第2次世界大戦が終わってある程度の落ち着きを取り戻すと、宇宙・医療・防災・食品加工・アパレル・半導体・自動車・航空機・IT・映像・資源探索・軍事などの基礎的な分野で、人類は過去を一気に引き離すさまざまな革新を成し遂げてきた。
しかしいまだ成し遂げられていないことが、人類には少なくとも、2つ残っている。1つはだれも飢えることのない日常を送ることができる社会の実現であり、もう1つが兵器を無用の長物として各国が捨て場所探しに協力しあえるような平和の実現である。
この2つには互いに大いに関連するところもある。飢える国民は農工間格差、内戦や国家間の戦争や紛争の犠牲者であることが多いからである。ただし一見なにもなさそうな国にある飢餓は、その国自身の責任か自然地理的な事情による場合が多い。
いずれであるかにかかわらず、人類のすべてが飢えの恐怖から解放されることが史上一度もないままに、国家間対立・気候危機・人口増加・世界的に広がる農業担い手の減少と、ますます食料事情が悪化する時代にあるのが現実である。
21世紀末までの長期間に世界の穀物生産と穀物需要そして世界に生まれる飢餓人口をシミュレーションし、その背景を紐解いてみることにしよう。