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「冬でも半袖半ズボンで平気」発達障害の子どもに見られる「感覚過敏」や「感覚鈍麻」。特定の感覚に敏感・鈍感すぎることへの対応策は?〈マンガでわかる自閉スペクトラム症の子どもの特性〉

集英社オンライン / 2023年11月19日 12時1分

幼児期から小学生までの発達障害、特にASD(自閉スペクトラム症)の子どもたちのサポート事例を紹介。今回は、特定の感覚が「敏感」「鈍感」な子どもに対して、どう接したらいいのか対応策をお届けする。『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』(SBクリエイティブ)より、一部抜粋・再構成してお届けする。

【CASE-12】真冬でも、半袖・半ズボンを着ている

マンガ:フクチマミ

感覚過敏や感覚鈍麻、こだわりの可能性があります

真冬でも半袖・半ズボンを着たがる子どもが一定数います。親としては「寒くないのだろうか」と思ってしまいますよね。

そのなかには体温が高めで薄着を好む子もいれば、感覚の異常があって半袖や半ズボンを着たがる子もいます。また、こだわりが強くて同じ服装をしたがる子もいます。



感覚の異常としては、主に2つのパターンが考えられます。

①皮膚の感覚過敏があって、長袖や長ズボンを嫌がっているパターン
例えば、チクチク感じるような肌触りの衣類を着るのが感覚的に苦痛で、長袖を嫌がる子もいます。別の素材の衣類であれば、着られる場合もあります。

②暑さ・寒さに対する感覚に鈍麻があるパターン
気温の変化を感じにくく、自分の肌感覚では衣類の調節ができないというケースです。薄着を好むというよりは、気温が変化しても「長袖を着たほうがいい」と気づけないんですね。

感覚の異常やこだわりがあって、真冬でも半袖・半ズボンを着ている場合に、子どもが健康を維持できていて、社会的に見ても極端に不自然ではなければ、私は特に問題はないと考えています。

まわりで見ていると「寒そう」と感じるかもしれませんが、本人が健康に過ごせているのであれば、そのままでもいいでしょう。

ただ、マンガのように風邪をひいてしまうことがあり、それが冬の間、何度も続くようであれば、なんらかの対応が必要です。子どもが「半袖・半ズボンを着たがる理由」を理解しながら、対応を検討していきましょう。

①の感覚過敏がある場合、本人が着たがらない服を差し出して、「嫌がらずにこの服を着なさい」と言っても、その子を苦しめてしまう可能性が高いです。どのような長袖・長ズボンであれば着られるのかを確認し、対応していく必要があります。感覚の異常は理解しにくい面もあるので、医師に相談しながら対応したほうがいいかもしれません。

②の感覚鈍麻の場合には、肌感覚ではなく、外部から得られる情報で判断する方法に切り替えれば、長袖・長ズボンを着られるようになる場合もあります。

暑さ・寒さの感じ方というのは、基本的には本人の主観です。主観で判断するのが難しければ、天気予報などの客観的な情報で考えればいいのです。例えば、「その日の最高気温によって服装を決める」というルールをつくる方法があります。「20度以上の日は半袖・半ズボン」といった形で、その子に合った基準を設定します。

親子で相談してルールを決め、書き出しておくといいでしょう。子どもが天気予報を見て、その日の服装を自分で判断できるようになっていくこともあります。

「感覚過敏と感覚鈍麻」は克服できる?

CASE11では「感覚の異常」による偏食について、またCASE12では「皮膚の感覚過敏」や「暑さ・寒さに対する感覚鈍麻」について説明しましたが、感覚の異常にはほかにもさまざまなものがあります。

子どもが特定の感触や音、においなどを苦手としている場合に、「少しずつ慣れていけばいい」と言う人もいます。しかし、感覚の異常は先天的な特徴であって、時間がたっても変わらないものです。多くの人が「食べ物の腐ったようなにおい」に慣れないように、感覚的な苦痛というのは、基本的には慣れることが難しいものなのです。

ときおり、「うちの子はがんばって苦手な音を克服しました」「いまは嫌がらずに活動に取り組めています」といった話を聞きますが、何年かたったあとに「あの時期はがまんができるようになっただけで、苦痛がなくなったわけではなかった」ということがわかってくる場合があります。

表面的にはよくなったように見えても、本人が感じる苦痛は変わっていないということも多いのです。

がまんを続けているうちに限界がきて、ストレスでいろいろな活動ができなくなってしまう場合もあります。例えば、苦痛に耐えて部活動や習い事になんとか通っていたけれど、ある日限界がきて、まったく行けなくなるというケースもあるのです。

本人が部活動などを続けたくて、自分の意思で感覚的な苦痛に耐えようとすることもあります。その場合にはすぐに退部させる必要はありませんが、自ら望んでやっていても、苦しいことには変わりはありません。本人にはストレスがかかっているので、無理をしすぎないように周囲の人が見守る必要があります。

文/本田秀夫 マンガ/フクチマミ

『マンガでわかる 発達障害の子どもたち 自閉スペクトラムの不可解な行動には理由がある』(SBクリエイティブ)

本田秀夫 (著)、フクチマミ (マンガ)

2023/9/28

¥1,540

160ページ

ISBN:

978-4815619459

「なんで!?」がわかれば子育てがラクになる!
・こだわりが強い
・融通がきかない
・友達づくりが苦手
……
うちの子の不思議な言動がこれ1冊で丸わかり!

臨床経験30年以上の医師が指南!
●20ケースのマンガにあわせて具体的なサポート例を紹介

・臨機応変な対人関係が苦手
・自分の関心、ペースが最優先
そんな自閉スペクトラム症の子の「あるある」をマンガ紹介→「どうして?」と思ったら解説を読んで解決!

【構成案】
■プロローグ:「自閉スペクトラム症」の子どものフシギ

・発達障害の中でもASD(自閉スペクトラム症)中心に事例を紹介
・こだわりが強い、臨機応変な対応が苦手、友達づくりが苦手
・ASDのコミュニケーションは理解されづらく、
「普通だったらわかるでしょ」がわからない

■20ケースのマンガにあわせて具体的なサポート例を紹介
※幼児期から小学生まで
Case1 何にでも手を出して、勝手に遊んでしまう
Case2 特定の子と一緒になると、いつもケンカになる
Case3 自分からは話しかけるのに、人の話は聞かない
Case4 いたずらして注意されると、むしろ調子に乗る
Case5 学校での生活に、いつまでたっても慣れない
Case6 園に行くとき、いつも同じ道を通りたがる
Case7 外出先の病院などで、ちゃんと挨拶しない
Case8 タンスに登って飛び降りるので、危ない
Case9 着替えや食事などの生活ルーチンが身につかない
Case10 ささいなことで、かんしゃくを起こす
Case11 偏食があって、なかなか変わらない
Case12 真冬でも、半袖・半ズボンを着ている
Case13 学校で教室移動中に、廊下を走り出す
Case14 褒められたのに、先生の腕をかんでしまった
Case15 大人に注意されると、腰砕けな答えを返す
Case16 文章の細かいところを気にしすぎる
Case17 質問されると、すぐに「わからない」と言う
Case18 話し方が変わっていて、同級生と打ち解けない
Case19 自分の意見を言わず、まわりに合わせてしまう
Case20 元気に学校に行っていたのに「突然不登校」に

■エピローグ

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