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うまく話せることがコミュニケーション上手とは限らない。伝えたいことをひと言にまとめるための8つのプロセスとは

集英社オンライン / 2023年12月15日 8時1分

「何がいいたいのかわからない」「メールが長文すぎる」といった指摘を受けたことはないだろうか? わかりすく、相手に伝えるためにひと言でまとめるスキルについて『ひと言でまとめる技術 言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ』(アスコム)より一部抜粋。再構成してお届けする。

ひと言でまとめる前に、まずは自分を知り、相手を知る

問題
コミュニケーション能力とはなんでしょう?
●人前でうまく話せること
●分け隔てなく人付き合いができること
●人にやたらと気に入られること


近ごろは、人付き合いが上手だったり人前でうまくしゃべれたりする人のことを「コミュ力お化け」などと呼び、もてはやす傾向にあります。
では、コミュニケーション能力とはいったいなんなのでしょうか?


多弁、雄弁であること?はたまた、相手にうまく気に入られること?それとも、とにかく話し方がうまい人のことでしょうか。私は、どれも違うと思います。

私が考えるコミュニケーション能力とは、「相手とわかり合い、相手を受け入れる力」です。
人間は、お互いにわかり合うのがとても難しい生き物です。他人にがんばって何かを伝えたところで、本当に伝わったかどうかは確かめようがありません。なぜなら、自分はその人本人ではないからです。

だから、わかり合うことを前提としつつ、自らが他者を受け入れること、そういう自分になることが大切なのです。
「コミュニケーション能力= 受け入れる力」なのです。
これから「伝えたいことをひと言でまとめる」ことを学んでいく過程でも、「伝えることは受け入れること」であることを忘れないでいてください。

ひと言でまとめるための「8つのプロセス」を知る

「ひと言でまとめる」ためのプロセスを、8つに分けてお伝えします。
1 勇気(言う気)を持つ
2 自分を知る
3 伝えたい相手を知る
4 目的地を明確化する
5 「コア」を探す
6 ばっさり捨てる
7 相手がどう動いたかを観察する
8 人間関係を発展させる


これらのプロセスを経ることで、誰でも「ひと言でまとめる」ことができるようになります。
便宜上、多くの方法論を提示していますが、情報が多すぎると思考がショートしてしまう危険があります。それを避けるために、とりあえずひととおりざっと見てみて、理解しやすいものから選んで実践してもらえればと思います。
ここでは、プロセス1、4、5について解説します。

勇気( 言う気)を持つ

子供のころ、こんな苦い経験をした記憶はありませんか?
私は小学校から中学校のころまで片思いをしていた女の子に、告白をしてフラれたことがあります。そのときなんと伝えたのかは、まったく覚えていません。片思いの期間が長すぎたため、言いたいことが膨らみすぎて、意を決して電話で告白をした際には支離滅裂なことしか言えなかったことだけは覚えています。

でも、後悔などあろうはずがありません。なぜなら、「言えなかった〝思い〟は残る」のです。その思いは行き場を失い、心のうちをさまよって、消えることはありません。
だから、言葉にしようとした自分を褒めてあげるべきなのです。
あらゆる物事を伝えるためにいちばん大切なのは、「伝える勇気を持つ」ことです。

これを読んでいるあなたは、おそらく人間関係の悩みやコミュニケーション上の問題を解決するために、静かに向上心を燃やしている方だと思います。
「もっとうまく相手に伝えられたら」
「もっと上手に提案ができれば、価値を示せるのに」

多くの人は、心のなかでそう思っていてもなかなか行動できません。

人間の行動に対する学術調査で、「100人中、25人が行動し、5人が継続し、70人は思っても何も行動しない」というデータがあります。とするなら、この本を買ってアクションを起こしたあなたは、すでに25%のなかに入っているということです。

つまり、言う気は、勇気です。
勇気の出し方のコツをひとつお伝えします。
「もうこの人とは二度と話せないかもしれない」と思うことです。
大げさに聞こえるかもしれませんが、学生時代と違って、社会人になると多くの人と「気づいたときには、もう会うことがない」状態に陥ります。

もちろん、デジタルツールの発達で、誰かと連絡を取ることはとてもスムーズになりました。ですが、ある知人はスマホをなくしたことで、数百人レベルの人と「二度と連絡が取れない」状況に陥りました。

アメリカで起きた9・11同時多発テロで息子を亡くした母親の、『最後だとわかっていたなら』という詩は、まさに「伝えるべきことを伝えられるうちに伝えないと、二度と会えない運命が待っていることがある」と教えてくれます。

いま、何かを伝えたい相手がいるなら、勇気を出して伝えましょう。

「コア」を探す

あなたが友人や知人と、好きなアニメについて語り合ったとします。その際、「そのアニメ、どこがいいの?」と聞くと、「えっとね、ある国にイケメンのスパイがいてね、そのスパイがどうしても任務で家族を持たなければならなくなって、まったくの他人から選んだのが暗殺者である奥さんと超能力を持つ娘で……」と、内容をイチから話し出す人がいないでしょうか。

私はこれを、「読書感想文教育の弊害」だと感じています。感想文を書くのが苦手な子は、つい原稿用紙をあらすじで埋めようとします。また、中学受験では感想文や小論文が受験科目にあるため、まずあらすじをまとめ、作者の言いたいことに自分の経験を混ぜて書くといった「型にハマった」書き方を教え込まれます。

ですが、大切なのはあらすじをまとめることではなく、物語のコアを見つけ出すことです。物語のコアとは、その物語のなかでもっとも魅力的な部分です。
あの戦闘シーンがよかった、あの会話が泣けた、あの音楽が最高にしびれた、そんな心を強く動かされた、たったワンシーンでいいのです。

伝え方においても、「相手にいちばん伝えたい魅力的な部分」がコアになります。
あなたの伝えたいことのなかで、それはいったいなんなのか。
「伝えたいことのコア」をひとつに絞って伝えることを意識していきましょう。

ばっさり捨てる

相手に伝わりやすくするためには、余分なものを捨てることが大切です。
でも、捨てることが大事だとわかっていても、人間は「捨てること」が苦手です。

●押し入れに「すぐには使わないけれどいつか使うはずのもの」があふれている。
→「いつか使うはずのもの」を使うことは、ほぼ確実にない。
●洋服ダンスに「いつか着るはずの衣類」がぎっしり。
→もはや、自分がそのサイズは入らなくなったことすら気づかない。
●ハードディスクに「以前、仕事で使用した資料ファイル」が満載。
→99%読み返すことはない。そもそも思い出すことすらない。


「何かを失うことが怖い」というのは、人間の本能です。しかし、捨てることを恐れていると、「ただの話が長い人」になってしまいます。
何分にもわたってプロポーズを述べているドラマを見たことがあるでしょうか?
ないはずです。あれは、時間の制約からそうなっているわけではありません。
「あの、僕は君と一緒に暮らしたいんだけど、いや、そう思っているのは僕のエゴというか、べつに僕だけが幸せになりたいからじゃなくて……あ、というか、この場所でよかったんだっけ? 君のお気に入りの場所。前に好きって言っていたような……あ、そうだよね、違ったんだ、ごめんね。そういえばプロポーズってプロがするどんなポーズなんだろうね、アハハ……」と、延々と冗長なプロポーズを聞かされたら、相手はだんだんと不安になってしまうはずです。

私たちコピーライターの世界でも、「情報過多は、伝えないより悪手である」というのは常識です。あれもこれも詰め込みすぎると、何も伝わらないどころか「余裕もセンスも感じられない広告」ができあがってしまうのです。

「伝える」と「伝わる」の違いとは?

あるとき、同じ業界の大先輩にこんなクイズを出されました。
「伝える」と「伝わる」の違いはなんでしょう?
私は必死に考え、
●伝える→伝えるという「行為」
●伝わる→伝わったという「状態」

このような違いだと答えました。

するとその先輩が、「それは間違いではないけれど、英語にしてみてごらん。よりその違いがわかるよ」と言うので、私は辞書で調べてみて「あっ」と叫びました。
●伝える→TELL
●伝わる→GET

そう、伝わるは「GET」だったんです。


つまり、伝わるということは「何かを得ている状態」と定義することができるのです。
「一方的に伝えるのではなく、相手に伝わって初めて、何かを得たり、生み出したりすることができる。言葉を使う職業を続けていくのなら、このことを忘れちゃダメだよ」という先輩からの教えは、私の大切な言葉の手帳にキープされています。

『ひと言でまとめる技術 言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ』(アスコム)

勝浦 雅彦

2023/11/1

1,650円

単行本(ソフトカバー) : ‎ 304ページ

ISBN:

4776213168

「わかりやすく伝える」はこうやれば、できる!

「結局、なにが言いたいの?」から「あなたの話はわかりやすい」に評価が変わる。
言葉をまとめるプロが明かす、伝え方の究極のスキル!――
あなたは人からこんな指摘を受けたり、伝わらないモヤモヤを抱えていませんか?
◎話している相手から「なにが言いたいのかわからない」と言われてしまった。
◎メールの文章が長すぎて、 肝心な要件が伝わっていなかった。
◎「うちの売りは低価格だと思うんだけど、機能性も伝えたほうがいいかも…」と、ついいろいろ言いたくなってしまう。
じつは、このような悩みは「ひと言でまとめる技術」の手にかかればすべて解決してしまいます。ポイントはたった2つ。「捨てる」それから「まとめる」。このコツさえつかめば、
伝わり方が劇的に変わります!「ひと言でまとめる技術」はビジネスパーソンの悩みだけを解決する技術ではありません。話をしてもパートナーに言葉が届いていないと感じている方。自分は面白いと思ったのに、友人の反応はイマイチ。ちゃんと伝えたつもりなのに
間違った料理を出されてしまった。
こんな悩みも解決する伝え方のコツも満載です。
「伝え方」を追求し続けてきた著者が、すべての「伝え方」で悩む人たちに手にしてほしい技を本書で伝授します

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