――『実母と義母』には、これまでのエッセイに引き続き、今は亡き実家の母、姑である義母が登場します。今作では「自由で静かな生活を重んじる実母」と、「押しが強くて保守的な義母」という“ふたりの母”の対比により、女性の多面性がより実感をもって感じられました。
生きているときって、なぜだか家族とわかり合えないことも多いんです。私の場合、実母が亡くなって、また自分が年を重ねたことで、「あのとき、母はこう考えていたのかもしれないな」と考える機会が増えたんですね。今作では、実母の過去について思いを巡らせながら書きました。
義理の母に関しては、現在の義母と認知症になる前の義母、そして「若い頃の義母はどんな人だったのだろう」と想像しながら書きましたね。