──『野火』(2014)、『斬、』(2018)に続き、監督は新作『ほかげ』(2023)でも戦争の痛みを描いていますが、本作について「どうしても作らずにはいれなかった祈りの映画」だとコメントされていますね?
塚本晋也(以下、塚本) 『ほかげ』の準備をしているときに、ロシアとウクライナの戦争が始まりました。この戦争は、これまでの歴史を踏まえてもまったく違うものだと感じたんです。今の時代にこんなに突然、襲いかかるように勃発する戦争はあるのかと、正直、絶句しました。
僕がとても心配しているのは、次世代の人たちが戦争という恐ろしいものに巻き込まれてしまうのではないかということです。その危険がだいぶ高まっているように感じてしまいました。そうならないように、という祈りを込めて、この映画を作っています。