──『愛にイナズマ』では佐藤さんが折村家の父親・治役を、池松さんが長男の誠一役、若葉さんが次男の雄二役を演じられました。石井裕也監督が手がけた脚本を読んで感じたこと。惹かれた点について教えてください。
佐藤浩市(以下、佐藤) 石井監督の思いが込められていて、とても勢いを感じる脚本でした。このキャストで勢いに乗って演じたら、すごい映画ができるんじゃないかと思いましたね。
若葉竜也(以下、若葉) 僕も脚本を読んだとき「この船に乗らないという選択肢はない」と思いました。乗らなかったら後悔すると。
池松壮亮(以下、池松) 石井さんとはこれまで何度も仕事をしてきましたが、『愛にイナズマ』はエネルギーに満ち溢れていて。恋愛、家族、社会、さまざまな要素がつまった、ポップでラブリーで力強い脚本でした。
もしかするとみんな、コロナ禍だったあのころを早く忘れて新しい時代へと進みたいと思っているかもしれません。ですが、自分たちがあのとき経験したこと、悲しさや悔しさ、やるせなさや怒り、何が起きても繰り返される“ことなかれ主義”に待ったをかける脚本や主人公に気概を感じましたし、この想いを後押ししたいと思いました。