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「自宅で倒れて一番困るのは浴槽の中」…夫婦で暮らしていても起こりうる「孤独死リスク」を防ぐ方法とは?

集英社オンライン / 2023年12月5日 11時1分

2025年には6世帯に1世帯がひとり世帯になり、未婚も既婚も子なしも子ありもいつかは「おひとりさま」になる時代がやってくる…そんな時代においては老後や死に対する多くの訴訟やトラブルがつきまとうため、今からひとり暮らしの孤独死リスクへの対処法を学んでおこう。『あなたが独りで倒れて困ること30(ポプラ社)』より、一部抜粋・再構成してお届けする。

見つかったときはすでに腐敗が進行…分譲マンションでの孤独死は悲惨

人は家の中か、家の外か、どちらかで亡くなります。家の中で亡くなる=事故物件になってしまうと不動産の資産価値が下がるので、国交省は2021年に事故物件のガイドラインを発表しました。

大きくは自殺や事件の場合には事故物件となりますが、病死の場合は事故物件にはなりません。ただし発見が遅く、特殊清掃が必要になれば事故物件となります。



事故物件と言えば、どうしても賃貸物件をイメージしやすいのですが、持ち家でも同じことです。特に密閉度の高いマンションの場合、室内で倒れていても気付いてもらいにくいものです。

賃貸物件なら、家賃が支払われないからおかしいと家主などが気付き、さらに連絡がつかないと安否確認で家主側が室内に立ち入ることもあります。

一方で分譲マンションの場合、管理費や修繕積立金は銀行からの自動引き落としなので、そこから気付かれることはほとんどありません。

まして条件のいい物件ならある程度の広さもあります。玄関から遠く離れた部屋で倒れた場合、気が付くのは悪臭等がしてからになるでしょうから、その時には相当腐敗が始まっています。

そうなるとその部屋だけでなく、マンションそのものの資産価値も下がってしまう可能性があります。当事者の家族(相続人)だけでなく、赤の他人のマンションの所有者の方々にまで、迷惑をかけてしまうことにもなりかねません。

室内で倒れて一番困るのは、浴槽の中で亡くなることです。保温機能が作動中のお湯の中で亡くなった場合、人の体は腐敗が早く進み、お汁状になってしまうこともあるのです。そうなると臭いは大変なもので、ユニットバスごと交換したとしても消えないという話も聞いたことがあります。

換気口を通して別の部屋でまで臭ってしまったら......。考えただけでゾッとしませんか?

夫婦で住んでいてもゼロではない「孤独死リスク」

夫婦で住んでいるから大丈夫! というのも大きな誤解です。夫婦であっても、どちらか片方が亡くなったり認知症になったりすれば、残された方は「おひとりさま」です。

そのおひとりさまが倒れた場合、誰が気が付いてくれますか? 毎日欠かさず、誰かと連絡を取り合いますか? 連絡がつかなければ、すっ飛んできてくれますか?

もしくは見守りサービス、利用していますか? その見守りサービスのアラート、誰が受けてくれますか? 365日対応してくれますか?

そもそも毎日心配して連絡を取り合える家族がいるなら、見守りサービスを利用する必要はありません。見守りサービスの難しさは、そのアラートを受けてくれる人がいないことなのです。

セキュリティ会社が、部屋の鍵を預かってくれるサービスがあります。何かあれば駆け付けて、鍵で入室までしてくれます。でも彼らができることは、倒れているあなたを見つけて救急車を呼んでくれるまで。入院等の手続きはしてくれません。

それは仲の良い友人や近所の知人に、鍵を預けていたとしても同じことです。もともとは先方も、好意で鍵を預かってくれたかもしれません。でもその鍵が必要になる時は、こちら側が弱っている時。

たとえば認知症の兆候が見られるようになると、大切な物やお金を自分で泥棒に見つからないように隠してしまい、それを忘れて「泥棒が入った」と大騒ぎになることが多々あります。

そのような中で、鍵まで持っている友人がいたとしたら、好意で預かっていたにもかかわらず、泥棒呼ばわりされかねません。そこで一気に、今までの良好な関係性は崩れてしまいます。こんな悲しいこと、ないと思いませんか?

しかも万が一の第一発見者って、事件性を疑われて延々と警察から事情聴取を受ける羽目になってしまいます。だから安易に鍵を預けるだなんて、絶対にしちゃいけないことなんです。

もっと高齢になれば、介護サービス等を受けて、週に何回か誰か立ち入ってくれるかもしれません。むしろそうなった方が安心で、先にお話ししたような孤独死が多いのは、圧倒的に単身の現役世代なんです。

自分はまだまだ高齢者でもないから大丈夫、そんな風に安易に考えていたら、物件の価値を下げてしまうことにもなりかねません。

一度自分が室内で倒れた時のこと、想定してみてください。

誰が気付いてくれますか? どのようなルートで誰に連絡が行きますか? 自分に必要なのは、どのような見守りですか?

そういった対策を高齢になってから考えるのは、なかなか難しいもの。自分の不動産の価値を下げないためにも、同じ建物の方々に迷惑をかけないためにも、最悪のことをどうすれば避けられるのか、クリアな頭の現役世代のうちに考えておいてくださいね。

文/太田垣 章子 写真/shutterstock

『あなたが独りで倒れて困ること30』(ポプラ社)

太田垣 章子 (著)

2023年11月8日発売

1,760円(税込)

279ページ

ISBN:

978-4591179697

「自分は大丈夫!」の落とし穴
最後はみんな「おひとりさま」

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「おひとりさまリスク」は老後の前にやってくる!
あなたはどうする?

著者の太田垣章子さんは司法書士の立場から、「人生100年時代における家族に頼らないおひとりさまの終活」を支援している。

そんな著者の現場での多くの経験から選び抜かれた30のリスクとその対策を一冊にまとめました。

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