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発達障害の子どもを注意するときに「ダメ」はNG! 「含み」を理解するのが苦手な子には具体的に理解させるために必要な「言い方」とは〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉

集英社オンライン / 2023年11月16日 12時1分

発達障害のある子どもは独特な言動をすることがある。そこに戸惑いを感じることもあるだろう。今回は、なんにでも手を出して勝手に遊んでしまう子どもの例を紹介しながら、そういった場合に適切とされる対応方法を紹介する。『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』(SBクリエイティブ)より、一部抜粋・再構成してお届けする。

誤解されやすい自閉スペクトラムの子どもたち

みなさんはお子さんを見ていて「どうしてこんなことをするんだろう?」と思ったことはありませんか?

「自分はよくしゃべるのに、人の話は聞いていない」
「なんでもないことにこだわって、かんしゃくを起こす」
「人に何か言われると、すぐに屁理屈を返す」



お子さんのこのような行動を見て、「どうしてこうなるの?」「一体何を考えているんだろう?」「どう対応すればいい?」と悩んでしまったことはないでしょうか。

子どもはしばしば、不可解な行動をとります。特に発達障害がある子の場合、独特の言動をすることが多いので、保護者や保育園・幼稚園の先生、学校の先生が戸惑いを感じることもあるでしょう。

そのような戸惑いに対して、

「この場面では、お子さんはこんな気持ちかもしれません」
「発達障害がある子には、〜という特性があります」
「それをふまえてこう考えると、お子さんの行動を理解しやすくなります」

ということを解説します。

そのうえで、「大人がこのような対応をするとお子さんが落ち着いて、それ以上の問題は起こりにくくなるでしょう」というアドバイスもお伝えしていきます。

発達障害はさまざまな種類が重複して存在しやすいものですが、今回は主に「自閉スペクトラム」の特性がある子によく見られる例をまとめています。なぜかというと、自閉スペクトラムは特に理解されにくいからです。

自閉スペクトラムの特性がある子は、日常会話の場面や園・学校などでの集団活動の場面で、まわりの人とのやりとりがすれ違ってしまい、誤解されることがよくあります。

主には自閉スペクトラムのことをお伝えしますが、発達障害は重複することも多いため、発達障害の特性があるお子さんやご家族、関係する先生方には参考にしていただけるところがあると思います。

私はこれまでにもSB新書で「発達障害とは何か」「自閉スペクトラムとは何か」を解説する本を出してきました。それらの本でも基礎知識や事例をお伝えしてきましたが、今回はこれまで以上に具体的な例をたくさんご紹介します。

こちらを読んでいただければ、自閉スペクトラムのことをさまざまな角度から理解できます。「こだわりって、こういうことなんだ」「本人はこう思っているのか」「こうやって受け止めればいいんだ」ということが見えてきます。

【CASE-1】なんにでも手を出して、勝手に遊んでしまう

マンガ:フクチマミ

先生によって、注目しているポイントが違います

子どもがホワイトボード消しを勝手に使って、連絡事項を消してしまいそう。そんなときの「止め方」には、いろいろなやり方があります。例えば、

①「やめなさい」と言いながら止めにいく
②「消さないでね」と声をかける
③ 何も言わずに子どもを別の場所に移動する


マンガの1人目の先生は「消さないで」と声をかけましたが、効果はなく、残念ながら文字は消されてしまいました。2人目の先生は子どもの関心を引きつけてから、自然に隣の部屋に連れていきました。子どもがホワイトボードでいたずらすることは防げました。

2人目の先生は、なぜこんなにもさりげないやり方で、子どもを止めることができたのでしょうか。

1人目の先生のほうが子どもにしっかりと呼びかけ、「消さないで」と注意もしているのに、子どもは止まりませんでした。2つの対応の違いはどこにあるのでしょう?

私たちは、まだ言葉のわからない幼児がいたずらしそうなときには、叱ったりしないで、さっさと手を取ってほかの場所に連れていきます。言葉で言っても通じないからです。

でも、相手が小学生であれば、まずは「やめて」と声をかけます。

マンガの場面では、相手は年中のお子さんなので、手を取って止めるか、言葉で注意するか、判断に迷うところです。適切な対応は、お子さんの年齢や発達段階などによって微妙に変わってくるんですね。

1人目の先生は注意すれば通じると思って声をかけた。2人目の先生は、声をかけるよりもホワイトボードから関心をそらせるほうが確実だと考えた。先生によって注目しているポイントは違っていて、この場面では2人目の先生の対応が適切だったということです。

「ダメ」よりも「~ してね」で具体的な行動を示す

自閉スペクトラムの特性がある子の場合、大人が「ダメ」と声をかけるだけでは、適切な行動が伝わりにくいことがあります。

自閉スペクトラムの子は「含み」を理解するのが苦手です。「ダメ」と言われただけでは「何がダメなのか」「なぜダメなのか」がよく理解できず、混乱してしまうことがあります。

それよりも「〜してね」と具体的な行動を示したほうが、本人に伝わりやすいことが多いです。

特性のある子がいたずらを始めようとしていて、説明する時間がないときには、ほかの場所に連れていってしまうのもひとつの方法です。

ひょっとするとマンガの2人目の先生は、お子さんのそのような特徴を意識して、手をつないで連れていく対応を選んだのかもしれません。

子どもを理解するヒントは「よく見る」ことから

私も日頃から「子どもをよく見ること」を大事にしています。子どもの様子をよく観察していれば、その子への理解が深まり、その子に合った対応を考えやすくなるからです。

マンガの2人目の先生は、おそらくこのお子さんのことを日頃からよく観察していたのだと思います。だから「声をかけずに連れていこう」と判断できたのでしょう。

この本では「子どもをよく見ること」の重要性をお伝えしていきます。そのために、子どもの様子を文章だけで説明するのではなく、マンガをまじえてお伝えします。マンガのふとした一場面に、子どもを理解するヒントがちりばめられています。

「こんな場面に注目すると、子どもの気持ちが見えてくるかも」という例を、これからいくつもご紹介していきます。どうぞご覧ください。

文/本田秀夫 マンガ/フクチマミ

『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』(SBクリエイティブ)

本田秀夫 (著)、フクチマミ (マンガ)

2023/9/28

¥1,540

160ページ

ISBN:

978-4815619459

「なんで!?」がわかれば子育てがラクになる!
・こだわりが強い
・融通がきかない
・友達づくりが苦手
……
うちの子の不思議な言動がこれ1冊で丸わかり!

臨床経験30年以上の医師が指南!
●20ケースのマンガにあわせて具体的なサポート例を紹介

・臨機応変な対人関係が苦手
・自分の関心、ペースが最優先
そんな自閉スペクトラム症の子の「あるある」をマンガ紹介→「どうして?」と思ったら解説を読んで解決!

【構成案】
■プロローグ:「自閉スペクトラム症」の子どものフシギ

・発達障害の中でもASD(自閉スペクトラム症)中心に事例を紹介
・こだわりが強い、臨機応変な対応が苦手、友達づくりが苦手
・ASDのコミュニケーションは理解されづらく、
「普通だったらわかるでしょ」がわからない

■20ケースのマンガにあわせて具体的なサポート例を紹介
※幼児期から小学生まで
Case1 何にでも手を出して、勝手に遊んでしまう
Case2 特定の子と一緒になると、いつもケンカになる
Case3 自分からは話しかけるのに、人の話は聞かない
Case4 いたずらして注意されると、むしろ調子に乗る
Case5 学校での生活に、いつまでたっても慣れない
Case6 園に行くとき、いつも同じ道を通りたがる
Case7 外出先の病院などで、ちゃんと挨拶しない
Case8 タンスに登って飛び降りるので、危ない
Case9 着替えや食事などの生活ルーチンが身につかない
Case10 ささいなことで、かんしゃくを起こす
Case11 偏食があって、なかなか変わらない
Case12 真冬でも、半袖・半ズボンを着ている
Case13 学校で教室移動中に、廊下を走り出す
Case14 褒められたのに、先生の腕をかんでしまった
Case15 大人に注意されると、腰砕けな答えを返す
Case16 文章の細かいところを気にしすぎる
Case17 質問されると、すぐに「わからない」と言う
Case18 話し方が変わっていて、同級生と打ち解けない
Case19 自分の意見を言わず、まわりに合わせてしまう
Case20 元気に学校に行っていたのに「突然不登校」に

■エピローグ

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