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「なにもかもが面白かった。迫力もすごかった。衝撃的だった」天才レスラー上野勇希に刺さったプロレスラーのむき出しの“なにか”

集英社オンライン / 2023年11月11日 11時1分

『マツコの知らない世界』(TBS系)に出演、マツコ・デラックスにサウナの魅力をプレゼンして話題を呼んだDDTプロレスリングのサウナ部こと「The37KAMIINA(サウナカミーナ)」の4人組。なかでもマツコに「ハネたらすぐ独立する顔」とイジられたイケメンレスラー上野勇希はその後、大ブレイク。テレビドラマや舞台、『天才てれびくん』(NHK Eテレ)のレギュラー出演など多方面に活躍している。そんな上野の知られざる素顔に迫った。

DDTプロレスリングの大会前、会場で長蛇の列を目にすることがある。「誰のサイン会だろう?」と思って目で追うと、そこには大抵、にこやかにファンと触れ合う上野勇希がいる。

プロレスラー上野勇希さん

ファンサービスは神対応でプロレスも強くルックスもいい。欠点を探そうとするも見当たらない。その完璧さゆえにあまり人間味がなく、クールでドライな、感情をあまり表に出すことがないレスラーだと思っていた。

しかし2023年7月23日、両国国技館大会でクリス・ブルックスが初めてDDT最高峰のシングル王座であるKO-D無差別級王座のベルトを巻いたとき、上野がリング上で号泣する姿を見て、完全に心を持っていかれてしまった。

「プロレスと出会うまで、自分は人間が腐ってると思っていました」

いま女性ファンを虜にしてやまない、イケメンレスラー、上野勇希の素顔に迫る―。

母子家庭というコンプレックスからどこか冷めていた

上野は1995年大阪府八尾市に生まれた。両親は幼少時に離婚。母に引き取られ、3つ上の兄、2つ上の姉と共に育った。母が働いている間は、近所に住む祖母に面倒を見てもらった。

父親がいないことへの寂しさはなかった。母がいてきょうだいがいて、犬も2匹いる。賑やかな環境のなか、上野は愛されて育った。

しかし、ふとしたときに「自分は母子家庭なんだ」と感じた。幼稚園で「お父さんの絵を描きましょう」と言われたときや父母参観の日、「自分は人とは違う」と感じることがあった。

「昔から明るい性格なんですけど、どこか冷めているというか。斜に構えてしまって、全力でその空気を楽しめない。母子家庭ということがコンプレックスでした」

子供のころから運動が好きで、放課後はドッジボールや鬼ごっこに明け暮れた。中学は陸上部、高校は器械体操部。サッカーや野球などの団体競技よりも、個人競技が好きだった。他人の影響を受けず、自分のパフォーマンスだけで勝負する。「感覚的にはプロレスに繋がっています」と話す。

同級生の竹下幸之介、そしてプロレスとの出会い

男子が少ない高校だったため、クラスの分け隔てなく、男子で集まるようになった。昼休みにサッカーをしたり、昼ご飯を一緒に食べたり。2年生のときに仲間のうちの一人がプロレスラーとしてデビューすることになった。現在、米国AEWとDDT、2つの団体に所属する竹下幸之介だ。

仲間たちとDDT大阪大会に応援に行くことになった。プロレスを観たことがなかった上野は、会場に行く道中、ルールを教えてもらった。どんな競技かもわからなかったが「屈強な男たちが闘っている世界」という漠然としたイメージだけがあった。

そんな状態で観戦したプロレスに、彼は瞬時にハマった。

「なにもかもが面白かった。迫力もすごかったし、選手全員が一生懸命でした。『全力である』という部分が、僕にはすごく衝撃的だったんですよね。選手の名前もわからないから『怖そうな人』とか漠然とした記憶なんだけど、プロレスラーのむき出しのなにかがダイレクトに自分に刺さりました」

それまでなにかに夢中になったり、燃え上がったことはなかった。陸上も器械体操も楽しかったが、あくまで競技としての楽しさだった。しかしプロレスを観ていると、心の底から熱くなるものがある。自分にそんな心があることに驚いた。

頭のいい上野は、人が考えていることを瞬時に察知できるタイプだ。だれかが暗い顔をしていると「こんなことで悩んでいるんだろう」と理解し、優しい言葉をかけることができる。しかし、人の感情を自分に置き換えて感じることが苦手だった。卒業式で涙を流したことは一度もない。

「皮を被っていたというか、取り繕っていたというか。子供のころの『自分は人と違う』という感覚からくる自己防衛だったと思います。それがプロレスと出会って、ありのままの自分を解放できるようになりました」

濾過して薄くなったプロレスなんて、お客さんは見たくない

プロレスラーのように強い人間になりたいと思い、高校卒業後アルバイトをしながら電車で1時間かかるゴールドジムに通い、ウエイトトレーニングや柔術に取り組んだ。竹下と一緒に鍛えるようになった。

1年後、DDTの入門テストを受け、結果は見事合格。2016年10月17日のDNA新宿FACE大会、樋口和貞戦でデビューした。しかし、デビューしたからといって自分がプロレスラーになったとは思えなかった。「プロレスはすごいものであり、プロレスラーはすごい人である」という理想に近づくために、ただただ一生懸命だった。

そこから4年後の2020年11月3日、DDT大田区総合体育館大会にて、クリス・ブルックスを破り、DDT UNIVERSAL王座を奪取。最年少戴冠した上野はその後6度の防衛に成功し、最多防衛記録を樹立した。それでも彼が自分のプロレスに満足することはなかった。

「悔しいときは『悔しい』と言葉にはしてたけど、自分の感情は、本当はもっと濃いはずなのに、それを見せるのは恥ずかしかったり、伝わりが悪いんじゃないかと思って、ファンが見やすいように自分で濾過していました。でもそんなものに価値はないし、僕が濾過して薄くなったプロレスなんて誰も見たくないんだと、あるとき気づいたんです」

きっかけは2022年3月26日に行われた、アジア最大級の格闘技イベント・ONE Championshipの10周年記念大会『ONE X』シンガポール大会。青木真也と秋山成勲の因縁の対決だった―。

取材・文/尾崎ムギ子
撮影/林ユバ
プロレス試合写真/ⒸDDTプロレスリング
撮影協力/ゴールドジムイースト東京店

『Ultimate Party 2023』
■日時:2023年11月12日(日) 開場12:30 開始14:00
■会場:東京・両国国技館
■特設サイト:DDTプロレスリング公式サイト (ddtpro.com)

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