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大谷翔平選手に学ぶ目標設定のしかた「小さい夢や習慣が大きな夢を実現させる」という当たり前のことを継続する力

集英社オンライン / 2023年11月16日 8時1分

大谷選手とまるで同じようにはいかないかもしれないが、本来の自分の力を発揮し、夢をかなえるためにはいったい何をすべきなのか? 追手門学院大学スポーツ研究セター特別顧問 児玉光雄氏の『「できない」を「できる」に変える 大谷翔平の思考法』(アスコム)より一部抜粋・再構成してお届けする。

小さな目標や習慣が大きな夢を実現させてくれる

多くの自己啓発書に示されている「壮大な夢を描こう!」とか、「大きな目標設定をしよう!」といった魅力的な言葉。確かに、壮大な夢や大きな目標設定を描いているときに、私たちは幸福感を覚えます。しかし、達成不可能な夢をいくら描いても、本気でそこへ向かうモチベーションは生まれてきません。



「1日単位で完全燃焼!」の覚悟を持って、自分の目の前にある「小さな行動の完遂」や、「小さな目標の実現」に果敢に取り組みましょう。小さな習慣こそが、偉大な成果を上げる必須の要素なのです。

私たちは、大谷選手が突然凄い才能を獲得したような錯覚を持ちます。しかし、事実はそうではありません。彼は小さい頃から日々小さな目標をコツコツとクリアしていくことで、凄い才能を手に入れたのです。近道はありません。このことについて、大谷選手はこう語っています。

「僕は今でも野球が好きですし、練習するのが好きです。その日の練習で小さい目標を立て|例えばピッチングで何マイル以上出すとか|それを毎日更新していくことで試合のパフォーマンスも上がっていくと思っています」www.salesforce.com

キーワードは、「日々小さな目標をコツコツと積み上げること」です。私は過去30年かけて、250冊以上の著書を世に出すことができました。すべて自らの手でパソコンに打ち込んだ原稿が形になったものです。ライターさんに手伝っていただいた口述筆記は一冊もありません。
よほどのことがない限り、私は午前5時に起床して、軽い朝食をとった後、午前6時から12時までの6時間を執筆に充てています。もちろん、ひたすら執筆だけをし続けているわけではありません。

ストレッチ、コーヒーブレイク、スマホやパソコンでの雑用といった執筆と関係のない他の作業も行いながら、私に与えられた午前中の時間を目一杯活用して、パソコンとニラメッコしながら原稿を書く作業を黙々と行ってきました。

典型的な理系人間である私にとって、「好きでも、得意でもない執筆作業」を、「やらなければ苦痛に感じる作業」に変えてくれたのは、紛れもなく「小さな習慣」という強力なパワーだったのです。

習慣化したかったら、少なくとも最初の2〜3週間は、その作業を休みなく持続させること。
英国ロンドン大学の心理学者フィリッパ・ラリー博士は、ランチのときに果物も一緒に食べるとか、朝起きたら1杯の水を飲む、といった新しい習慣を定着させる実験を行いました。その結果95%の確率でその行動ができるようになりました。ただし習慣化されるまでには、18日から254日という幅があったそうです。
早い人は、2週間で習慣が定着するのですが、ラリー博士が調べたところ、そういう人の共通点は、新しい習慣が形成されるまでは、一貫して休みなくやっていたという事実です。


それでは新しい習慣を定着させるには、具体的にどのようにすればいいでしょう。
これは当たり前のことですが、実行が簡単である行動ほど、習慣化する可能性が高まります。

習慣化の持つパワーを活用

行動デザインの研究の世界的権威であるB・J・フォッグ博士が作成した行動モデルを図表5-1に示します。横軸は能力であり、縦軸はモチベーションです。図の右側に行けば行くほど行動は実行しやすくなり、図の上に移行すればするほどモチベーションが高くなければ実行できないのです。
行動曲線の上側が行動可能な領域であり、行動曲線の下側が行動が困難な領域です。図表5-1のように、行動は繰り返せば繰り返すほど習慣化して、①→②→③のように右側に移行していき実行しやすくなるのです。たとえば腕立て伏せを例に取って考えてみましょう。
壁腕立て伏せ2回から始めると、習慣は簡単に身につくのです(図表5-2)。一方、最初から腕立て伏せ20回から始めると、この行動は実行しにくいために習慣として定着する可能性は低くなるのです。

もちろん、その行動が「好きで得意」なら、行動曲線が下のほうに移行することは言うまでもありません。つまり実行しにくい行動でもモチベーションがそれほど高くないときでも習慣に定着しやすいのです。ベストセラー「バカの壁」の作者で解剖学者である養老孟司さんはこう語っています。

「自分が好きなこと、それしかやらない。そう決めるのは自分である。そう決めてちっとも差し支えない。(中略)本当に好きなら苦労をいとわない。苦労が苦労ではないからである。苦労したくないなら、結局それほど『好きではない』のである」(日本経済新聞)

大谷選手にとっても、おそらくバットを振る作業や、キャッチャーのグラブにボールを投げ込む作業は、その作業だけを捉えたら面白くない作業のはずです。それを「好き」で「得意な」作業に変えてくれたのは、紛れもなく習慣化の持つパワーを活用したからなのです。習慣化こそ、私たちの夢を実現する最強の要素となり得るのです。

「なりたい自分」を視覚化して行動を起こそう

私は過去30年以上にわたり、大谷翔平選手はもちろん、イチローさんやタイガー・ウッズといった一流のアスリートの思考・行動パターンを分析してきました。私がこの本で強調したいのは、大谷選手の思考・行動パターンを自らの人生に適用すれば、誰でもその道の一角の人物になれるという事実です。
スポーツ心理学において、「視覚化」ほど夢をかなえてくれる要素は見当たりません。もしもあなたが自らの潜在能力を発揮したかったら、「視覚化」を駆使することは必須です。しかし、残念ながら、このパワーを信じて「視覚化」を活用している人はそれほど多くありません。

つまり、「視覚化」はスポーツ界のみならず、ビジネス界においても成功者たちが活用している強力なツールなのです。

「視覚化」とは、自分の未来の理想像をできるだけリアルに描くスキルのこと。脳という臓器は、言語よりも非言語の処理を圧倒的に得意とします。ですから、言葉で考えるよりも視覚でイメージするほうが、脳が実現しやすいのです。大谷選手はこう語っています。

「知らないところでやるときはワクワクしますね。プロ野球の世界に入るときもそうでした。もっともっと自分よりすごい選手がいるんだろうなと思って、ワクワクしたのを覚えています。(中略)僕はどちらかと言うと、高過ぎるところを想像する性格。自分のイメージを高い場所へ持っていくところがあります。だから、自分の知らないことに向かうときって、ワクワクしてしまうんでしょうね」(『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』扶桑社)


大谷選手は小さい頃から繰り返し「メジャーリーガーになって投打で大活躍しているシーン」を頭の中で描いていたから、その夢が実現したのです。私はこの作業を「未来の自分の映画を見る作業」と呼んでいます。
夢を見るだけで描いた自分になれるほどこの世の中は甘くありません。

大切なのは夢を実現した未来の自分像を頻繁に描きながら、それを実現するための行動を起こし、さらに習慣化させることです。

日本人は「勤勉」とか「努力」といった言葉が大好きです。しかし、いくら必死に頑張ったとしても、脳内に「目標」を鮮明に描くことができなければ、たとえ才能があったとしても、夢をかなえることなど、ほとんど不可能です。
大谷選手は成功を手に入れるためのお手本を私たちに示してくれています。その秘訣を理解して行動を起こせば誰でも一角の人物になれるのです。

大風呂敷とワクワクするような目標設定は紙一重

2016年シーズン前、大谷選手はその年の目標についてこう語っています。

「20勝&20本です。20勝は軽く言える数字ではないですし、1年目じゃ言えなかった。20勝して20本打てば、日本一にも近づくんじゃないかと思いますし、そう言って喜んでもらえるなら言いますよ」(『不可能を可能にする大谷選手120の思考』ぴあ)

大風呂敷とワクワクするような目標設定は紙一重なのです。日本の社会では、まだまだ「目標実現」を重視します。しかし、それを優先すると、小さな成功で満足してしまいます。結果、組織のモチベーションの最大化も期待できません。

多くの心理学の実験によれば、控え目な目標設定で目標実現を優先するグループのリーダーは、メンバーに舐められるだけでなく、それ以降メンバーは、そのリーダーの指示に従わなくなるという結果が出ているのです。

日本人と欧米人の思考パターンの違いはいくつかありますが、減点主義の日本人と加点主義の欧米人、というのもその一つでしょう。たとえば、少年野球の現場で日本のコーチは、「選球眼を鍛えて四球を選んで塁に出ろ!」と、アドバイスします。
確かに、ミスを最小限に減らしてなんとか塁に出る選手は、一定の成果を上げることはできますが、大きな成果を上げることは不可能です。もちろん、組織にはある程度貢献できますが、この選手が一流プレーヤーになることはありません。
一方、欧米のコーチは、「三振してもいいから思い切りバットを振ってこい!」と、アドバイスします。失敗を厭わず、果敢に行動に出る欧米の選手は三振も多い反面、ホームランも多いのです。
どちらが大きな成果を上げることができるか。もちろん、後者であることは言うまでもありません。三振という失敗とホームランという成功を天秤にかけて、ホームランを打つという大きな成果を求め続ける選手こそが大成するのです。

欠点を修正しても、それは武器にはなり得ません。得意なもので勝負することに命を懸ける。それこそが、その人間の武器になり、大きな成果を上げる大切な要因なのです。

欧米のビジネス界では、「生きているうちに達成できるような目標の水準は低過ぎる」という教えが浸透しています。大事なことは「目標を実現すること」ではなく、「グロスの成果を最大化するような目標を掲げること」なのです。

『「できない」を「できる」に変える 大谷翔平の思考法』(アスコム)

児玉 光雄 (著)

2023/10/21

1,397円(税込)

新書 ‏ : ‎ 216ページ

ISBN:

4776213230

大谷選手を超一流のアスリートへ飛躍させた思考法を完全凝縮。
私たちは、大谷選手が突然凄い才能を獲得したような錯覚を持ちます。しかし、事実はそうではありません。
大谷選手はプロセスを徹底的に追求することの大切さを誰よりも理解しています。
つまり、「結果」ではなく「プロセス」に意識を置いているのです。それが、世界で活躍し続ける思考法の所以なのです。
「大きな夢は小さな目標の総量である」
「1日単位で完全燃焼!」の覚悟を持って自分の目の前にある「小さな行動の完遂」や
「小さな目標の実現」に果敢に取り組む。その小さな習慣こそが偉大な成果を上げる必須の要素なのです。
昨日より今日、今日より明日。自分史上最高の自分にめぐり逢うための、「ポジティブ思考」の神髄をあなたに。
【目次】
大谷翔平選手の成功方程式を読み解く
第1章 大谷翔平選手のような一握りの超一流の人たちの共通点
第2章 大谷翔平選手に学ぶ夢をかなえる目標設定理論
第3章 大谷翔平選手の成功思考の秘訣を教えよう
第4章 大谷翔平選手の直感力が彼を偉大なメジャーリーガーに仕立てた
第5章 大谷翔平選手が教えてくれる仕事で成果を上げる秘訣

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