残暑が去ってゆくと同時に、出版社から送られてくる女性誌の表紙がきっぱりと秋の装いに変わる。
柔らかなグレーやベージュ、こっくりとしたブラウン。カシミアやウールなどの質感は目にするとまだちょっと暑苦しくて、しかもこれを撮影していた頃はきっと夏の盛りだったのだろうと思うと、モデルや女優というのはやっぱりプロフェッショナルだと感心してしまう。
どの雑誌も、主張はだいたい似通っている。女性たるもの年齢を重ねるほどに、身にまとうあれこれに自分なりのこだわりを持つのが〈大人のおしゃれ〉というものであるらしい。
言わんとするところはわかるのだけれど、最近は正直、ちょっと面倒くさい。人生で何が苦手といって面倒くさいのがいちばん苦手な質なので、年々おしゃれから遠ざかるのはどうやら致し方ないことのようだ。