企業は、来るべき危機に備えて、大企業であれば最低でも月商1カ月分、中小企業であれば月商1.7カ月分の資金をつねに手元に置いておくべきだとお話ししました。危機時だけでなく、資金に余裕がないと、経営者の意識が「お客さま第一」ではなく「資金繰り第一」になりがちなものです。
私が思うに、こうしたお金のリテラシーは、経営者はもとより、ビジネスパーソン全般に必要不可欠ですが、実際に備えている人は少ないかもしれません。
同様に、コストカットの重要性も、誰もが分かっているものの、適切に実行に移されるケースは多くありません。
しかし、それではダメなのです。そうした企業は、結局のところ、たとえ少額でもお金を大切にするというリテラシーが欠けていると指摘せざるを得ません。
近年の日本で、コストカットの成功例としてもっとも有名な事例の一つがJALの再建でしょう。
2010年、戦後最大の負債額を抱えて経営破綻したJALですが、稲盛和夫さんが会長に着任して以降、奇跡的に再生しました。