「こんな形のインタビューは初めてです」
パソコンの画面に映る30人ほどの記者の顔を見て、にこやかに話し始めたカタリン・カリコ氏。新型コロナウィルスとの戦いの中で、前代未聞のスピードで大量生産を可能にしたメッセンジャーRNA (mRNA)ワクチンの基礎技術を確立した立役者だ。
彼女の40年にもわたるmRNA 研究は、度重なる困難に直面しても諦めなかった不屈の意志の結実とも言える。コロナウィルス・パンデミックから世界を救ったこの研究により、カリコ氏と共同研究者のドリュー・ワイスマン氏はノーベル生理学・医学賞を受賞した。
インタビューが行われたのは、mRNAワクチンの一般接種がスタートした直後の2021年3月。研究の背景を直接聞くことができた。