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ラストアイドル・阿部菜々実、間島和奏、橋本桃呼、篠原望が明かす活動終了の複雑な心境。「心の底で覚悟してたけど…」「突然言われても!」(前編)

集英社オンライン / 2022年5月25日 13時1分

テレビのオーディション番組から誕生した「ラストアイドル」が、5月末で活動を終える。約5年間にわたり、メンバーの入れ替えバトルをはじめ、アイドルらしからぬハードな企画に挑んできた彼女たちは、5月29日にラストライブを行う。グループのライブに足繁く通った“ラスアイヲタク”のライターが、人気メンバー4人にインタビュー。前編では、活動終了の受け止めや最後のアルバムについて聞いた。

2017年8月、たまたま見ていたテレビ番組に筆者は釘付けになった。秋元康氏プロデュースによるオーディションバトル番組『ラストアイドル』(テレビ朝日)だ。メンバーの座をかけて、暫定メンバーと挑戦者がパフォーマンスバトルを繰り返した末、年末に7人のメンバーが決まり、究極のアイドルグループ「ラストアイドル」がデビューした。



その後もさまざまなバトルを続ける彼女たちの健気な姿を放っておけず、気づけばライブイベントに足繁く通い、100枚以上のCDを買って握手会の列に並ぶようなファン、いわゆるヲタクになっていた。

紆余曲折を経て、現在は全31名のメンバーで構成されるラストアイドル。11枚のシングルをリリースし、約5年間の活動を経て、5月末に活動を終了する。

今までの活動の思い出、さらには5月29日に開催されるラストコンサートへの思いを、阿部菜々実、間島和奏、橋本桃呼、篠原望、グループで中核を担う4人のメンバーに語ってもらった。

阿部菜々実

間島和奏

橋本桃呼

篠原望

◆ ◆ ◆

ラストアイドルは「戦い続けるアイドル」

――イベントやライブの準備で忙しい中、ありがとうございます。まずは皆さんの思う、ラストアイドルのアイデンティティーや他のアイドルにない特徴を教えていただけますか?

阿部菜々実(以下、阿部) 一言でまとめるのはめちゃくちゃ難しいんですけど、「挑戦し続けるアイドル」って思います。企画だったり選抜オーディションだったり、こんな決め方する?みたいな、常に予想外のことが起こり続けているというか。アイドルらしからぬことで悩むことも多かったですね。

間島和奏(以下、間島) 私は「飽きないアイドル」だなって思います。アイドルを知らない方からすると、アイドルって清楚、かわいいなどのイメージがあると思うんですけど、ラストアイドルはバトルや“歩く芸術”とも言われる団体行動、高難度のダンスなど、曲のたびにいろんなことをやってきました。

普通は、初披露で曲やダンスを見るものだけど、ラストアイドルは先に企画が発表されて、その企画をメンバーが乗り越えるところをファンや視聴者の方々が見てから曲になって売り出されるので、どの曲にもそれぞれの重み、ストーリーがあると思います。

橋本桃呼(以下、橋本) 「常に斜め上を行くグループ」だとずっと思っていました。インドのボリウッドダンスや刀を使った殺陣(たて)、すごく難しいダンスとか。企画発表があるたびに「そこいく?」って。まっすぐ上ではなく、ちょっとなんか曲がって斜め上をいく、他のアイドルたちがしていないことを全力でやっているというイメージがあります。

篠原望(以下、篠原) 「戦い続けるアイドル」です。表題曲のバトルや挑戦だけでなく、売り上げや配信のバトルもたくさんあって、常に何かと戦い続けて進んできたなと思います。振り返ってみると、バトルしているのは私たちメンバー自身なんですけど、ファンの皆さんと一緒に戦っていたんですよね。皆さんに応援してもらいながら、自分を成長させることができたのかなって思います。

活動終了は「心の底で覚悟はしていた」

――戦い、一生懸命頑張っているメンバーの姿を見ることで、ファンは応援をしたいと思うんですよね。自分も気づけばどっぷりハマっていました(笑)。ラストアイドルが5月31日に活動終了となるのは、とてもショックで寂しいです。活動終了の告知を受けたときはどんな心境でしたか?

橋本 11枚目シングル『Break a leg!』の選抜メンバーを決めるバトル「ラスアイサバイブ」のとき、キャッチコピーで何度も「最後かもしれない」と言われていたので、メンバーそれぞれも勘づいていた部分はあると思います。売り上げが伸びないとちょっとやっていけないのかなと。だから最初に聞いたときに私は「やっぱりそうなの……」って気持ちはありました。

阿部 最後かもしれないとは、私も思っていました。だから、「ラスアイサバイブ」は最後のつもりで全力を出し切っていました。心の底で覚悟はしてたし、実際に発表されて受け入れてはいるけれど、全く実感がないんですよね。ラストアイドルで過ごしていることが当たり前で、それが急になくなるのは不安でもあるし、今後どうなるのか、今は想像がつかないです。

間島 コロナ禍になってからアイドルとしての活動が難しくなっていて、トーク会などをしても会いにきてくださるファンの方が減っているのは感じていました。大丈夫なのかなぁ……ってだいぶ長い間思っていて。でも、危ないのかもと思っていた期間が自分の中で長過ぎて、実際に言われた今はかえってあまり実感がないんです。6月になって、ラストアイドルとしての仕事をしなくなってから、なくなっちゃったんだなってわかるんだろうなって思います。

篠原 私は……、活動終了という選択肢はないのかなって思っていました。正直、グループよりも自分のほうが先に卒業すると思っていましたし。秋元先生の立ち上げたグループだし、いろいろな方々が関わってくださっているし、そんな大きなグループが突然なくなるってことはないのかなって。

普通は、アイドルが卒業したりグループが解散するときって、早くても半年、あるいは1年くらいかけてお別れの時間をつくっていくんですよね。今回は発表から活動終了までの時間が短くて、ファンにもメンバーにとってもそんなに突然言われても!って思った部分はあります。

一曲一曲に宿る思い出

――活動終了に合わせて、最初にして最後のアルバム『ラストアルバム』の発売と、ラストコンサートの開催も告知されました。そして4月27日に発売された『ラストアルバム』に収録されている曲で、それぞれに思い入れのある、あるいは、印象深い曲を教えてください。

間島 私は『好きで好きでしょうがない』です。自分がセンターを務めさせていただいたから、というのももちろんあるんですけど、純粋に曲が素敵だなと思います。「好きだ」って言葉が80回も出てくるんですよ。

ラストアイドルを知らない人が、例えばラジオなどで曲が流れているのを聞いたらすごく耳に残ると思います。ライブをしていても、『バンドワゴン』や『愛しか武器がない』とともに、この『好き好き』はイントロで場の空気が変わる、変えられる力を持っている曲です。

阿部 思い入れがあるのは、1期生の5つのユニットによるプロデューサーバトルで表題曲を勝ち取った『Everything will be all right』なのですが、ラストアイドル全体として印象深いのは、最高難度のダンスに全員で挑戦した『青春トレイン』。MV(ミュージックビデオ)はこれからも何度も見直すだろうし、ダンスプラクティス動画は今見てもすごいことをしているなって思います。

振付師のakane先生に出会えた曲でもあります。いつも厳しいけど絶対的に愛がある先生。こんなに愛を持って接してくれる大人の方がいるんだって思えました。ラストアイドルは先生がいたから乗り越えられたこと、成長できたことが大きいと思います。

篠原 すごく悩むんですけど……、『大人サバイバー』ですかね。初めて表題曲のメンバーになれた曲ですし、自分だけの衣装があって、全員にそれぞれ自分の立ち位置があって。本当にラストアイドルの一員になれたんだって実感したのがこの曲でした。ミュージックステーションにも出演できて、家族や友達もすごく喜んでくれた印象が強いです。

『大人サバイバー』では全員で団体行動に挑戦しましたが、テレビで見ていた1期生の方々と一緒に過ごすのが、緊張していたけれどすごく嬉しかったです。

橋本 『Break a leg!』です。メンバー同士が1対1でパフォーマンスのバトルをして17人の選抜メンバーを決める企画「ラスアイサバイブ」で、初めて選抜に入れました。32人の総当たり戦で全496試合。辛い思いもたくさんしてきたんですけど、メンバー間ですごく支え合ったときでもあって。メンバーの良さや温かみを改めて知ることができました。

個人的には『青春トレイン』の頃から日の目をあまり浴びてなくて、自分はラストアイドルにいる価値があるのか、ファンに求められていないんじゃないかとかいろいろな思いがあったんです。でも、「ラスアイサバイブ」でたくさんのファンの方が投票してくれて、選んでいただけたのは自信になりました。この曲の中に「人それぞれ違うゴール」って歌詞があるんですけど、活動終了が決まった今、改めてグッとくるものがあります。

◆ ◆ ◆

どの曲にもそれぞれのストーリーがあり、重みがある。グループの始まりの曲でもある『バンドワゴン』は今聞いても胸が震える思いがする。

発売中のアルバム『ラストアルバム』は、11の表題曲を含め、アルバムのリード曲『僕たちは空を見る』など全16曲が収録されている。グループの歴史がわかる番組ダイジェスト映像付きのタイプ、全てのMVを収録したタイプなどもある。グループの歩みに思いを馳せながら、名曲の数々を聞いてみてほしい。

インタビュー後編を読む>>

阿部菜々実 あべ ななみ
2002年、山形県生まれ。ラストアイドル1期生。ニックネームは「ななみん」。ラストアイドルの大半の表題曲でセンターを務める、絶対的エース。

間島和奏 まじま わかな
2000年、北海道生まれ。1期生。「わかなちゃん」「まじまじ」の愛称で親しまれ、表現力豊かなパフォーマンスに定評がある。グループの精神的支柱。

橋本桃呼 はしもと ももこ
2003年、山口県生まれ。2期生。「ももこ」「ももちゃん」とのニックネームで、明るく元気なパフォーマンスでチームを牽引する、2期生のセンター。

篠原望 しのはら のぞみ
1996年、千葉県生まれ。2期生アンダー。愛称は「のんちゃん」。柔らかな笑顔と優しい声に誰もが癒される、グループのお姉さん的存在。

取材・文/西野淑子
撮影/田中 亘

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