移住先のカナダ・バンクーバーで乳がんが見つかり、両乳房摘出手術を受けた日々を綴ったノンフィクション『くもをさがす』(河出書房新社、四月刊)が、八月には二五万部を突破し話題となった西加奈子さん。最新刊『わたしに会いたい』は、小説としては長編『夜が明ける』以来二年ぶりとなる、短編集だ。
コロナ禍で感じたこと、カナダで過ごしたこと、がんになったこと……。自身の体験や記憶を種に生まれた、パワフルで光に満ちた八つの物語。普段は長編を中心に活動する作家の短編集には、長編にはない“効きの強さ”が宿っていた。
聞き手・構成=吉田大助/撮影=中川真人(CUBISM)