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“謎の外国人アカウント”で荒れるリプ欄。イーロン・マスク買収後、変わり果てたTwitterは「終焉」へと向かってしまうのか?

集英社オンライン / 2023年11月24日 16時1分

イーロン・マスクによる買収後、この1年でさまざまな変化が起こったX(旧Twitter)。中には、従来の使い勝手を損なうアップデートも数多く見受けられる。特に「広告収益分配プログラム」によって、バズった投稿のリプライ欄は“謎のコメント”で埋めつくされており、その対策に苦心している人も多いはずだ。長きにわたってSNSの王座に君臨していたTwitterは、このままユーザー離れが加速してしまうのか。

イーロン・マスク買収後のTwitter

イーロン・マスク氏がTwitter(現X)を買収してから、1年が過ぎた。

買収後のTwitterは、たった1年でさまざまな変化が起きた。幹部も含めた従業員の半数の解雇から始まり、APIの有料化(高額化)による多数のbotや外部サービスの排除、従来の認証バッジの廃止と有料の認証バッジの導入、コミュニティノートの導入、ブランド名の「X」への変更、クリエイター広告収益分配プログラムの開始、少額での有料化テスト、サークル機能の廃止、ニュース記事の見出し表示の廃止、有料プランを3段階に変更など、ざっと列挙してもその変革はおびただしいこと、このうえない。



マスク氏は買収時から変わらずbot対策に熱心な様子を見せており、Xの成長を叫んでいるが、ユーザーの利便性は買収前よりもかなり落ちてしまっている印象だ。

Twitter(現X)を買収したイーロン・マスク氏(写真/shutterstock.com)

「広告収益分配プログラム」で機能しなくなったリプ欄

一番大きな問題、というよりもユーザーがよく目にするのは、バズっているツイートのリプ欄にあふれかえる“謎のコメント”だろう。

バズらなくてもフォロワー数が多い場合など、一定数のインプレッション(表示回数)が見込めるポストほぼすべてに、この謎のコメントが溢れかえっている。

謎のリプライで埋めつくされるリプライ欄

これは、「広告収益分配プログラム」が導入されたことが原因だ。

広告収益分配プログラムは、一定数以上のインプレッションがないと申し込むことができず、申し込み後はインプレッション数などに応じて収益が振り込まれる仕組みとなっている。

そのため、バズっているツイートに返信(リプライ)するとインプレッション数を稼げることに気づいた広告収益分配目当てのユーザーが、(おそらくは)botを使って手動、自動問わずたくさんの返信をつけるようになったのだ。

これが謎のコメントであふれかえるリプ欄の正体である。

また、何回コメントしても有料プランの表示のブースト効果によってほかのユーザーよりも上位に表示されるため、意味のないコメントをいくつもリプライするユーザーまで現れている。

さらにはこれ以外にも、リプライからフィッシングサイトや広告収益目的のサイトに誘導するために、他人のコメントをコピペして誘導リンクをリプライしてくるbotまで登場するなど、まさに混沌とした状況に陥っている。

ブロックはあまり現実的でない

このような迷惑行為に対して、ユーザー側は迷惑アカウントのブロックや報告で対策できる……と言いたいところだが、実際にはいたちごっこになっていて、あまり効果がないのが実情だ。

たしかにブロックしたアカウントは表示されなくなるし、謎のコメントをつけられているアカウントのユーザーが迷惑アカウントをブロックすればリプライをつけることもできなくなる。

しかし、その効果があるのはブロックしたアカウントだけであり、その裏では新しい迷惑アカウントが次々と誕生している。

つまり、ユーザーはそのような迷惑アカウントを延々とブロックする作業を強いられてしまうわけだ。このような対応をし続けることは、あまり現実的とはいえない。

実際に約770万人のフォロワーを抱えるお笑いタレントの有吉弘行氏は「コメント欄は謎の外国人で荒れています。ブロックはあきらめました。混沌状態をお楽しみください」とポストし、ブロックでの対応を諦めてしまっている。

お笑いタレント・有吉弘行氏の投稿

次世代SNSがXの代わりになれない理由

こうなると「もっと快適で、使いやすいSNSを探そう」という声がユーザーから挙がり始める。

実際に、Z世代は2020年にフランスでリリースされたアプリ「BeReal(ビーリアル)」や、2023年にMetaが始めた「Threads(スレッズ)」を使い始めているが、それがXの代わりになるかと言えば、正直難しいところだ。

まずBeRealは、写真を撮って共有するSNSであるため、テキストが主体のXとはサービスとしての体験がまったく異なる。

では、仕組みがXにそっくりなThreadsはどうかといえば、リリース当初に比べるとたしかに機能は増えてきたものの、つい先日ハッシュタグ機能のテストが開始されたばかり、とまだまだ機能面では追いついていない。

また、こちらも直近での実装だが、ようやくInstagramとThreadsのアカウントを別々に消去できたり、Threadsへの投稿をFacebookやInstagramに表示させないオプションを選べるようになったりと、FacebookとInstagramの文化圏から抜け出せていない問題もある。

つまりThreadsのほうもXと体験できる空気感が異なるため、その代わりにはなりえないのだ。

「Threads」のトップ画面

減少し続けるアクティブユーザー数

ただ、このようにメディアが移行にまつわるトピックを取り上げても、そもそも「Xが使い続けられる限り移行しない」という人が大半だろう。

マスク氏やリンダ・ヤッカリーノ氏(Xの現CEO)は、アクティブなヘビーユーザーの滞在時間が増えているだの、2024年初頭には黒字化する見通しだの、買収後の混乱から立ち直りつつあると発表しているが、市場調査ではXのアクティブユーザーは減少が続いている。

特にひどいのは名称を「Twitter」から「X」に変更したときで、モバイルマーケティングの調査会社Apptopiaによると、ブランド名変更後はアプリのダウンロードユーザー数が3割も減少してしまっているとのことだ。

「Twitter」を「X」に変更せず、いや、そもそもマスク氏が買収しないままであればTwitter社は黒字のままだったのに、買収されてしまったがためにXの混乱は続いている。

マスク氏は「Xをスーパーアプリにする」ことを謳っているが、それまでユーザーはXに付き合い続けてくれるのだろうか。


文/篠原修司

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