かもしれない」と、いえるわけです。
しかも、お母さん世代が成長期、思春期だったころと今とでは、世の中は大きく様変わりしています。