かつては老若男女に幅広く親しまれた、日本の伝統的な折り畳みナイフ「肥後守(ひごのかみ)」。
時代の趨勢(すうせい)とともに、「肥後守」は徐々に生産縮小を余儀なくされてきたのだが、2012年にフランスのナイフ専門誌『PANORAMA』で10ページにもわたる特集が組まれたことを機に、まずは彼の地で人気が沸騰する。
フランスにも「OPINEL」という130年以上の歴史を誇るレトロでベーシックな折り畳みナイフがあり、世界中のアウトドア好きの間で定番アイテムとなっているが、そうした伝統的な道具に対するフランス人の愛着が、きっと「肥後守」に対しても向けられたのだろう。
そしてそのブームを逆輸入する形で日本国内でも再び注目されるようになり、一時は生産が追いつかないほど、国内外からの注文が殺到するようになったという。
その人気はいまだ冷める気配なく、ますます盛り上がるアウトドアブームと連動しながら、愛用者を増殖させ続けているのだ。