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庶民派+高級感の「コンビニBAR」でファミチキ専用ハイボールで乾杯…ローソン、ファミリーマートが参入するなか、セブンーイレブンだけはBAR参入しない理由

集英社オンライン / 2023年12月8日 16時1分

最近、都心のコンビニを中心に、店内にBARができていることをご存じだろうか? 気軽に立ち寄れるコンビニとちょっと敷居が高いと感じるBAR。記者が実際にコンビニBARを体験したところ、驚きの空間が広がっていた…。いまコンビニはなにを目指しているのだろうか。

話題の「コンビニBAR」は全国に13店舗

「コンビニBAR」……と言われても、その存在を知らなかったという人や、聞いたことはあっても行ったことはないという人が多いだろう。

ローソンやファミリーマートと協業し、コンビニの店内やすぐ隣に常設されているコンビニBAR「お酒の美術館」。公式サイトによると全国で13店舗あり、東京では現在3店舗で展開しているとのこと。


外観。2つの店名の看板が並ぶ

だけど、コンビニの店内にBARがあると言われても、業態がまったく違うためなかなかイメージしづらい。

そこで、百聞は一見に如かずということで、筆者が実際に「ファミリーマート 渋谷明治通り店」(東京都渋谷区)の店内にある「お酒の美術館」に足を運び、コンビニBARを体験してみた。

コンビニ内のBARという違和感を払拭するこだわりのお酒の種類

筆者がコンビニBARを訪れたのは11月下旬の月曜日、午後7時ごろ。

ファミリーマートの入り口から入ってすぐ右側に、本格的なバーカウンターが常設されている。

ファミマ店内にある「お酒の美術館」入り口

外観のぱっと見は普通のコンビニだったため、店内に足を踏み入れてバーカウンターを二度見する利用客も多いのではないだろうか。それほど違和感がある光景だ。

何やらおしゃれな洋楽が聞こえてくるなか、「お酒の美術館」と書かれた入り口をくぐると、バーテンダーが「いらっしゃいませ」と声をかけてくれた。

いい意味でコンビニ店内に似つかわしくない大理石調の高級感のあるカウンターテーブルがあり、バーテンダーの後ろにはウイスキーやブランデーなど、多種多様なお酒のボトルが並ぶ。立派なBAR空間が広がっているのだ。

バーカウンターの後ろが普通のコンビニ店内という違和感

筆者が到着したときには、すでにBAR内は満席に近い状態で、8席あるうちの1席しか空いていないほどの盛況ぶり。ひとり客もいればグループ客もおり、バーテンダーとの会話を楽しむ人も。BAR特有の敷居の高さは感じられず、おひとり様も気軽に立ち寄れる雰囲気だ。

BARではお馴染みのL字型カウンターで8席ある

また、BARといえば薄暗いムーディーな照明のイメージがあるだろうが、こちらの場合はBARスペースもファミマの蛍光灯の明るい照明になっているため、一般的なBARで飲んでいる雰囲気とは違い、かなり新鮮な感覚。

もちろんコンビニ利用客から丸見えの状態で飲むことになるため、そういった環境を「新鮮でおもしろい」とポジティブにとらえるか、「人目が気になって恥ずかしい」とネガティブにとらえるかは、人それぞれだろう。

ウイスキーやブランデーの種類が豊富

つまみ、ほしいな…ここコンビニですよ!

最初に渡されたメニューに目を通すと、スコッチウイスキーやブランデーは500円から、カクテル類は700円からとリーズナブル。そしていま世界的にも人気が急上昇しているジャパニーズウイスキーも1杯800円~1000円で楽しめる価格設定となっていた。

「お酒の美術館」ではオールドボトルを安く仕入れる独自ルートを確立しているそうで、このようにリーズナブルな価格を実現できるようだ。

ちなみに、こちらの店舗では、コンビニで買ったおつまみ類をバーナーで炙ったり、燻製にしてもらえたりするサービスもある。

コンビニで買ったおつまみをバーナーで炙ってくれる

筆者は事前に購入して持ち込んでいた「ファミチキ」をつまみに、ファミチキ専用に作られたというハイボールを頼んでみた。

揚げものと合うように、さっぱりとした味わいに仕上げられていて、ウイスキー特有の癖がなく、非常に飲みやすい。隣に座っていた常連客によると、このファミチキ専用ハイボールは店舗ごとにブレンドが違うそうだ。たしかに「お酒の美術館」のサイトには、店舗の土地をイメージして、ソムリエが一からブレンドを監修していると記載されている。

「ファミチキ専用」という文字がユニーク

次に、店長に「明治通り店」の特徴を聞いたところ、「国内外でも珍しいオールドボトルを取り揃えているところ」とのこと。その言葉どおり、お酒の棚には珍しいボトルがずらりと並んでおり、入手困難となっている「ニッカ宮城峡」や「ニッカ余市」なども揃えている。これらは外国人客からの需要も高いんだとか。

最後に注文したハウスワイン

コンビニBARは、コンビニの中にあるという気軽さはありつつも、こだわり抜かれた酒や空間が本格的で、まったく新しいBAR体験を提供していた。

イートインスペース&24時間営業の特徴はBARと親和性がよかった

ではコンビニがBARという新しい業態に取り組み始めたのは、どういった背景があるのだろうか? ファストフードや外食産業に詳しいフードアナリストの重盛高雄氏に解説してもらった。

「コンビニがBARを取り入れた背景には主に2つの理由があります。まず1つ目に、以前から増え始めていたコンビニのイートインスペースとBARの相性がよかったということ。

コンビニ側には以前から、昼食やカフェタイムにちょこっと利用してもらうよりも、アルコールという単価の高いものを提供することで、お酒をゆっくり嗜むような新たな客層を取り込みたいという狙いがあったのだと推察できます。

2つ目は、コンビニの生き残り競争が熾烈になっているということ。コンビニチェーン同士の戦いが厳しいのはもちろんですが、コンビニ対スーパーという競合構図もあります。お惣菜などをはじめ、いまやスーパーマーケットにも手軽でおいしく安いものが揃っているので、コンビニの強力なライバルとなっているのです」(重盛氏、以下同)

大手チェーンのなかで最大手のセブン-イレブンが唯一、コンビニBARに参入していないが、その理由は?

「セブン-イレブンは前々からPB(プライベートブランド)に力を入れており、独自のブランディングで充分な固定ファンを獲得できています。すでにローソンやファミマと差別化が図れているため、ライバルチェーンが試験的に開始したバーにわざわざ参入せず、様子見をしているのでしょう」

セブンイレブンは「金の〜」でおなじみのセブンプレミアムが好調のため、BAR参入は様子見している? 写真/shutterstock

ではコンビニBARはこれから、増えていくのかだろうか。

「いまコンビニ各社の課題となっているのが各々のブランディングやローカル化です。そのコンビニにしかない“強み”というものが現在は曖昧になっていますので、ストロングポイントをいかに見つけて売りにするのかということが課題になっています。

また、ライバルのスーパーにはないコンビニの最大の特徴は24時間営業であることで、BARはその強みとの親和性が高いです。そのため今後もコンビニBARは普及していくのではないでしょうか」

取材・文/瑠璃光丸凪/A4studio

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