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「いじめられている子を助けられない…」小4女子が抱える悩みに小島よしおが真剣回答。「自分だけでできることはすごく限られている」から、どうすれば?

集英社オンライン / 2023年10月31日 11時1分

小学4年生の女の子から寄せられた「いじめられているクラスメイトを助けられない」という悲しい質問に、キッズコーディネーショントレーナーの資格を持ち、子ども向けのイベントを多数開催している小島よしおさんが回答。みんなでいっしょに考えてみよう。『小島よしおのボクといっしょに考えよう』(朝日新聞出版)より、一部抜粋、再構成してお届けする。

相談
こんにちは。七です。クラスの席の私の隣には、男の子がいます。その子はすごくいじめられていて、かわいそうに思い、何とかしてあげようと思うのですが、いじめをする人は、男子なので怖くて、「やめてあげて!」と言う勇気がありません。

なので私は、先生に何度もこのことを言いました。けれども、先生は「やめなさい」と言うだけで全然気にしていませんでした。なのでいじめは、なくなっていません。


例えば「おまえ汚いから、こっちくんな」とか、「俺の物を触るな!」など、傷つく言葉ばかりです。私がされているわけでもないのに、とても嫌な気持ちになってきます……。

なので私、頑張って「やめてあげて!」と言いました。けれど「うるせーよおまえ! あいつの味方なん?」と言われてしまいました。

私はどうすればよいでしょうか……? 教えてください。
その子も、私もイヤな気持ちになっています。
(七・小学4年生・女子)

行動を起こした君は素晴らしい! 他の国ではどんないじめ対策があるのかな?

七ピーヤ、すごく行動力と勇気があるんだね!

先生に言ってもダメで、いじめをしている男の子に言ってもダメ……それでも自分にできることはないか考えて探して、さらに行動に移して、よしおに相談してくれたんだね。えらい! すごい行動力だよ!

悲しいことに、いじめってなかなかなくならないよね。世界を見渡してみてもいじめがない場所は少ないんじゃないかな。だから、世界ではいじめにどう対応しているのか気になって、少し調べてみたよ。

例えばイギリスでは、「いじめはあるもの」として学校側は対策を立てていて、校内に監視カメラを設置しているんだって。そして、もしいじめが起きたら、いじめをしたほうに問題があると考えて、いじめをした子どもの親は講習を受けなければいけないみたいなんだ。

それからフランスでは、いじめをした子どもと親と先生の話し合いが行われたり、アメリカではいじめをした子どもにアンガートレーニング(怒りと上手に付き合うための心のトレーニングのことだよ)や共感トレーニングを受けさせたりするみたい。

韓国では、いじめをしたら奉仕活動をするように言われて、それでもいじめをやめなかったら出席停止や退学処分があるんだとか。

海外では、いじめをしている子に問題があるという考え方が主流で、法律が学校のいじめにも対応しているところが多いみたいだね。たしかに全体的な仕組みをつくることがまずは大事なのかもしれないけど、それだけじゃ解決できないよな、ともよしおは思ったよ。

いじめられている子にも、いじめている子にも、どうにか真心で向き合って問題が解決できないかな……とよしおも考えているんだけど、とっても難しい問題だね。

法律が出てくるくらい、問題の根が深いいじめ。七ちゃんの勇気ある行動は素晴らしいけど、今はその成果が出ていない。そして、もしかすると自分が標的になってしまう危険性もあるかも……悩むねえ。

手を伸ばす方向を変えてみる

助けたい、って人がいたときに、人は手を伸ばすよね。七ちゃんは手を伸ばしてその子を助けるために、先生にもSOSを出したし、いじめっこにも声を上げた。でも、その手が届かないのが、今の七ちゃんの状況だよね。

七ちゃんは、今の自分にできることは精いっぱいやったと思うんだ。このまま同じ方向に手を伸ばし続けたら、きっと七ちゃんの肩が外れたり、手の筋が痛くなったりしてしまうんじゃないかな。人間の腕は2本で、長さも決まっている。自分だけでできることって、実はすごく限られていると思うんだ。

それでも、七ちゃんは隣の席の男の子を助けたいんだよね。それなら、もっと別の方向に手を伸ばしてみるのはどうだろう?

例えば、学校の先生じゃなくて地域のお悩みセンターに相談してみるとか。一度相談した先生じゃなくて、違う先生や他の友だちに相談してみるとか。

いじめがなくなるように頑張るのも大切だけど、隣の席の男の子の話や気持ちを聞いてあげるのも、ひとつの手の伸ばし方かもしれないね。それから、いじめはどうしてなくならないのかな、って考えてみたり勉強してみたりするのも、何か役に立つかもしれない。

とにかくいろんな方向に手を伸ばしてみるんだ。七ちゃんの手が直接は届かないかもしれないけど、伸ばした手を別の人がつないでくれて、その手がどんどんつながっていくかも。

たくさんの人の手がつながって助けたい人に届くってこともあるんじゃないかな、って思ったよ。

悲しいことが目に入ってきやすい時代

今の時代、身近なことだけではなく世界にあふれている悲しいことが自分の元にすぐ届くようになったけど、世界の悲しいニュースにしても、こういう方法なら何かしら力になれるはず。

今だとロシアのウクライナへの侵攻も、直接止めることはできないかもしれないけど、寄付をしたりメッセージを出したりすることが誰かの力になるかもしれない。

自分の手は2本しかないから助けられる範囲は決まっているけど、伸ばす方向や方法を変えれば誰かにつながってそれが届くこともあるんじゃないかな!

ただ、誰かを思ったり、助けたりすることはすごくエネルギーを使う。だから、決して無理はしなくていいし、全てを引き受けることは不可能だから、自分がきついなと思ったら休憩もしっかり挟んでほしいな。

最後に、七ちゃんに贈るギャグはこちら。

「千手観音ピース!!」。

手をピースの形にして、千手観音みたいにあらゆる方向に手を伸ばしながら言うギャグだよ。

千手観音って、いろんなところに救いの手を差し伸べるっていう意味らしいんだ。七ちゃんも、千手観音みたいにいろんなところに手を伸ばす方法を試してみてね!

……って、僕は思うんだけど、君はどう思うかな?

ヒント
自分のエネルギーを使いすぎない程度に、
いろんな方向に手を伸ばしてみよう!

文/小島よしお 写真/shutterstock

『小島よしおのボクといっしょに考えよう』(朝日新聞出版)

小島 よしお (著)

2023/9/7

¥1,540

208ページ

ISBN:

978-4023322981

大人からも大反響のAERA dot.の子どものお悩み相談連載が待望の書籍化!
『小島よしおのボクといっしょに考えよう』

「勉強が嫌い」「仲間外れにされて悲しい」「ついウソをついてしまう」「塾の費用が気になる」など、小島よしおさんが小学生22人からの相談に、優しく寄り添って回答します。
さらに、さかなクンとお互いの子ども時代を語り合う特別対談を収録!

全文ルビつきで、大人も子どもも読めます。


【目次】
―――はじめに―――

[相談1]オンライン授業があるのに、何のために学校に行くの?
[相談2]友だちの口調がいきなりきつくなった。何て言ったらきつい口調をやめてくれる?
[相談3]中学受験が忙しくて遊べないから、早起きしていろいろやりたいけど起きられない
[相談4]先生が勉強が苦手な子ばかりほめる。どうして平等にほめてくれないの?
[相談5]小島さんみたいに有名人になるにはどうしたらいい?
[相談6]友だちのつくりかたがわからない。友だちをつくれる方法はある?
[相談7]漢字練習や筆を洗うとか、やらなきゃいけないとわかっているけど、やりたくない
[相談8]「シャラップ!」と大きい声で言う友だちにはどう接すればいい?
[相談9]親友に仲間外れにされていて悲しい。どうすればいい?
[相談10]算数の問題でミスをしてしまう。簡単なミスはどうやったらなくせる?
[相談11]最近おじいちゃんとおばあちゃんが亡くなったけど、天国と地獄は本当にあるの?

【悩みがふっとぶ! よしおのギャグ図鑑】

[相談12]友だちがライバル視してきて、1位になってもうれしくない
[相談13]隣の席の子がいじめられている。助けたいのに助けられない
[相談14]ついウソをついてしまう。どうしたら直る?
[相談15]勉強が嫌い。勉強が好きになる方法を教えて
[相談16]塾の費用が気になる。家のために節約したほうがいい?
[相談17]好きな人の前ではいつもの自分が出せない。好きな人にはどうアプローチすればいい?
[相談18]国語の物語文が苦手。先生には得意そうと言われるけど、どうすればいい?
[相談19]将来やりたいことが決まっているのに、どうして勉強しなきゃいけないの?
[相談20]動画とゲームの時間が守れない。約束を守るにはどうすればいい?
[相談21]お世話係をしている1年生と仲良くなりたい。どうやって声をかければいい?
[相談22]宇宙人が怖くて眠れない。どうしたら怖いことを考えずに眠れる?

【特別対談】小島よしお×さかなクン「ボクたちの子ども時代」

―――あとがき―――

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