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最速200キロ投手、天才勝負師、智将、琉球の大砲、さすらいの賭博師! 集英社の野球マンガでスタメン組んでみた(前編)

集英社オンライン / 2022年5月27日 18時1分

メジャーリーグ、プロ野球、高校野球と盛り上がる野球界。そんな野球界に劣らぬ熱戦を繰り広げているのが「野球マンガ」の世界だ。今年は国民的野球マンガ『キャプテン』の連載開始から50年の節目の年。『キャプテン』を生んだ集英社からどんな野球マンガが生まれ、読み継がれてきたのだろうか? 野球マンガ評論家ツクイヨシヒサ氏監修のもと、ベストナイン形式で名作、名選手たちを振り返っていきたい。

最速200キロ投手と1イニング最強投手の継投!

©桑沢プロダクション/集英社

■先発投手:『緑山高校』より、二階堂定春
※「週刊ヤングジャンプ」1984年21号~1987年50号連載(全20巻)/桑沢篤夫

投手は特別に2人を選抜。先発は『緑山高校』から、主人公・二階堂定春だ。緑山高校野球部は新設校で全員が1年生。にもかかわらず、創設1年目で甲子園出場を果たし、全国の強豪校とも互角に渡り合っていく。



二階堂は、高校1年生にしてすでに身長198㎝、体重100キロ超え。恵まれた体格のサウスポーが繰り出すストレートは最速200キロに迫る超剛速球! まぎれもなく超高校級の怪物だ。

「高校野球マンガ界における規格外選手。気分が乗っているときのストレートは圧倒的で、どんな大打者とも対峙できます」(ツクイ)

夏の県大会決勝では延長16回を1人で投げぬくなど、スタミナ面も文句なし。プロ野球編では初登板初先発で完全試合(しかも全員三振)を達成し、東京ドームの天井に穴を空ける豪快ホームランも。現実世界でも大谷翔平、佐々木朗希が160キロ超え豪速球や二刀流、完全試合投球で話題を集める今こそ、改めて注目したい怪物といえる。

ちなみに、『緑山高校』は野球マンガとしては珍しく、いわゆる「野球どころ」ではない福島県が舞台の作品だ。作者の桑沢篤夫は福島県の古豪、学校法人石川高等学校出身。桑沢は学法石川高校に入学した年に初めて甲子園出場が決まったときの「感激や熱量が忘れられない」とインタビューで語っている。それがまさに作品の熱量に転化されている。

©甲斐谷忍プロダクツ/集英社

■抑え投手:『ONE OUTS』より、渡久地東亜
※「ビジネスジャンプ」1998年24号~2006年18号連載(全20巻)/甲斐谷忍

先発・二階堂は「かなりの気分屋で、気が乗らないと露骨に棒球を投げて失点を許す」という弱点が玉に瑕。ならば、抑えにはその対極に位置づけられるピッチャーを用意したい。

その選手は、万年Bクラスの弱小プロ球団「埼京彩珠リカオンズ」で革命を起こした天才勝負師、渡久地東亜。ワンナウト単位の完全出来高制「ワンナウツ契約」という投手不利の契約にもかかわらず、どんな場面でも無失点に抑えこんでいく姿は痛快だ。

渡久地の持ち球は平均120キロ台のストレートのみ。だが、狙ったところに正確に投げこむ制球力と、投球の回転数を自在に操ることで打者の手元で微妙に変化させる妙技、そして、長年のギャンブルで磨いてきた鋭い洞察力を駆使して相手打者のウラをかき、ときには球場全体、球界全体までも手玉にとっていく。

「渡久地の唯一の不安材料はスタミナ面。抑えで短いイニング限定ならば間違いなく無双できるはず」(ツクイ)

物語後半では、「ワンナウツ契約」で手にした莫大な資金をもとに、前代未聞の選手兼球団オーナーとなる渡久地。弱小球団の選手たちの意識改革を促し、チームを優勝に導いていく手腕もチームにとって欠かせない能力だ。

努力する天才捕手、琉球のスラッガー

©みかわ絵子/集英社

■捕手:『忘却バッテリー』より、要圭
※「ジャンプ+」2018年4月26日~、隔週木曜日掲載で連載中(既刊13巻)/みかわ絵子

中学硬式野球界で名を馳せた天才投手、清峰葉流火。その相棒であり、“智将”の異名を持つキャッチャーが要圭だ。

「野球×記憶喪失」を切り口とした高校野球マンガ『忘却バッテリー』。中学時代は冷静沈着なリードでチームを勝利に導く天才キャッチャーだったが、記憶喪失により野球に関するあらゆる知識と興味を失ってしまった要。野球を失ってしまうと、ただのお調子者になってしまうというギャップも魅力のキャラクターといえる。

「二階堂の200キロのストレートを誰ならば捕れるのか、というのは大変な問題。“智将”要圭であれば、そのストイックな性格から、努力で克服できるのでは……という期待感があります」(ツクイ)

記憶を失っていても、体はキャッチャーとしての基本動作を覚えていた要。それは、尋常ではない努力と執念によって手にした後天的なものだからこそ。そんな「実は熱血」な点も本作の魅力であり、要圭の魅力といえる。

作者のみかわ絵子は、「となりのヤングジャンプ」で『BUNGO-ブンゴ-』の作者二宮裕次との対談において、「(連載前は)野球の絵とか漫画はすごく好きなんですけど、あまり試合を観たりすることはありませんでした」と明かしている。

この話を受け、二宮は「スポーツに興味ない人でも読んでもらえるにはどうしたらいいかを、一番適したやり方でやっていらっしゃる」と解説。野球に詳しくない人でも読みやすい作品であるのは間違いない。

©なかいま強/集英社

■一塁手:『わたるがぴゅん!』より、宮城正
※「月刊少年ジャンプ」1984年8月号~2004年10月号連載(全58巻)/なかいま強

「がっぱい」という沖縄の方言が代名詞だった宮城正。20年間連載が続いた「月刊少年ジャンプ」の看板作品『わたるがぴゅん!』の重要なキャラクターだ。その主人公で沖縄出身の天才野球児・与那覇わたるとは沖縄時代からの腐れ縁で、14歳とは思えない怪力で豪快なホームランを連発する怪物スラッガーだった。

「宮城が持つ最大の魅力は、なんといっても意外性。長打力を生かしてクリーンナップを打たせてもよし。“恐怖の下位打線”として相手バッテリーに脅威を与えても面白そうです」(ツクイ)

東京にある東和台中学校野球部へ、沖縄からわざわざ転入してまで入った動機は、わたると喧嘩するため。宮城は野球の基本的なルールも知らないまま野球を続けていったが、マスコットバットを普通のバットと同じように軽々と扱う腕力を武器に放つ特大アーチは、何度も試合の流れを変える起爆剤となった。

ちなみに、沖縄の方言の「がっぱい」とは「後頭部が大きい」という意味。宮城の後頭部はまさに「がっぱい」状態で、キャップは後ろ半分を切り取ってゴムバンドを縫いつけたもの、バッターヘルメットは後ろ半分を叩き割ったものを使用。本人がこの「がっぱい」頭を誇りに思っているのも印象的なキャラクターだった。

海空高校のリードオフマン、通称「さすらいの賭博師」

©こせきこうじ/集英社

■二塁手:『県立海空高校野球部員 山下たろ~くん』より、須永
※「週刊少年ジャンプ」1986年44号~1990年32号連載(全21巻)/こせきこうじ

ジャンプ黄金期を支えた野球マンガといえば、「史上最高の野球部員」を目指す“史上最低の野球部員”山下たろーが主人公の本作だ。サードを守る辰巳亮介との凸凹コンビも懐かしいが、ここで取り上げるのは海空高校もう1人のキーマン、セカンドを守る須永だ。

海空高校のリードオフマンで、通称「さすらいの賭博師」。高校生にして「競馬・すごろく・麻雀……」と各種ギャンブルで天才的な腕を発揮。その勝負師としてのセンス、鋭い勘を武器に、攻守にわたってチームを支え続けた。

「連載当時、プロ野球で三冠王として名を馳せた落合博満をモデルにしたライバル校の北野も、須永の実力は認めていました。それだけ高い能力を持った選手です」(ツクイ)

コミックス5巻の巻末ページでは、『ジョジョの奇妙な冒険』の作者、荒木飛呂彦がコメントを寄稿。こせきこうじは荒木が初めて会話をした漫画家であるというエピソードとともに、次の言葉を残している。

《漫画のヒーローとは、背が高く筋肉モリモリで、モデルのような顔をしていなくてもいいし、超能力など使えなくてもいい。心の底に誰よりも熱い気持ちを持ち、目的に向かって成長すればいい…ということを先生の作品は教えてくれました。まったく逆の作品のようだけれど、『JOJO』は『たろ~くん』を教科書にして、漫画にとって大切なところを勉強しているのです》

以上、セカンドまでの5選手を紹介。サード以降の残りは引き続き後編で考察していきたい。

後編(名主将、努力の天才、社会人野球の星、神足、ユーティリティー、秘密兵器)へつづく

文・オグマナオト

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