〈麻布台ヒルズの最先端予防医療〉パーソナルジムが医師と連携して病気を未然に予防。日本の“健康概念”を覆す革命的システム
集英社オンライン / 2023年11月25日 8時1分
11月24日にオープンした“未来都市”麻布台ヒルズ。ここでウェルネスに関連した“フィットネス”のパートを担う施設として白羽の矢が立ったのがパーソナルジム「Deportare Club」だ。人間ドックの結果をもとにトレーニングメニューを作成し、その結果、情報を再び医師と共有するという驚きの最先端予防医療の詳細をお届けする。(前後編の後編)
筋肉を鍛えたりダイエット目的だけの“フィットネス”はもう終わり
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麻布台ヒルズ
“Green & Wellness”をテーマに据える「麻布台ヒルズ」。そのウェルネスに関連した“フィットネス”のパートを担う施設として白羽の矢が立ったのが「森JPタワー」4階に入る「Deportare Club」だ。
こちらは2011年に西麻布でスタートしたパーソナルジムのスペシャリスト集団。「存在するなら進化しろ」をミッションに掲げ、300人の少数会員制を取り、サッカーの吉田麻也、野球の清宮幸太郎などのトップアスリートや芸能人、財界人が数多く在籍している。
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最先端のパーソナルジム「Deportare Club」
「かつてフィットネスクラブの目的は身体を鍛えたり、ダイエットを目的としていました。ですがそんな時代はもう終わりです。僕らも今はフィットネスクラブとは名乗ってはいません」
そう話すのは「Deportare Club」の竹下雄真代表である。
「単に痩せさせるだけならば、ストイックに食事制限してトレーニングをすればそりゃあ痩せるでしょう。ただ、アスリートでもないのに、楽しい会食の席で『僕は食事制限をしているので、ササミ200gとブロッコリーで』などと制限だらけの人生は果たして豊かだといえるでしょうか。
“よりよく生きる”ためにはメンタルとフィジカルを社会的にも良好な状態に作りあげること。それはWHOがうたっている健康の定義でもあるんです。トレーニングも、食事も楽しみ、さらにこういったパーソナルジムなどのコミュニティから社会的な人と人とのつながりが生まれ、仕事が発生したり、大事な友人ができる。そういうことを含めたすべてが“よく生きる”ということであり、それを高いレベルで維持管理していくことが僕らの仕事なんだと思っています」
以前からフィットネスの域を超え、その先の“ウェルネス以上メディカル未満”を掲げてきた「Deportare Club」は、今から5年前の2018年に金沢にある国内初のメディカルフィットネス「SQOL金沢」と業務提携を行い、医療とフィットネスの連携を日本でいち早く実践してきた実績がある。
パーソナルトレーニングと医療の連携
麻布台ヒルズのコンセプトはまさに「Deportare Club」の理念と合致した。森ビルの担当者から麻布台ヒルズにおける“医療連携”の一翼を担ってほしいというオファーが来たことも、必然であったのかもしれない。
「パーソナルトレーニングの先にあるものは、医療との連携なのだと常々考えてきました。それはトレーニングの面だけでなく、やがては『オーソモレキュラー療法』のように、遺伝子検査から本人に合わせた最適な量の栄養素を提供して病気の予防を医学していくような、個人に併せたオーダーがされていくのかもしれません。
しかし日本では昔から医療の分野においては見えない壁が存在し、トレーナーなどは下に見られて話もまともにしてもらえなかったというエピソードも聞きます。一部の志ある人を除いては『運動』や『栄養』という健康を司る重要な分野でさえ、他分野と連携するには難しいことのほうが多かった。
今回の麻布台ヒルズにおける、ウェルネスや人と人との繋がり。そして医療提携は、この国の健康に対する考え方を根本から見直す契機になるかもしれません」(竹下代表)
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「Deportare Club」
麻布台ヒルズでの「Deportare Club」は同フロアに入る「麻布台クリニック」と提携することが決まっている。具体的にはクリニックでの人間ドックや健康診断で出たデータを元に、トレーナーがその人個人に向けたオリジナルのトレーニングメニューをオーダー。それをどれだけ行えたのかを観察しながら、また情報と共に医者に戻す。クリニックでは再び検査で身体の状態をチェックして、身体の調子を整えていく。
「たとえばBMIが多いとか、肝臓のガンマ値やら血中コレステロール値が高いとか、よくない数値が出る。皆さんも経験があると思いますが、従来であればこの結果だけでお医者さんが言えることは『食事に気をつけて運動をしてください』だけなんです。でも医者とジムが連携すれば、それ以上の具体策がとれる。
トレーニングして身体の体組成が変わると、すぐに数値はよくなり、病気のリスクを減らすことができます。逆に日常的に身体の状態を見ているトレーナーが、『何かがおかしい』ということに気がつけば、すぐにお医者さんに任せることもできる。
すでに発症したガンを治すなんてことはできないかもしれないけど、これまで見えない壁によって阻まれていた“医者”と“パーソナルトレーナー”が連携して情報を共有していけば、ほとんどの人の現在の健康状態を向上させ、維持継続していくことは絶対にできると思っています」
海外では「胃が痛い人にスクワット」も
日本における未病の分野は、世界的に見ればかなり立ち遅れているという。保険制度のない海外の国では病気になって医者にかかれば数百万円があっという間に飛んでいくため、病気にならないための未病の考え方が進んでいるが、保険制度のある日本では、手術や薬の処方が中心になってきたためだ。
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「Deportare Club」
「海外のスポーツクリニックには胃が痛い人も来るんです。医者は胃薬も出すけど、スクワットをさせることもあります。そうすると腹圧が掛かり蠕動運動が促進されて胃が動き出すんです。こういうことは、日本のお医者さまはほとんどしない。
なぜなら病気を治す専門家であって、健康を維持するための勉強はほぼ習わないからしょうがないんです。薬の処方ももちろん必要です。ただ、医者がほかの分野と連携すれば、もっとほかのいろいろな方策を選択できるようにもなります。
トレーナー側としても、お医者さまから共有されたデータをどう活かすかがプロとしての腕の見せどころ。真理として、病気を未然に防ぐための大原則である「運動する」、「よい睡眠」、「栄養をバランスよく摂る」という3つは、人類が人類であり続ける限り絶対的に変わらないもの。問題は人間ひとりひとりのパーソナリティが違うことです。
公務員の方と漫画家の方ではライフスタイルも違えば、生活のサイクルも考え方も違ってくる。その中で、どうやって個人にあったアプローチをして運動を習慣化させていくか。ここがパーソナルトレーナーのセンスでありクリエイティブが問われる部分です。やっぱり基本は人間対人間。メンタルの部分も含めて、トレーナーと受信者が信頼関係を結べる人と人との関係こそ、もっとも大事な部分であるのだと思います」
「Deportare Club」は麻布台ヒルズの新店舗に、エースクラスのトレーナーを配置。西麻布にあったジムの2.5倍となる約400㎡のトレーニングエリアには、最新のトレーニングマシンに、ヨガスペースなど広々とした空間を確保した。
これまで紹介がなければ入会できなかった300名だけの少数会員制のクラブは、数万人の人々が集う麻布台ヒルズへの移転を機に、会員数の枠を広げるほか、「今できる未病対策の領域でこれ以上のものはないのではないか」とまで竹下代表が言い切る、医療と連携した特別なウェルネスプログラムを受けられるコースの新設など、新たな体制でリスタートする。
「場所も環境も人材も、医療連携に必要な要素が日本で一番集まっているのがこの麻布台ヒルズです。ここでの第一歩が、本当の意味での我が国における“医療連携”になろうとしています。可能性はとてつもなく大きいです」
人と人がつながり、心身ともに健康で豊かに暮らせる街。麻布台ヒルズというひとつの街がもたらす革命は、これからの日本の都市の在り方を変えていく可能性を秘めている。
文/集英社オンライン編集部
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