2023年度(1月~12月)に反響の大きかった記事をジャンル別でお届けする。今回は「ビジネス記事ベスト5」第1位の、発売から2年足らずで累計3,200万食を突破した「丸亀うどん弁当」についてのインタビュー記事だ。(初公開日:2023年3月2日。記事は公開日の状況。ご注意ください)
【累計3,200万食突破】コロナ禍で爆売れした丸亀製麺の「丸亀うどん弁当」があえて天ぷらを入れずに挑む勝負の3年目【2023ビジネス記事 1位】
集英社オンライン / 2023年12月25日 11時1分
2023年度(1月~12月)に反響の大きかったビジネス記事ベスト5をお届けする。第1位は、大ヒットとなった「丸亀うどん弁当」開発の舞台裏が語られたインタビュー記事だった(初公開日:2023年3月2日)。日本全国に800店舗以上を展開する丸亀製麺。コロナ禍の2021年4月に発売した「丸亀うどん弁当」は、新たなテイクアウト需要を取り込み、大ヒットを記録した。「コスパ最高」「ありそうでなかった“うどん”の弁当」といった評判が立ち、発売から2年足らずで累計3,200万食を突破。なぜ、丸亀製麺のうどん弁当は売れ続けているのだろうか。丸亀製麺を運営する株式会社トリドールホールディングス 商品開発部の浦郷裕介氏に話を聞いた。
「うどんを持ち帰る文化」の発見
コロナ禍で爆発的人気となった「丸亀うどん弁当」が大きな反響を得た理由として、浦郷氏は「今まで習慣としてなかった『うどんを持ち帰る文化』を作れたのが大きい」と話す。
「『うどん弁当』という、斬新な響きはお客様にとってもインパクトが大きく、かつ丸亀製麺らしいコスパのいい手頃な価格で、場所を選ばずに打ちたてのもちもち食感のうどんをはじめ、手作り・できたてのおいしさを食べていただけることが好評を得られた要因だと思っています」
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コロナ禍の在宅需要もあり、爆発的ヒットした「丸亀うどん弁当」
「丸亀うどん弁当」で意識したのは「イートインのいいとこ取り」だと浦郷氏は続ける。
「店内で販売している『釜揚げうどん』(並)は290円です。対して『丸亀うどん弁当』は、店内では食べられないおかずの玉子焼きやきんぴらごぼう、野菜バラ天、ちくわ磯辺天などのおかずと、お店と変わらないおいしさの打ち立てうどんを詰め込んだ内容をワンコイン程度で楽しめる。(※3月7日以降、釜揚げうどんは並340円、大470円に価格改定)
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人気の「かしわ天うどん弁当」520円(税込・容器代含) ※3月7日以降、580円に価格を改定
色とりどりの見栄えを意識し、お弁当としての魅力や醍醐味が伝わるように開発にも工夫を凝らしました」
注文してから作る「できたて」へのこだわり
とりわけ、野菜バラ天を丸亀うどん弁当のおかずとして選ぶまでには、100種類くらいの具材の組み合わせを考えたそうだ。
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定番うどん弁当(冷)390円(税込・容器代含)※3月7日以降、450円に価格を改定
「店内で提供している野菜かき揚げを、そのまま弁当に入れようとしても、大きすぎて容器に詰められない。どうすればいいか考えていたところ、『野菜かき揚げの野菜をバラバラに崩して揚げれば食べやすく面白いのでは』というアイデアに行き着いたんです。こうすることで、具材を収まりよく弁当の容器に詰めることができ、『丸亀製麺らしさ』を体現できるわけです」
こうして、「丸亀うどん弁当」が日の目を見たのだ。弁当の中身に加え、持ち運びしやすく片手でもって食べやすいように工夫しているという。
さらに、コンビニの弁当などと異なるのは、注文してからその場で1つ1つ弁当を作るため、できたてのうどんが味わえること。
それは丸亀製麺の店舗自体が製麺所になっていて、うどんの「打ち立て」にこだわっているからである。
「打ち立てのうどんはもとより、丸亀製麺はセントラルキッチンを持っていないので、うどんは国産小麦・水・塩のみでつくり、天ぷらはお店で丁寧に仕込みをし、ひとつひとつ揚げております。そのぶん、手間はかかりますが、手づくりにこだわることで素材の美味しさを引き出し、お客様に満足いただける味を提供できると考えています」
「丸亀うどん弁当」をまとめ買いする新たな需要
また、「丸亀うどん弁当」の販売開始から最初の1年は、期間限定の商品を毎月にわたって投入し、飽きがこないように心がけていたという。
「お店で使う限られた食材の中で、いかに味のバリエーションを広げられるか。お客様に足を運んでもらえるような商品をラインナップできるかを念頭に置いて、開発を行っていました。味付けの工夫や具材の組み合わせ、季節の味わいを取り入れるなど、常にブラッシュアップしていく気概で取り組んでいましたね」
こうした開発に対するこだわりのほか、コロナ禍によるテイクアウト需要の高まりも相まって、丸亀うどん弁当は消費者の心を掴んでいった。
利便性を追求するために、うどん弁当用のテイクアウト窓口を備えた店舗も増やしており、順次改装を進めていくという。
浦郷氏は「『丸亀うどん弁当』が新しいカテゴリーとして、お客様に認知していただけていると感じている」と語る。
「以前から、丸い容器にうどんを詰めたテイクアウト商品はお店で販売していました。他方、『丸亀うどん弁当』はテイクアウト商品というより、『うどん弁当』というカテゴリーを創出できたと思っています。店舗の立地にも寄りますが、丸亀製麺の路面店の中ではまとめ買いする需要も生まれているんです。
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郊外型の店舗ではまとめ買い需要もある
ファミリー用に複数個のお弁当を購入するお客様など、さまざまなニーズを取り込むことができています」
季節の“味付け”で勝負する3年目
発売から3年目を迎える「丸亀うどん弁当」。
次に挑戦するのは、天ぷらだけでなく、うどんと相性の良い、季節に合った食材で楽しんでいただける商品を展開していくと浦郷氏はいう。
「『丸亀うどん弁当』は多くのお客さまに認知していただいていますが、人気の天ぷら入り、定番弁当に加え、味わいのバリエーションが増え、飽きが来ず、さらに様々なおいしさを味わっていただけるようになりました。つるつるとした喉ごしと心地よい噛み心地のコシを感じていただける冷たいうどんを楽しめます。
レギュラー商品として定着している3種類の天ぷら入りの弁当に加え、『梅おろし』と『明太子とろろ』を使った商品を新たに開発しました。前者は梅の甘酸っぱさや大根おろしのみずみずしさを味わえ、後者は明太子にとろろを混ぜることで、明太子の辛さとうまさが引き立ち、口当たりなめらかで喉ごしよく味わえます。
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『梅おろしうどん弁当』450円
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『明太とろろぶっかけうどん弁当』490円(税込・容器代含)
いつも新商品開発で大事にしているのは“ありもので済まさない”ということ。こんな組み合わせがあったのかと、お客様に思ってもらえるように、これからも丸亀製麺らしいコスパのよさや美味しさ、手づくりにこだわっていきたいです」
取材・文/古田島大介
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